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再生医療等提供計画情報の詳細情報です。

第三種
令和7年1月14日
ネオアンチゲンを標的とした樹状細胞ワクチンを用いた再発固形癌に対する特異的免疫療法 〜第I相パイロット試験〜
再発固形癌に対するネオアンチゲン特異的樹状細胞ワクチン療法
静岡県立静岡がんセンター
小野 裕之
術後の標準化学療法後の再発固形癌症例を対象としてネオアンチゲン樹状細胞ワクチンを施行し、治療の安全 性について検討を行う。
1
再発固形癌
募集中
静岡がんセンター認定再生医療等委員会
NB4150005

1 提供しようとする再生医療等及びその内容

申請者情報

令和7年1月9日
jRCTc040240165
静岡県立静岡がんセンター
静岡県駿東郡長泉町下長窪1007番地
小野 裕之 Ono Hiroyuki

(1)再生医療等の名称及び分類

ネオアンチゲンを標的とした樹状細胞ワクチンを用いた再発固形癌に対する特異的免疫療法 〜第I相パイロット試験〜 Dendritic cell-based neoantigen-specific immunotherapy against recurrent solid cancers - Phase I clinical trial ( Dendritic cell-based neoantigen-specific immunotherapy against recurrent solid cancers )
再発固形癌に対するネオアンチゲン特異的樹状細胞ワクチン療法 Neoantigen-specific dendritic cell vaccines against recurrent solid cancers( Neoantigen-specific dendritic cell vaccines )
第三種
下記の除外基準等により第三種再生医療等技術であると考える。 ① 人由来の幹細胞( ES、iPS細胞) を使用しない。 ② 動物の細胞を使用しない。 ③ 投与を受ける者以外の人の細胞を使用しない。 ④ 人の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成を目的としない。 ⑤ 相同利用である(投与を受ける者自身の血液細胞を培養加工し、皮下に投与を行う)。

(2)再生医療等の内容

術後の標準化学療法後の再発固形癌症例を対象としてネオアンチゲン樹状細胞ワクチンを施行し、治療の安全 性について検討を行う。
1
実施計画の公表日
2029年06月30日
10
介入研究 Interventional
単一群 single arm study
非盲検 open(masking not used)
非対照 uncontrolled control
単群比較 single assignment
治療 treatment purpose
1. 病理学的にがんと診断されていること。
2. 当院にて手術を受け、HOPE(High-tech Omics-based Patient Evaluation)研究に登録されていること。
3. HOPE 研究において遺伝子変異(エキソーム)解析を受けていること。
4. BRAF, EGFR, KRAS, PIK3CA, TP53のいずれかの変異が一致、かつHLA型(HLA-A*1101, HLA-A*3303, HLA-A*3101, HLA-B*5401, HLA-C*0303, HLA-C*0304のどれか)が一致すること。
5. 進行期 (stage IV期)または再発のがんであり、標準治療を終了または拒否していること。
6. 同意取得時において年齢20歳以上の患者であること。
7. Performance status (PS) が0 - 2の症例。
8. 治療前に画像診断などで、計測可能病変を有すること。
9. 心、肺、肝、腎、骨髄などの実質臓器に著しい障害の無いこと。
登録前(1か月以内)の検査結果において、以下を満たすこと。
WBC > 2,000/ul、Platelet count > 50,000/ul、Hb > 8 g/dl、Bilirubin < 2 mg/ml、AST and ALT < 3xnormal、Creatinine < 2 mg/dl
10. 重篤な出血傾向を持たない。
登録前(1か月以内)の検査結果において、以下を満たすこと。
PT 15秒以下、aPTT 45秒以下、Fibrinogen >100mg/dl、FDP<20 ug/ ml
11. 少なくとも3か月以上の生存が見込まれる症例であること。
12. 前治療がある場合、治療終了後2週以上経過していること。
13. 試験参加について十分な説明を受け、患者本人から自由意志による文書同意が得られた患者。
1.Histological diagnosis of cancers
2.Cancer patients who are enrolled in HOPE project
3.Cancer patients who are subjected to clinical sequencing
4.Postoperative patients whose genetic profiling is accordant with neoantigen mutant peptides and HLA-typing list
5.Advanced(metastatic)or relapsed cancers after the standard therapy regimens
Advanced (metastatic) cancer patients who rejected the standard therapy
6.Over 20 years old
7.Performance status 0-2
8.Measurable lesions by imaging diagnosis
9.No severe organ dysfunction
10.No severe hemostatic disorders
11.Expecting diagnosis with more than 3 months
12.Over 2week interval after the previous treatment
13.Informed consents obtained
1. 登録前14日以内に頭部以外の放射線治療や化学療法などの他の癌治療を受けている症例。
2. 重大な全身性の感染症、血液凝固異常、造血器障害、心疾患、呼吸器疾患を有する症例。
3. ステロイド剤または免疫抑制剤の継続的な全身投与中である症例。
4. 妊娠、授乳婦、現在妊娠している可能性がある女性。
5. アレルギー素因及びワクチン等生物学的製剤に対して過敏症を有する症例。
6. 自己免疫疾患や著しい免疫不全状態をもつ症例。
7. 他の悪性腫瘍の合併が認められる症例。
8.  感染症のスクリーニング検査(梅毒定性 、HBs抗原、HCV抗体、HTLV-I抗体、HIV抗体)でどれかが陽性である症例。
9.  その他、研究分担医師が被験者として不適当と判断した症例。

1. Within 14 days after the last cancer treatment
2. Severe systemic infection, hemostatic dysfunction and organ disorders
3. Systemic administration of steroids or immunosuppressant drugs
4. Pregnant women
5. Hypersensitivity to dendritic cell vaccines
6. Severe immunological disorders (autoimmune disease, immunosuppression)
7. Multiple cancers
8. Any of syphilis, hepatitis B, hepatitis C,HTLV-1 and HIV-1 infection is detected
9. Excluded patients according to the decision by medical doctors
20歳 以上 20age old over
上限なし No limit
男性・女性 Both
1. 安全性に対する配慮:
・ペプチド皮内テストにおいて即時型アレルギー反応を認めた場合。
・症状の急激な悪化が認められた場合。
・合併症の併発または悪化により、研究分担医師が中止すべきと判断した場合。
・Grade3の副作用が出現した時は、投与細胞数を1/2に減量して投与継続可能とするが、減量後もgrade3が8週以上持続する場合は、中止する。
・血液毒性を除くgrade4以上の副作用が生じた場合。
2. 被験者の申し出:
・被験者より同意の撤回の申し出があった場合。
3. 病勢の進行および免疫学的効果の欠如:
・臨床効果判定基準により明らかにprogressive disease (PD)と評価され、かつ免疫学的モニタリングにて効果が確認されない場合。
4. 登録後治療開始前の急激な増悪により治療を開始できなかった場合。
5. 樹状細胞の品質検査:
・品質検査の結果、DCワクチンの投与が不適当であると研究責任医師により判断された場合。また樹状細胞の品質基準に照らして規格外と判断される場合は、投与に関して研究分担医師または必要であれば効果安全委員会に確認を行う。
6. その他:
・研究責任者医師、研究分担医師の判断により中止の必要性が認められた場合。
・登録後の感染症スクリーニング検査(梅毒定性、HBs抗原、HCV抗体、HTLV-I抗体、HIV抗体)でどれかが陽性である場合。
再発固形癌 Recurrent solid cancers
術後の標準治療後の再発固形癌症例(HOPE登録症例)を対象にネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法を施行し、治療の安全性について検討を行う。第1相試験(phase Ia)では、ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン治療群として、登録される。 Neoantigen-specific dendritic cell (DC) vaccines therapy (phase Ia) is going to be perform ed against recurrent solid cancers harboring accordant neoantigen mutation and HLA-typing.
安全性の評価(ワクチン完遂率)
・ワクチン開始後、2か月までに4回以上の投与を実施できた場合を完遂とする。

Completion rate of dendritic cell vaccines
More than 4-time dendritic cell vaccines during 2 months after the onset of vaccination is rated as completion.
1. 治療後の免疫機能の検討(皮内テスト, CTL assay)
2. 抗腫瘍効果の検討
3. 無増悪生存期間
4. 全生存期間

1. Immunological response (skin test, CTL as say)
2. Response rate
3. Relapse-free survival
4. Overall survival
1.再生医療等に用いる細胞:成分採血にて分離した患者自身の血液細胞より培養した免疫細胞を細胞加工物として使用する。
2.細胞の採取の方法:成分採血装置 (Spectra Optia, TERUMO BCT)を用いて上腕の 静脈より末梢血の採血を行い、単核球の一部を採取した後、残りを返血する。専用のWBC分離キットを用いて約 7リットルの血液を処理することで5 x 10e9 個相当の単核球の採取が施行される。
3.細胞の加工の方法:採取した単核球をOpti-prep試薬を用いた比重遠心分離にかけることにより、濃縮した単球細胞 (40-60%) を取得する。すべての細胞調製は無菌培養バッグを使用し、培養液及び細胞の移動は、チューブの無菌接合装置 (TSCD, SC-201A, テルモ)を用いて無菌操作にて行う。続いて洗浄した単球を無血清培地で1-2 x 10e6 cells/mlになるように調製し、細胞接着用の無菌培養バッグに懸濁する。その後GMPグレードにて作成されたヒトrGM-CSFとrIL-4の存在下に 無血清培地内で7日間培養する。培養5日目に次のサイトカインをバッグ内に添加する。TNF-alpha, IL-1 beta, IFN-alpha, IFN-gamma, Poly(I)・Poly(C)の組み合わせのサイトカインにて誘導される細胞は、非常に活性の強い樹状細胞となることが確認されている。培養 7日目に培養バッグより樹状細胞を洗浄回収し, 一部はフローサイトメトリ−解析用に無菌的に採取しておく。残 り細胞は1% ヒト血清アルブミン添加生理食塩水に1 x 10e6-1 x 10e7/mlで懸濁する。これに各ペプチド及び免疫応答を促進するアジュバントプロテインであるKeyhole limpet hemocyanin (KLH , GMP grade, Biosyn Corp.)をそれぞれ添加し、2時間ゆっくりと撹拌する。
その後 1% ヒト血清アルブミン添加生理食塩水にて洗浄し、20%患者由来血漿+10% DMSO溶液+70%RP MI1640培地に浮遊させて、凍結保存用のクリオサイトバッグに分注し、使用時まで-150oC のdeep freezer内で保存する。
4.細胞加工物の投与の方法:使用時には、凍結したバッグをwater bath内で解凍後、細胞を洗滌し、最終的に1-5 x10e7 cells/1.0ml 1% ヒト血清アルブミン添加生理食塩水に懸濁する。外来または病棟にて研究分担医師により患者の前腕部皮内に22G注射針を用いて投与する。
5.研究の目的・意義や方法の概要: 術後の標準治療を施行後、再発した固形癌症例(HOPE登録あり)を対象と施行後、再発した固形癌症例(HOPE登録あり)を対象としてDCワクチン療法を臨床第I相試験として行う。
対象患者は、標準治療後の再発固形癌で、有効な標準治療が無いと判断された症例である。第1相試験(phase Ia, 10例)では、ネオアンチゲンDCワクチン治療群として、登録される。DCワクチンは、新しく同定したネオアンチゲンペプチド(27種類)を利用して作製する。樹状細胞の投与細胞数は、1〜5×10e7個の樹状細胞を前腕部皮内に最大10回まで皮内投与を行う。

2 人員及び構造設備その他の施設等

(1)人員及び構造設備その他の施設に関する事項

医師
秋山 靖人 Akiyama Yasuto
70222552
静岡県立静岡がんセンター研究所 Shizuoka Cancer Center Research Institute
免疫治療研究部
411-8777
静岡県駿東郡長泉町下長窪1007番地 1007 Shimonagakubo, Nagaizumi-cho, Sunto-gun, Shizuoka
055-989-5222
y.akiyama@scchr.jp
自施設
救急医療に対応する静岡がんセンターのICUでは、ベッド数が16床で27人のスタッフで運用している。設備については、モニター数16台、自動輸液ポンプ数32台、ポータブル心電計1台、人工呼吸器3台、ポータブルX線装置1台、透析装置2台を所有しており、救急対応には十分な機器を備えている。

(2)その他研究の実施体制に関する事項

後藤 克規 Goto Katsunori
静岡県立静岡がんセンター Shizuoka Cancer Center
総務課研究推進班
411-8777
静岡県駿東郡長泉町下長窪1007番地 1007 Shimonagakubo, Nagaizumi-cho, Sunto-gun, Shizuoka
055-989-5222
055-989-5783
kenkyusuishin@scchr.jp
医師
山崎 健太郎
静岡県立静岡がんセンター
消化器内科
医師
高橋 利明
静岡県立静岡がんセンター
呼吸器内科
医師
釼持 広知
静岡県立静岡がんセンター
ゲノム医療推進部
医師
坂東 悦郎
静岡県立静岡がんセンター
胃外科
医師
塩見 明生
静岡県立静岡がんセンター
大腸外科
医師
杉浦 禎一
静岡県立静岡がんセンター
肝・胆・膵外科
医師
大出 泰久
静岡県立静岡がんセンター
呼吸器外科
医師
吉川 周佐
静岡県立静岡がんセンター
皮膚科
医師
西村 誠一郎
静岡県立静岡がんセンター
乳腺外科
医師
徳留 なほみ
静岡県立静岡がんセンター
女性内科
医師
杉野 隆
静岡県立静岡がんセンター
病理診断科
医師
阿部 義明
静岡県立静岡がんセンター
血液管理室
医師
佐藤 塁
静岡県立静岡がんセンター
IVR科
医師
平嶋 泰之
静岡県立静岡がんセンター
婦人科
医師
堤田 新
静岡県立静岡がんセンター
皮膚科
医師
小俣 渡
静岡県立静岡がんセンター
皮膚科
医師
堀崎 健
静岡県立静岡がんセンター
皮膚科
公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構
北詰 秀樹
公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構 ファルマバレーセンター
創薬・臨床研究支援部
静岡県立静岡がんセンター
大坪 昌広
静岡県立静岡がんセンター
臨床研究支援センター 臨床研究管理・調整室

(3)多施設共同研究に関する事項

3 再生医療等に用いる細胞の入手の方法並びに特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法等

(1)再生医療等に用いる細胞の入手の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

活性化樹状細胞
再生医療等提供機関と同じ
1.病理学的にがんと診断されていること。
2.当院にて手術を受け、HOPE(High-tech Omics-based Patient Evaluation)研究に登録されていること。
3. HOPE研究において遺伝子変異(エキソーム)解析を受けていること。
4.BRAF, EGFR, KRAS, PIK3CA, TP53のいずれ
かの変異が一致、かつHLA型(HLA-A*1101, HLA-A*3303, HLA-A*3101, HLA-B*5401, HLA-C*0303, HLA-C*0304のどれか)が一致すること。
5.進行期(stage IV期)または再発のがんであり、標準治療を終了または拒否していること。
6.同意取得時において年齢20歳以上の患者であること。
7.Performance status (PS) が0 - 2の症例。
8.治療前に画像診断などで、計測可能病変を有すること。
9.心、肺、肝、腎、骨髄などの実質臓器に著しい障害の無いこと。
登録前(1か月以内)の検査結果において、以下を満たすこと。
WBC > 2,000/ul、Platelet count > 50,000/ul、Hb > 8 g/dl、Bilirubin < 2 mg/ml、AST and ALT < 3xnormal、Creatinine < 2 mg/dl
10.重篤な出血傾向を持たない。
登録前(1か月以内)の検査結果において、以下を満たすこと。
PT 15秒以下、aPTT 45秒以下、Fibrinogen >100mg/dl、FDP<20 ug/ ml
11.少なくとも3か月以上の生存が見込まれる症例であること。
12. 前治療がある場合、治療終了後2週以上経過していること。
13.試験参加について十分な説明を受け、患者本人から自由意志による文書同意が得られた患者。
本研究において、再生医療を受ける者と細胞提供者は同一であるため、「再生医療を受ける者の適格基準」以上のスクリーニングは行わない。
細胞提供者は, 静岡がんセンターの輸血管理室において、成分採血 (アフェレーシス)を受ける。約200mlの白血球が濃縮された血液が採取される。採血バッグは、研究所3Fにある細胞療法セン ターにて受け入れを行い、特定細胞加工物である活性化樹状細胞ワクチンの作製に使用される。

(2)特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

活性化樹状細胞ワクチン
採血バッグに採取された血液細胞をOpti-prep試薬 ( コスモ・バイオ)を用いた比重遠心分離にかけることにより、濃縮した単球細胞 (40-60%)を取得する。単球細胞は、比重遠心後、最上層に分離されるため、この画分を採取する。下層に分離された単球以外のリンパ球は、遠心分離により回収し、モニタリング検査および臨床研究用に利用される。すべての細胞調製は無菌培養バッグを使用し、培養液及び細胞の移動は、チューブの無菌接合装置 (TSCD, SC-201A, テルモ)を用いて無菌操作にて行う。続いて洗浄した単球を無血清培地( VIVO-15, LONZA)でさらに2回洗浄後1-2 x 10e6 cells/mlになるように調製し、細胞接着用の無菌培養バッグ (GT-T610 culture bag, タカラバイオ)に懸濁する。その後GMPグレードにて作成されたヒトrGM-CSF (50 ng/ml, Bio Legend)とrIL-4 (50 ng/ml, Bio Legend)の存在下に無血清培地内で7日間培養する。培養5日目に次のサイトカイン (最終濃度)をX-VIVO培地にて濃度を調製し、バッグ内に添加する。TNF-alpha 50 ng/ml, IL-1 beta 25 ng/ml (ともにBio Legend), IFN-alpha (住友製薬) 3000 U/ml, IFN-gamma (塩野義製薬) 1000 U/ml, Poly(I)・Poly(C) (Amersham Bioscience)20 ug/mlの組み合わせのサイトカインにて誘導される樹状細胞 (DC)は、Kalinskyらによりalpha type-1 DC と呼ばれる非常に活性の強い樹状細胞であり、我々の検討でも従来の誘導プロトコールに比較して強いCTL誘導活性とIL-12産生能をもつことが確認されている。培養7日目に培養バッグより樹状細胞を洗浄回収し, 一部はフローサイトメトリ−解析用に無菌的に採取しておく。残りの細胞は1%ヒト血清アルブミン添加生理食塩水に1 x 10e6 - 1 x 10e7 /mlで懸濁する。これに各ペプチド及び免疫応答を促進するアジュバントプロテインであるKeyhole limpet hemocyanin (KLH , GMP grade, BiosynCorp.)をそれぞれ25 ug/mlとなるように添加し、室温にて2時間ゆっくりと撹拌しながら放置する。その後3回1%ヒト血清アルブミン添加生理食塩水にて洗浄し、20%患者由来血漿+10% DMSO溶液 +70%RPMI1640培地に浮遊させて、凍結保存用のクリオサイトバッグに分注し、使用時まで-150℃ のdeep freezer に保存する。使用時には、凍結したバッグをwater bath内で解凍後、細胞調製室内にて細胞を洗滌し、最終的に1-5 x10e7 cells/1.0 ml 1%ヒト血清アルブミン添加生理食塩水に懸濁する。外来または病棟にて研究分担医師により患者の前腕部皮内に22G注射針を用いて投与する。凍結保存の前に樹状細胞懸濁液の一部をフローサイトメトリ解析*および品質検査(生存細胞数、一般細菌・真菌培養、マイコプラズマ試験、エンドトキシン試験)にまわす。
*フローサイトメトリ−解析 : CD3, CD4, CD8, CD19, CD56, CD14, CD1a, CD11c, CD83, H LA-ABC, H L A-DR, CD80, CD86, CD40, CD54の各マーカーにつき解析を行う。
*樹状細胞投与不能とされる品質基準:
i) 生存率 50% 以下 ii) 細菌・真菌感染陽性 iii) エンドトキシン濃度陽性 (>10pg/ml)、iv) マイコプラズマ試験陽性
活性化樹状細胞ワクチン 1-5 x10e7 個を1.0 mlの1%ヒト血清アルブミン添加生理食塩水に懸濁し、外来または病棟にて研究分担医師により患者の前腕部の皮内に数か所に分けて投与する。
静岡県立静岡がんセンター
FA4150002
静岡がんセンター細胞療法センター
該当なし。

(3)再生医療等製品に関する事項(再生医療等製品を用いる場合のみ記載)

(4)再生医療等に用いる未承認又は適応外の医薬品又は医療機器に関する事項(未承認又は適応外の医薬品又は医療機器を用いる場合のみ記載)

4 再生医療等技術の安全性の確保等に関す措置

(1)利益相反管理に関する事項

① 再生医療等に対する特定細胞加工物製造事業者からの研究資金等の提供その他の関与

静岡県立静岡がんセンター

② 再生医療等に対する医療薬品等製造販売業者等からの研究資金等の提供その他の関与

③ 再生医療等に対する特定細胞加工物製造事業者又は医療品等製造販売業者等以外からの研究資金

(2)その他再生医療等技術の安全性の確保等に関する措置

樹状細胞(DC)を培養するための基本的なサイトカイン GM-CSF , IL -4に加えてさらに5種類のサイトカイン
(TNF-alpha, IL -1beta, IFN-alpha, IFN-gamma, PolyI/C)を加えて作成する活性型(alpha type-1) DC は、ピッツバーグ大学脳神経外科のO kadaらにより、HLA-A2ペプチドにて処理した活性化DC を用いた免疫療法の臨床第I, II相試験が2011年に実施された (1)。悪性グリオーマ22例に対してHLA-A2ペプチドにて処理を行った活性化DCが4回以上投与され、ほとんど副作用を認めなかった。国内では、われわれの施設で最初に悪性グリオーマ患者9例に対してH L A-A2またはA24ペプチドにて処理した活性化DCワクチンの第I相試験および16例にたいして実施した第II相試験を行っている。総計200回以上の活性化DC ワクチンは、副作用なく投与されている (2, 3)。
(1) Okada H et al. Induction of C D8+ T-cell responses against novel glioma–associated antigen peptides and clinical activity by vaccinations with a-type 1 polarized dendritic cells and polyinosinic-polycytidylic acid stabilized by lysine and carboxymethyl cellulose in patients with recurrent malignant glioma. J Clin Oncol 29:330-336, 2011.
(2) Akiyama Y, e t al. α-type-1 polarized dendritic cell-base d vaccination in recurrent high
-grade glioma: a phase I clinical trial. BMC Cancer 12:623, 2012.
(3) Mitsuya K, et al. Alpha-type-1 polarized dendritic cell-based vaccination in newly
diagnosed high-grade glioma: a phase II clinical trial. Anticancer Res 40: 6473-6484, 2020
樹状細胞の培養法に関して基本的なサイトカインGM-C SF, IL-4に加えてさらに5種類のサイトカイン (TNF-al pha, IL-1beta, IFN-alpha, IFN-gamma,Poly I/C)を加えて作成する活性型 (alpha type -1) DCは、ピッツバーグ大学のKalinskyらのグループにより動物実験のデータとして最初に報告された。活性型DCは、大量のIL -12を産生し、非常に強いC T L の誘導活性を持つ高機能の細胞であることが知られており、マウスを用いた免疫療法モデルでも従来法で作製したDCに比べて明らかに強力な抗腫瘍効果を発揮することが知られている。これらの成果に基づいて同じくピッツバーグ大学脳神経外科のOkadaらにより、HLA-A2ペプチドにて処理した活性化DCを用いた免疫療法の臨床第I, II相試験が2011年に実施され、産生するIL-12量と無増悪期間の間に相関が認められた。国内では、われわれの施設で最初に悪性グリオーマ患者25例に対してHLA-A2またはA24ペプチドにて処理した活性化DC ワクチンの第I/II相試験を実施した。まず10回のワクチン投与を完遂した症例は、20例に認められた(完遂率80%)。安全性の評価では、grade2までの副作用(CTCAE-ver4.0)を4例に認めた。CTL反応を解析した免疫応答の評価では、10例にてワクチン効果が陽性(63%)であった。ワクチン投与終了時の評価では、PR1,SD10,PD2例で、2020年3月の時点で5例が生存している。ヒストリカルコントロール群と治療群の生存期間の比較を実施しており、無再発生存期間9か月 vs 11か月, P=0.024; 全生存期間16か月 vs 19か月, P=0.048であった。これらの結果より症例数が少なくpilotデータではあるが、新規悪性グリオーマ患者に対して活性型樹状細胞ワクチン療法が延命効果を持つ可能性が示唆された。
最終的に作製した細胞加工物 (活性型ワクチン)を凍結保存する前に樹状細胞懸濁液の一部を品質検査(生存細胞数、一般細菌・真菌培養、マイコプラズマ試験、エンドトキシン試験)にまわす。その結果下記のいずれかに合致する場合は、ワクチンの投与は不可とする。
樹状細胞投与不能とされる品質基準: i) 生存率 50%以下、ii) 細菌・真菌感染陽性、iii) エンドトキシン濃度陽性 (>10 pg/ml), iv) マイコプラズマ試験陽性
最終的な投与の決定は、製造管理責任者と品質管理責任者の承認後、品質管理者(研究責任者)が行う。
樹状細胞投与不能とされる品質基準に該当する場合は、保管した細胞加工物は廃棄処分とし、品質管理者によりワクチンの投与は中止とする。また細菌感染やエンドトキシン陽性と判定された場合には、各工程でサンプリングした参考品をチェックしてどの工程で汚染されたかを調査する。品質管理者は、逸脱管理に基づき報告文書を作成し、記録を残すとともに研究責任者及び担当医に報告を行う。
最初に各症例から分離された血液細胞の一部と培養・加工の各工程と最終的に作製した細胞加工物(活性化樹状細胞ワクチン)の一部は、参考品としてサンプリングされ、-80℃ フリーザー内で10年間保存される。
保管期間の終了後は、感染性廃棄物として廃棄される。
重篤な有害事象(再生医療等の安全性の確保等に関する法律上の「疾病等」)」が生じた場合、研究分担医師は研究責任医師/研究事務局に報告し、研究責任医師は実施医療機関の管理者に報告する。また、実施医療機関の管理者は、認定再生医療等委員会に報告する。なお、プロトコール治療開始以降(死亡の場合は登録日以降)最終調査日までに発生した本研究の実施によるものと疑われる重篤な有害事象が対象となる。
登録期間(活性化樹状細胞ワクチンの投与)の終了後観察期間を設定しており、2年間の追跡調査を行う。
観察期間内は、静岡がんセンターや関連病院での経過をフォローし、各症例の再発の有無及び最終的な転機を確認する。
実施計画の公表日
募集中 Recruiting

5 細胞提供者及び再生医療等を受ける者に対する健康被害の補償の方法

細胞提供者について

再生医療等を受ける者について

6 審査等業務を行う認定再生医療等委員会に関する事項

静岡がんセンター認定再生医療等委員会 Certified Review Board of Shizuoka Cancer Center
NB4150005
静岡県駿東郡長泉町下長窪1007番地 1007 Shimonagakubo, Nagaizumi-cho, Sunto-gun, Shizuoka, Shizuoka
055-989-5222
kenkyusuishin@scchr.jp
第三種再生医療等のみを審査することができる構成
2024年12月10日

7 その他

研究を行うにあたり、以下の法令、規範に従う。下記以外の法令、規範、ポリシーが適応となる場合は、加えて従うこととする。
・再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号及びその改正)
・個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号及びその改正)
・ヘルシンキ宣言(日本医師会訳)
本研究の実施により得られた被験者に関する情報は、研究に従事する者が登録時に新たに付与する固有の番号によって識別することとし、その際特定の個人の識別に繋がる情報を用いない。
No
細胞調製業務などに関わる無菌操作に関する勉強会を1-2回/年に開催し、技術の維持に努めている。再生医療学会のトレーニングビデオの活用等を行い、今後再生医療認定医や臨床培養士への申請も検討する。また再生医療関係または医療倫理関係(現在すべての 職員の受講が必須)のセミナーがあれば受講を行うよう指導している。
静岡がんセンター全体の取り組みとして施行している臨床研究に関しての問い合わせ窓口を事務局に設置し、ホームページや院内掲示にて公開している。具体的な苦情に対しては、よろず相談や意見箱からの回収も含めてリスクマネージメントの部局が対応している。
非該当
なし none
非該当
非該当
非該当

添付資料

4 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式 4_説明文書・同意文書(第3.0版).pdf