第二種 | ||
令和2年3月30日 | ||
令和6年2月7日 | ||
放射線性唾液腺萎縮症に対する高機能細胞(E-MNC)を用いた治療に関する第Ⅰ相安全性試験 | ||
唾液腺再生に対する細胞治療開発 | ||
国立大学法人 長崎大学病院 | ||
中尾 一彦 | ||
本プロジェクトは、口腔悪性腫瘍に対する放射線化学療法後の唾液腺萎縮によって生じる重度口腔乾燥症を呈する患者を対象に、患者の末梢血培養で得られる組織の機能再生能と抗炎症能を保有する細胞(以下、高機能細胞E-MNC)を萎縮唾液腺組織に投与することで、萎縮腺組織の再生を誘導し、唾液の分泌量を回復させる為の臨床試験を実施することにある。このような難治性唾液腺萎縮症に対する根治的な治療法は現在まで開発されておらず、この臨床試験によって、本治療法の安全性と有効性の一部を検討する。 | ||
1 | ||
放射線性の口腔乾燥症 | ||
募集終了 | ||
九州大学病院特定認定再生医療等委員会 | ||
NA8150001 |
令和6年2月7日 | |||
jRCTb070190057 | |||
国立大学法人 長崎大学病院 | |||
長崎県長崎市坂本1-7-1 | |||
中尾 一彦 | Nakao Kazuhiko |
放射線性唾液腺萎縮症に対する高機能細胞(E-MNC)を用いた治療に関する第Ⅰ相安全性試験 | Phase 1 Clinical Study of Cell Therapy with Effective-Mononuclear Cells (E-MNC) for Radiogenic Xerostomia (First-in-human Study)( FIH study on E-MNC therapy for radiogenic xerostomia ) | ||
唾液腺再生に対する細胞治療開発 | Development of cell therapy for Salivary gland regeneration ( Cell therapy for salivary gland dysfunction ) | ||
第二種 | |||
自己の血液細胞を使用するが、培養加工の上、萎縮唾液腺組織に投与するものであるので、相同利用に該当しないため、第二種と判断した。 判断は次のリスク分類のツリー表に従った。 ①政令で除外した技術(No)→ ②人の胚性幹細胞/人工多能性幹細胞(No)→ ③遺伝子を導入する操作を行った細胞(No)→ ④動物の細胞(No)→ ⑤投与を受ける者以外の人の細胞(No)→ ⑥幹細胞を利用している(No)→ ⑦人の身体の機構造や修復などを目的としているか(Yes)→ ⑧培養を行っているか(Yes)→ ⑨第二種へ |
本プロジェクトは、口腔悪性腫瘍に対する放射線化学療法後の唾液腺萎縮によって生じる重度口腔乾燥症を呈する患者を対象に、患者の末梢血培養で得られる組織の機能再生能と抗炎症能を保有する細胞(以下、高機能細胞E-MNC)を萎縮唾液腺組織に投与することで、萎縮腺組織の再生を誘導し、唾液の分泌量を回復させる為の臨床試験を実施することにある。このような難治性唾液腺萎縮症に対する根治的な治療法は現在まで開発されておらず、この臨床試験によって、本治療法の安全性と有効性の一部を検討する。 | |||
1 | |||
2019年04月04日 | |||
2024年03月31日 | |||
6 | |||
その他 | Other | ||
単一群 | single arm study | ||
非盲検 | open(masking not used) | ||
非対照 | uncontrolled control | ||
単群比較 | single assignment | ||
治療 | treatment purpose | ||
① 放射線化学療法を受療した頭頚部癌患者で、口腔乾燥症を呈するもの。 ② 放射線化学療法を受療した頭頚部癌患者のうち、治療後5年を経過し、再発のない(完全寛解)もの。 ③ 唾液分泌量測定(ガム試験)にて、基準値(10ml/10min)以下で口腔乾燥症状を訴えるもの(既存の対症療法によっても効果がないもの、もしくは既存治療のメリット・デメリットを理解した上で、本研究への参加を希望するものを含む)。 ④ CT/MRI検査にて、唾液腺組織の萎縮が確認できるもの。 |
1. Patients who are suffering form sever xerostomia caused by the radiotherapy for head and neck cancer. 2. Patients who have no recurrence of head and neck cancer more than 5 years after treatment. 3. Patients who complain the xerostomia and whose saliva flow rate is in the range of less than 10ml/10min. 4. Patients who are detected the salivary gland atrophy by CT examination. |
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① ヘモグロビン濃度で、以下の基準に該当するもの。 ・200ml以内の採血量の場合 男性:ヘモグロビン濃度12.5g/dl未満 女性:ヘモグロビン濃度12.0g/dl未満 ・200ml以上(240mlまで)の採血量の場合 男性:ヘモグロビン濃度13.0g/dl未満 女性:ヘモグロビン濃度12.5g/dl未満 ② 原疾患が唾液腺腫瘍であったもの。 ③ 悪性腫瘍、敗血症に罹患およびその疑いのあるもの。 ④ 重篤な代謝内分泌疾患または自己免疫疾患に罹患しているもの。 ⑤ 梅毒、HBV抗原、HCV抗原、HTLV-1抗体、HIV抗体のいずれかが陽性であるもの。 ⑥ 責任医師、副責任医師および分担医師が不適と認めたもの。 |
1. Hemoglobin concentration in peripheral blood 1) blood collection within 200ml male: less than 12.5g/dl of hemoglobin concentration femal: less than 12.0g/dl of hemoglobin concentration 2) blood collection with 200ml and over (within 240ml) male: less than 13.0g/dl of hemoglobin concentration femal: less than 12.5g/dl of hemoglobin concentration 2. Patients who had got salivary gland tumor as a primary disease. 3. Patients who have any cancer and sepsis. 4. Patients who suffer from severe endocrine metabolic disease and autoimmune disease. 5. Patients who are posiitive of sphilis, HBV-antigen, HCV-antigen, HTLV-1-antibody and HIV-antibody. 6. Patients who are judged as improper to join in this study by the principal investigator or co-investigators. |
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20歳 以上 | 20age old over | ||
75歳 以下 | 75age old under | ||
男性・女性 | Both | ||
下記1)~3) のいずれかの事項に該当し、責任歯科医師が臨床試験継続を困難と判断した場合、責任歯科医師はその時点で臨床試験の一部または全体を中断する。その上で、臨床試験の一部または全体を中止するか否かを決定し、その旨を文書に記録する。 1)臨床試験に関する新たな安全性情報または重篤な有害事象の情報が得られた場合。 2)責任歯科医師または長崎大学病院のいずれかが、再生医療等安全性確保法、臨床試験実施計画書から重大な逸脱を行った場合。 3)その他、本試験実施中に試験の中止・中断が必要と考えられる新たな情報が得られた場合。責任歯科医師は、独立安全性委員会や長崎大学病院臨床研究倫理委員会などとの協議により本試験の一部または全体の中止を決定した場合、速やかにその旨を理由とともに、長崎大学病院に文書で通知する。長崎大学病院長は、速やかにその旨を理由とともに、特定認定再生医療等委員会に文書で通知する。責任医師は、理由の如何を問わず本試験が中止または中断された場合、本試験に参加中の被験者に速やかにその旨を通知し、適切な処置ならびに被験者の安全性を確認するための検査などを実施する。 |
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放射線性の口腔乾燥症 | xerostomia caused by radiation treatment | ||
有 | |||
顎下腺に対するE-MNCの投与を実施する。 試験期間中の介入は1回、1年間の介入を行う。 |
Intervention: injection of E-MNC to the submandibular gland Intervention period: 1-year Number of times of intervention: 1 time |
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安全性 | Safety | ||
有効性(唾液分泌量と組織回復量) | Efficay (improvement of saliva secreation and gland volume) | ||
別添の通り (以下、別添資料の内容) 1. 治療開発の必要性 1) 口腔と口腔乾燥 口腔は消化器系の一部であり、栄養を摂取するための重要な器官である。口腔が健康であれば、摂食や嚥下機能がしっかりと機能し、食物の消化・吸収を円滑に行うことができる。また、栄養摂取だけでなく、味覚といった感覚や構音機能の維持は、食事や会話を楽しむという生活の満足感にも大変重要である。しかしながら、年齢を重ねると歯周組織ばかりか、口の粘膜や周囲の筋肉、唾液を分泌する唾液腺などは萎縮していく。これら口腔内の器質的な変化は、歯の喪失を含めた歯周病による咀嚼障害や唾液の減少による口腔乾燥などが特徴的である。しかしながら、口腔乾燥症をはじめとした老化の伴う慢性疾患や組織の大きな欠損・萎縮を伴う疾患に対する治療法は未だ十分ではない。さらに、免疫老化による歯周病の進行はもとより、口腔がんや骨粗鬆症、シェーグレン症候群など加齢に伴う様々な疾患が生じると、口腔の機能は加速度的に低下していくこととなる。 2) 口腔乾燥症について 唾液腺機能障害による唾液の分泌低下を呈する病態は、一般的に「口腔乾燥症」(xerostomia) と呼ばれる。口腔乾燥症の患者さんは、口腔粘膜の痛みや食事、会話が困難になるほか、多発性のう蝕(虫歯)や歯周病(歯槽膿漏)の重症化など多くの症状に悩まされ、生活の質は著しく低下する。しかしながら、前述したように加齢による唾液腺組織の萎縮に起因する口腔乾燥ばかりか、口腔がんに対する放射線治療やシェーグレン症候群などの疾患によって、重度の口腔乾燥症を呈する患者さんは数多くいるにも関わらず、障害を受けた唾液腺に対する有効な治療法は未だ確立されていない。特に、口腔癌に対する治療として放射線治療が行なわれた場合、治療後の唾液腺には著しい萎縮が起こる。照射により萎縮した組織の回復は困難で、放射線治療後の患者さんでは難治性の口腔乾燥が大きな問題となる。現在、そのような患者さんに対しては、唾液分泌促進剤の内服や人工唾液の噴霧などの治療が行われてはいるものの、いずれも機能の残存する唾液腺に対する一時的な治療であり、萎縮消失してしまった唾液腺自体を回復させるものではない。そのため、根治が極めて困難であるのが現状である。そこで、失われた唾液腺組織の再生を目的とした根治的治療法の開発が強く望まれている。 3) 唾液腺組織の再生について 近年、iPS細胞をはじめとした幹細胞を使用した再生医療に高い注目が寄せられているが、唾液腺においても様々な研究が行なわれている。しかしながら、基礎研究が主であり、臨床応用の段階にあるものは少ないのが現状である。唾液腺は唾液を分泌する管(導管)を持ち、血管や神経が高度に組織化された複雑な臓器であり、機能も多岐にわたるため、その再生や機能回復は困難である。現在の唾液腺再生へのアプローチは、およそ組織の修復や再生を促す能力が高い幹細胞移植による細胞治療が主流である。これは、投与した幹細胞により残存している唾液腺の組織からの組織回復を誘導することを目的としたもので、骨髄や末梢血などに存在する幹細胞や前駆細胞による治療が、これまで動物実験で試されてきた。細胞治療は、移植した細胞が直接目標となる障害組織の細胞に分化し機能することだけでなく、それらが障害組織中の炎症を取り除き、血管を誘導するといった組織の修復を行う因子を分泌することで、薬剤にない複合的な効果を発揮することが期待される。「高機能細胞E-MNCよる放射線性唾液腺萎縮症治療」もこの組織再生療法のひとつである。 4) E-MNCによる唾液腺組織の再生 E-MNCはセルアクシア株式会社(以下、セルアクシア)が将来の実用化を目指して開発中の細胞治療薬である。長崎大学の住田、朝比奈らはヒトE-MNCの治療法を参考にマウスE-MNC培養法を確立して放射線唾液腺萎縮症の病態モデルマウスを用いてE-MNCによる萎縮唾液腺の画期的な機能回復能があることを発見(I et al. Stem Cell Res Ther 2019)し、唾液腺治療の臨床応用へのきっかけを開いた。そこで本臨床研究において、セルアクシアからヒトE-MNC(CA-701)の品質管理法、製造法および非臨床(毒性など)に関する技術移管を受け、研究者主導臨床試験の開始準備を整えた。E-MNCは、高い抗炎症作用と組織修復性に担っているM2マクロファージに焦点をあてた品質(規格、特性)を保有している。本研究で用いるE-MNCの製造法は原料細胞(自家末梢血液由来単核球)や基本的な培養法は前述の論文(Masuda et al. Am Heart Assoc. 2014)を参考にしている。すなわち自己末梢血由来単核球を無血清培地に5つのGrowthを添加するだけで培地交換や継代をしない短期間培養法であり、一回の外来で採血できる量で十分に高活性の自己細胞が得られる。つまり、培養前の末梢血由来単核球(PBMC)にはほとんど無いM2マクロファージが大幅に増加する。M2マクロファージは抗炎症性マクロファージと呼ばれ、様々な抗炎症性サイトカインを産生し、炎症状態の鎮静化、組織回復、創傷治癒、免疫抑制機能など組織の恒常性維持に機能を発揮する。 このような科学的なデータからE-MNC治療は重度の唾液腺萎縮症で破壊された腺組織において組織再生の修復起点となる組織修復、抗炎症効果、免疫制御効果がもたらすことにより、放射線障害による不可逆性の唾液腺萎縮症の根治療法として期待できる。そこで、放射線障害による唾液腺萎縮モデルマウスにおいて、照射3日後にE-MNCを顎下腺に直接投与したところ、1度の細胞投与のみで唾液流出量の増加、および組織障害の軽減化を認め、さらに強い唾液腺幹細胞の活性化とそれに引き続き唾液分泌を担う腺房細胞の再生を確認した。また、唾液腺組織における炎症性サイトカインの抑制と、血管新生の亢進も確認された。この細胞治療の特筆すべき点は、これまで治療効果の報告されている骨髄細胞や間葉系幹細胞による細胞治療と比較して、約100分の1程度の少ない細胞数で同等の治療効果をもたらしたことである(I, Sumita et al. J Cell physiol. in minor revision 2017)。 これらのことから、E-MNCは自己末梢血由来の細胞を短期間で細胞治療薬を準備でき、患者負担や製造上の過度な設備負担もなく細胞治療の欠点を克服でき、治療法がない難治性の唾液腺萎縮症に対し、安全で有効であると考えられる。 2. 高機能細胞E-MNCによる放射線性唾液腺萎縮症治療 1) 本臨床研究の位置づけ 本臨床研究に使用するE-MNCと同様に末梢血から採取した細胞(単核球)による治療は、重症の冠動脈疾患や閉塞性動脈硬化症といった虚血性疾患を対象に、欧米を含めて国内外で盛んに研究されており、その一部は既に臨床研究の段階で有効性が報告されている。しかしながら、末梢血から採取した単核球を精製した後、培養を経て使用する方法は、難治性の四肢潰瘍を対象に臨床研究がなされているものの、唾液腺萎縮症の治療では現在までに実際の患者さんに応用した報告はない。また、他の組織細胞による治療については、臍帯の間葉系幹細胞を自己免疫疾患による唾液腺萎縮症に応用した臨床研究が、海外で1報のみ報告されているに過ぎない。 2) 本臨床研究の内容 本臨床研究では、頭頚部がんへの放射線治療後の唾液腺萎縮によって生じる重度口腔乾燥症を呈する患者さんを対象としている。患者自身から採取した末梢血の培養で得られる抗炎症・組織再生作用の強い細胞群[高機能細胞Effective-Mononuclear Cells(E-MNC)]を萎縮した唾液腺組織に投与することで、萎縮組織の再生を誘導し、唾液の分泌を回復させる為の治療を実施する。そして、本臨床研究では、治療の安全性および有効性の一部を確認するのが目的である。 高機能細胞治療薬E-MNCは、静脈血から抽出した細胞(単核球)を5つの成長タンパク質が入った特殊な培地(造血幹細胞増殖培地)にて短期間培養することで得られる細胞群である。E-MNCは、障害組織中の不要物質(アポトーシスした細胞など)を除去したり、慢性炎症を抑えたりする機能が高く、これらの機能により放射線治療によって萎縮した唾液腺組織に血管を誘導し、唾液を分泌する細胞の増殖を促すことで、唾液分泌機能を回復させる役割が期待される。E-MNCを細胞治療に応用することで、従来対症療法に頼っていた放射線障害を根治的に解決する治療法が創出されるのみならず、外来などで自己末梢血を採取するだけで治療用細胞の原料を得ることができ、さらに短期間の培養にて治療用細胞を準備することが出来る、患者負担の少ない、簡便・安価で安全な治療法の開発が期待できる。 本治療法により真の唾液腺再生治療が確立されれば、口腔乾燥症(xerostomia)と称される症状群、すなわち口腔粘膜の痛みや食事・会話の困難、多発性う蝕、歯周病の重症化などによりQOLが著しく低下している患者さんの日常生活や健康および社会活動に大きく貢献することが可能となる。このような病態を呈する患者においては、う蝕や歯周病による抜歯などの外科処置が重篤な顎骨壊死に発展することも稀ではなく、口腔がん寛解後のQOL維持に向けた取り組みに大きく貢献できると思われる。 3. 治療(試験)の具体的な内容 1) 目的 本プロジェクトは、口腔内悪性腫瘍に対する放射線化学療法後の唾液腺萎縮によって生じる重度口腔乾燥症を呈する患者を対象に、患者の末梢血培養で得られる免疫寛容・抗炎症細胞群(以下、高機能細胞E-MNC)を萎縮唾液腺組織に投与することで、萎縮腺組織の再生を誘導し、唾液の分泌量を回復させる為の臨床研究を実施することにある。このような難治性唾液腺萎縮症に対する根治的な治療法は現在まで開発されておらず、この臨床研究によって、本治療法の安全性と有効性の一部を検討する。 2) エンドポイント 本臨床研究(初回投与試験)の主要エンドポイントは「安全性」、副次エンドポイントは「唾液分泌量」および「CT/MRI撮影画像から得られた萎縮腺組織回復量」とする。 3) 目標症例数と試験の流れ 放射線性唾液萎縮による口腔乾燥症を対象に、初回投与(パイロット)試験として細胞投与までを行なった症例6例実施する。 a. 症例の妥当性については、独立安全性委員会にて試験開始前の症例検討およびプロトコル確認、そして試験中・後に評価を受ける。委員は利益相反のない3~4名の学内医師・研究者にて構成される。 b. 最初の3例は、「Step1」 としてlow-doseで投与。次の3例を「Step2」としてhigh-doseの投与を予定する。「Step1」 は、1例ごとに「安全性」について投与後4週の時点で安全性委員会の評価を受ける。その後、3例目の4週後評価が終了した時点で、3例をまとめて安全性員会での評価の上、長崎大学病院臨床研究センターに報告する。その後、「Step2」へ。「Step2」も同様に実施する。 4) 末梢静脈血の採取 事前に、E-MNC製造に必要な血液細胞を採取するため、末梢血を静脈(肘窩部や前腕部、手背)から無菌的に吸引して取り出す。採取する量は身体的な負担は大きくない(全血の献血の場合、体重40kgの女性で200ml程度の献血量)。また、採血量が100ml以上に及ぶ場合に、身体的な負担に不安を感じる患者には、2回(別の日)に分けて採血することも計画する。 5) 高機能細胞E-MNCの製造 採取した血液(静脈血)を遠心分離にかけて無菌的に細胞(単核球)を取り出す。この細胞群には、組織の不要物(死細胞など)を取り除き、慢性炎症を抑えて組織の再生を誘導する細胞が含まれており、このような細胞が直接萎縮した唾液腺組織に作用するばかりか、萎縮組織に存在する様々な幹細胞や唾液腺細胞の栄養・成長因子の役割も果たすと考えられる。そして、このような機能が期待される細胞を濃縮することでE-MNCを製造するため、長崎大学病院の細胞加工施設(CPC)にて、培養・加工が実施される。CPCにおける培養操作は、複数のタンパク質と特殊な培地(造血幹細胞用培地)にて無菌的に行われる。その後、製造したE-MNCは、培養直後に治療に使用、もしくは凍結保存処理を施され、使用時まで冷凍保管される。 製造したE-MNCの一部は、有害事象が発生した場合や治療結果の解析に検体として必要となる場合に備え、10年間当院に保管する。保管は、当院研究室内の施錠可能なディープフリーザーにて厳重に管理される。そして、10年経過後に検体は廃棄される。組織バンク等への寄託は行わない。 6) 細胞の投与 細胞の投与は、同意を得て局所もしくは全身麻酔下にて実施する。培養直後あるいは冷凍保管されているE-MNCを長崎大学病院CPCにて投与用に調整を行った上で、速やかに手術室に搬送し、投与に使用する。投与は、片側の顎下腺(唾液腺)のみに実施する。その顎下腺に対して、生理食塩水に懸濁したE-MNCをディスポーザブルシリンジ針付1ml(26G)(テルモ)にて経皮的にエコーガイド下に注射を行う。この時、投与は片側顎下腺に注入する。細胞投与は、静脈麻酔併用下もしくは全身麻酔によって、処置時の痛み等の不快がないため、ストレスを軽減した状態で手術を受けることができる。 7) 安全性評価に関する情報 基本的に自己の血液由来の単核球細胞である体細胞を用いて、無血清培地による単純閉鎖系(培地交換なし、継代なし)の短期間培養により得られる細胞であるため、多能性細胞で不安視される造腫瘍性リスクは考えにくく、自己細胞であるため、毒性リスクも科学的に考えにくい。培養後に得られる細胞はリンパ球と単球から分化したM2マクロファージとその前駆細胞がほとんどである(Masuda et al. J Am Heart Assoc. 2014)。 以上により、高機能細胞E-MNCを応用した唾液腺再生技術の開発は、基礎研究から臨床研究に移行すべき段階にあり、今後は再生医療等安全確保法に則り、本治療法の安全性と有効性を臨床研究において検討を加えていく必要がある。本治療法により安全性と有効性の高い唾液腺再生治療法が確立されれば、これまでに有効な治療法が確立されていない重度唾液腺萎縮症患者の疾患克服および健康増進に大きく寄与すると考えられる。 |
歯科医師 | |||||
住田 吉慶 | Asahina Izumi | ||||
長崎大学 | Nagasaki University | ||||
生命医科学域 顎口腔再生外科学分野(先進口腔医療開発学分野) | |||||
851-8588 | |||||
長崎県長崎市坂本1-7-1 | 1-7-1 Sakamoto, Nagasaki | ||||
095-819-7706 | |||||
y-sumita@nagasaki-u.ac.jp | |||||
自施設 | |||||
自施設に当該研究で必要な救急医療が整備されている。 |
住田 吉慶 | Sumita Yoshinori | ||||
長崎大学 | Nagasaki University | ||||
先進口腔医療開発学分野 | |||||
852-8511 | |||||
長崎県長崎市坂本1-7-1 | 1-7-1 Sakamoto | ||||
095-819-7706 | |||||
095-819-7718 | |||||
y-sumita@nagasaki-u.ac.jp |
医師 | ||
長井 一浩 | ||
長崎大学病院 | ||
細胞療法部・細胞プロセシングセンター(CPC) |
歯科医師 | ||
大場 誠悟 | ||
長崎大学 | ||
生命医科学域 顎口腔再生外科学分野 |
歯科医師 | ||
黒嶋 伸一郎 | ||
長崎大学 | ||
生命医科学域 口腔インプラント学分野 |
歯科医師 | ||
井 隆司 | ||
長崎大学 | ||
生命医科学域 顎口腔再生外科学分野 |
歯科医師 | ||
佛坂 由可 | ||
長崎大学病院 | ||
診断管理学 放射線学 |
歯科医師 | ||
五月女 さき子 | ||
長崎大学病院 | ||
周術期口腔管理センター |
歯科医師 | ||
住田 吉慶 | ||
長崎大学 | ||
生命医科学域 先進口腔医療開発学分野 |
医師 | ||
熊井 良彦 | ||
長崎大学 | ||
生命医科学域 耳鼻咽喉・頭頚部外科学分野 |
長崎大学 | ||
梅田 正博 | ||
長崎大学 | ||
生命医科学域 口腔腫瘍治療学分野 |
長崎大学 | ||
吉村 篤利 | ||
長崎大学 | ||
生命医科学域 歯周歯内治療学分野 |
セルアクシア株式会社 | ||
佐藤 功 | ||
セルアクシア株式会社 | ||
なし | ||
なし | ||
長崎大学 | ||
住田 吉慶 | ||
長崎大学 | ||
生命医科学域 硬組織疾患基盤研究センター |
無 |
高機能細胞E-MNC | |
長崎大学病院 | |
被験者 | |
被験者の選択基準により確認。 | |
血液採取(実施場所:長崎大学病院細胞療法部自己血・成分採血室)は、細胞療法部医師が実施する。採血は、細胞療法部医師が採血前の診察にて問診の上、血圧と体温を確認し、採血が可能と判断した場合に実施される。採血は、通常の方法にて患者からヘパリン入り真空採血管へ末梢血を採取する。採取した血液は、速やかに長崎大学病院CPCに搬送され、同施設内で無菌的に投与用細胞の培養を行う。細胞の調整は、単核球を培養後に回収し投与用細胞とする。投与用細胞の調整は、全て長崎大学病院CPCにて実施する。 |
高機能細胞治療薬E-MNC | ||
【製造の方法】 末梢血の採取は、長崎大学病院細胞療法部において、被験者の上腕より静脈血を採血する。採血は通常の方法にて、ヘパリン入り真空採血管やヘパリンを入れたシリンジを用いて行う。 採血された末梢血は、細胞療法部に隣接する長崎大学病院CPCに速やかに搬送され、同施設内で無菌的に投与用細胞の培養を行う。細胞の調整は、単核球を培養後に回収し、投与用細胞とする。なお、培養に使用しなかった単核球(PBMNC)は長崎大学CPC内に液体窒素下(気相)で保管する。投与細胞は長崎大学病院CPC内で調整後、確認検査用検体を採取し、細胞数、細胞生存率を確認の上、治療に用いる。細胞の投与は、長崎大学病院手術室にて、局所あるいは静脈内鎮静法併用下での麻酔でシリンジとエコーを用いた用手的な手技で行う。 【品質管理の方法】 厚生労働省通知「ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保について(平成12年12月26日医薬発第1314号)」及び「第3回厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会(平成14年5月2日開催)」議事録などを参考にして試験項目を決定した。 1) 試験検査に関する設備及び器具の点検整備、計器の校正等に関する事項: 施設のCPC内で使用する培養機器・器具・遠心器は、設置時に設備の適格性の確認を行い、また、定期的(機器により設定する)に再点検・整備(必要と判断された場合は計測機器の校正を含む)を行って、適切に作動していることを確認しておく。点検整備に関しては機器メーカーの取扱説明書等を遵守する。不適切な場合は、修理を行い適切な作動を確保する。 2) 特定細胞加工物等及び資材の試験検査における検体の採取等に関する事項: 患者毎に採取年月日、採取量が明記し、その手順を特定細胞加工物標準書に則って記載する。 3) 検体の識別及び区分の方法に関する事項: 患者への投与時期を考慮して細胞を培養・調整して使用するため、他の患者の検体との混同や交差汚染が起きる可能性は低いが、防止策として採血管のラベル貼付等によりそれぞれの検体間を混同しない様適切に区別する。 4) 検体の試験検査に関する事項: 手術室にて、ディスポーザブルシリンジを用いて無菌的に処理された濃縮細胞液を患者の顎下腺に直接移植する。移植する細胞は、その製造工程で無菌検査、エンドトキシン、マイコプラズマ試験を実施する。 5) 交付・搬送: 培養にて製造された細胞は長崎大学病院CPC内で投与用に調整する。調整終了後は、手術室内で対象病変部位に使用する。 6) 管理・保管: 細胞投与時は、長崎大学病院CPCで直ちに投与用に調整後、その一部を確認検査用検体として分取する。確認検査用検体を用いて細胞数、細胞生存率を算出する。CPCにて調整された投与細胞は、直ちに手術室で無菌的に患者に移植する。ただし、残りの検体は長崎大学病院CPCにおいて保管する。 |
||
投与方法は顎下腺内に直接投与する。 | ||
無 | ||
国立大学法人 長崎大学 | ||
FC7160003 | ||
長崎大学病院細胞プロセシングセンター | ||
なし |
該当なし | ||
無 | ||
無 | ||
無 | ||
無 |
セルアクシア株式会社 | ||
有 | ||
セルアクシア株式会社 | CellAxia Inc. | |
非該当 | ||
有 | ||
2018年10月01日 | ||
無 | ||
無 |
有 | ||
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED) | Japan Agency for Medical Research and Development | |
非該当 |
基本的に自己の血液由来の単核球細胞である体細胞を用いて、無血清培地による単純閉鎖系(培地交換なし、継代なし)の短期間培養により得られる細胞であるため、多能性細胞で不安視される造腫瘍性リスクはないと考えられ、自己細胞であるため、毒性リスクも科学的に考えにくい。 培養後に得られる細胞はリンパ球と単球から分化したM2マクロファージがほとんどである。 これらのことから本品の安全性は確保されていると考える。 念のため、現在、唾液腺局所に本品を投与した場合の一般毒性試験を実施中であり、非臨床での安全性を確認した上で長崎大での臨床研究を実施する予定である。 【特定細胞加工物の概要】(その特性及び規格,規格の設定根拠,外観等) ・化学構造 自己の末梢血単核球細胞群であり化学構造での表現は適さない ・分子式 自己の末梢血単核球細胞であり,分子式での表現は適さない ・質量 自己末梢血由来培養単核球6x10e6細胞数以上を含有する細胞であり、被験者固有の特性があるため末梢血単核球細胞の総質量は一定でない ・一般特性 ヒト末梢血単核球細胞を培養することでCD11b陽性細胞等を含む抗炎症作用や組織修復作用を有する細胞群であり,ドナー固有の特性を保持しており,自家移植の場合,組織適合性等の問題は少ないものと考えられる。また、本細胞群は末梢血単核球よりM2マクロファージが富化されることで主要な活性を示す細胞群と考えられている。 ・生物活性 本品は,M2マクロファージを含む細胞群であり、これらにより抗炎症作用、組織修復作用を発揮する。 ・不純物 (a) 工程由来不純物 本品は、製造工程に培養工程を含むことから、培養に用いる培地成分が細胞以外の成分として混入する可能性がある。培地由来不純物としては、ヒトアルブミンの他、複数の細胞増殖因子および抗生物質としてペニシリン、ストレプトマイシンおよびアンホテリジンBを含む可能性がある。 又、本製品製造における培養過程で用いるStemlineⅡ培地(Sig ma)には、非自己由来材料としてヒトアルブミンを含むことが示されているが、本培地はGMPグレードで製造され、製造元よりヒトアルブミンがHIV-1, HIV-2, HCV, HBsV抗体と反応しないドナー由来である事が示されており、製造地アメリカにおいてFDAのDMF (Drug /Device Master File)に登録されていることから、製品の安全性を含む品質が確保されていると考えられる。 (b)目的物由来不純物 本品は,製造工程において,細胞分離工程,細胞培養工程および洗浄工程ならびに凍結工程を含み,これらの過程において細胞死に至った細胞が存在し,その際に生じるデブリ(死細胞破片成分)が不純物として混入する可能性がある。なお,本成分は自己由来成分であり,多くは培養工程での洗浄工程で除かれるものと考えられる。また残った目的物以外の細胞は自己由来であり,移植において重度の炎症などの有害事象の原因とはならないものと推察される。 |
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【E-MNC投与の効果に関する情報】 本臨床研究に用いる高機能細胞E-MNCは、培養前の末梢血由来単核球(PBMC)にはほとんど無いM2マクロファージが大幅に増加する。M2マクロファージは抗炎症性マクロファージと呼ばれ、IL-10などの抗炎症性サイトカインを産生し、T h2免疫応答を誘導して炎症状態の鎮静化、組織回復、創傷治癒、免疫抑制機能などhomeotstasis(生体の恒常性)の維持機能を発揮する(Murray et al. Immunity 2014)。このような科学的なデータからE-MNC治療は重度の唾液腺萎縮症で破壊された腺組織において組織再生の修復起点となる組織修復、抗炎症効果、免疫制御効果がもたらすことにより、放射線障害による不可逆性の唾液腺萎縮症の根治療法として期待できる。そこで、放射線障害による唾液腺萎縮モデルマウスにおいて、照射3日後にE-MNCを顎下腺に直接投与したところ、1度の細胞投与のみで唾液流出量の増加、および組織障害の軽減化を認め、さらに強い唾液腺幹細胞の活性化とそれに引き続き唾液分泌を担う腺房細胞の再生を確認した。また、唾液腺組織における炎症性サイトカインの抑制と、血管新生の亢進も確認された。この細胞治療の特筆すべき点は、これまで治療効果の報告されている骨髄細胞や間葉系幹細胞による細胞治療と比較して、約100分の1程度の少ない細胞数で同等の治療効果をもたらしたことである(I, Sumita et al. Stem Cell Res Ther 2019)。これらのことから、E-MNCは自己末梢血由来の細胞であること、短期間で投与用細胞を準備できること、患者負担や製造上の過度な設備負担もなく細胞治療の欠点を克服でき、治療法がない難治性の唾液腺萎縮症に対し、安全で有効であると考えられる。 【投与予定細胞の検討】 われわれは、マウスの頸部に放射線を照射することで作出した放射線性唾液腺障害モデルを使用して、照射3日後(照射直後)および4週後(障害確立後)に5x104、1x105、4x105個、および1x106個のE-MNCを顎下腺に直接投与した。その結果、最少用量である5x104個のE-MNC投与についても、1度の細胞投与のみで唾液流出量の増加、および組織障害の軽減化を認めた。そして、その治療効果のメカニズムとして、唾 液腺組織における炎症性サイトカインの抑制と、血管新生の亢進が確認でき、移植後期では放射線障害による組織の繊維化についても軽減化が認められた。この細胞治療の特筆すべき点は、これまで治療効果の報告されているBMDCや間葉系幹細胞による細胞治療と比較して、それらの約1%程度と少ない細胞数で治療効果をもたらしたことである(I, Sumitaet al. Stem Cell Res Ther 2019)。更に、このE-MNCに関して、マウスにおける病態モデルとして、放射線照射4週間後の機能障害が確立した時期にマウス末梢血から製造したE-MNCを投与する非臨床研究を実施したところ、前述の基礎研究と同様に一度の顎下腺への細胞投与(1x105個)にて、高い治療効果(唾液流出量の回復)を得ることができた。即ち、E-MNC投与により組織障害部位が正常化し、唾液組織の再構成ともいえる強力な薬理効果が確認された。このことから、E-MNCは、少数の細胞で効果発現が期待でき、さらに前述したように細胞源が末梢血であることと、一週間以内という短期間で移植に足る細胞数を確保できることから、組織採取の侵襲や培養の不安定性、労力といった細胞治療の欠点を克服でき、臨床応用に有用なツールになり得る。本研究では、前述の病態モデルマウスで薬効を発揮した細胞数(40万から100万個)を指標にして、マウスとヒトの組織重量比から換算した細胞数を投与量とした。 |
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【原料】 本品は患者本人の血液を用いた自家細胞移植であるため、既往歴の確認、問診の実施を行い、感染性の検査は不要とする。 【受入試験】 患者血液より分離したPBMCについて、細胞数、生存率を測定する。 品質試験として、不溶性異物試験、外観試験、無菌試験に関する適合の可否を判定する。 【製品の規格】 品質試験(外観試験、確認試験、純度試験、含量、力価)の各試験に関する適合の可否を判定する。 【その他、特定細胞加工物の品質に関わる安全性評価項目】 ウィルス否定試験(ウィルス4種(サブタイプ含めて6種))、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験、無菌試験が、全て陰性であることを確認する。 【特定加工物の投与の可否の決定】 移植前に出荷試験項目について,以下の試験を行う。試験検体は個別患者末梢血液より得られた培養単核球の懸濁液および培養上清液とする。出荷試験項目(性状試験)が適合の場合のみ,本品を出荷可能とする。 以上、詳細は添付の特定細胞加工物標準書および特定細胞加工物概要書の通り実施する。 |
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下記1) から3) のいずれかの事項に該当し、責任歯科医師が臨床試験継続を困難と判断した場合、責任歯科医師はその時点で臨床試験の一部または全体を中断する。その上で、臨床試験の一部または全体を中止するか否かを決定し、その旨を文書に記録する。 1) 臨床試験に関する新たな安全性情報または重篤な有害事象の情報が得られた場合。 2) 責任歯科医師または長崎大学病院のいずれかが、再生医療等安全性確保法、臨床試験実施計画書から重大な逸脱を行った場合。 3) その他、本試験実施中に試験の中止・中断が必要と考えられる新たな情報が得られた場合。責任歯科医師は、独立安全性委員会や長崎大学病院臨床研究倫理委員会などとの協議により本試験の一部または全体の中止を決定した場合、速やかにその旨を理由とともに、長崎大学病院に文書で通知する。長崎大学病院長は、速やかにその旨を理由とともに、特定認定再生医療等委員会に文書で通知する。責任医師は、理由の如何を問わず本試験が中止または中断された場合、本試験に参加中の被験者に速やかにその旨を通知し、適切な処置ならびに被験者の安全性を確認するための検査などを実施する。 |
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試料は施錠可能なディープフリーザーにて総括報告書提出日より10年間保管される。 | ||||||
試料はオートクレープの後、破棄される。 | ||||||
【一次報告】(2 4時間以内) 報告義務のある有害事象あるいは重大な事態が発生した場合、責任歯科医師は、本プロトコル治療との因果関係の有無に関わらず、発生を知った時点から速やかに長崎大学病院長および臨床研究センター長に口頭または電話にて連絡し、報告義務のある有害事象の場合には「別紙様式第1 疾患等報告書(委員会報告用)」、「別紙様式第2 疾患等報告書(厚生労働大臣報告用)」にその時点までに把握できている情報 を記載して、24時間以内に提出する。 【二次報告】(7日以内) 責任歯科医師は、死亡もしくは死亡につながるおそれのある症例については、事態を知った時点から7日以内に、治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例、障害、障害につながるおそれのある症例、重篤である症例、後世代における先天性の疾病又は異常については事態を知った時点から15日以内に「重篤な有害事象に関する報告書」を完成させ、長崎大学病院長および長崎大学病院臨床研究倫理委員会、再生医療等提供計画に記載された特定認定再生医療等委員会に提出する。 【詳細調査報告】 長崎大学病院臨床研究倫理委員会および特定認定再生医療等委員会から詳細な情報の提供を要請された場合、責任歯科医師は長崎大学病院臨床研究倫理委員会および特定認定再生医療等委員会の指示に従って調査を行い、報告書を提出する。 【最終報告】 責任歯科医師は、重篤な有害事象の転帰が確定した後、二次報告後の経過及び転帰に関する報告書を作成し、長崎大学病院長および長崎大学病院臨床研究倫理委員会と、特定認定再生医療等委員会に提出する。 |
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手術後1日目および1, 2,4,6,8,16週(4ヶ月), 6, 9, 12ヶ月において、経過観察(自覚症状の確認及び口腔内診査)を実施する。これに加え、唾液分泌量測定試験を治療後2,4,6,8,16週(4ヶ月), 6, 9, 12ヶ月目に実施する。頭頸部CT /MRI撮影は、4, 8,16週(4ヶ月), 12ヶ月目に実施する。 術後4週目にて独立安全性委員会にて安全性について評価を受け、その後の追加観察期間となる術後12か月目においても同委員会にて評価を受ける。 |
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研究参加期間として、移植手術後1年まで追跡する。なお研究参加期間終了後は、長崎大学病院にて6ヶ月ごとの定期検診が継続的に行われるため、分担医師連携のもと患者状況の把握に努め、通常診療として患者同意のもと観察(唾液分泌量測定及び頭部画像撮影)を継続する。また、研究参加期間終了後においても責任医師を通じて、患者からの相談を受け付けるものとする。 | ||||||
有 | ||||||
2019年03月19日 | ||||||
2019年03月19日 | ||||||
募集終了 | Not Recruiting | |||||
無 |
有 |
九州大学病院特定認定再生医療等委員会 | Kyushu University Certified Special Committee for Regenerative Medicine | |
NA8150001 | ||
福岡県福岡市東区馬出三丁目1番1号 | 3-1-1 Maidashi, Higasi-ku, Fukuoka, Fukuoka | |
092-642-5063 | ||
byshasiwatas@jimu.kyushu-u.ac.jp | ||
第一種再生医療等又は第二種再生医療等を審査することができる構成 | ||
適 | ||
2018年03月16日 |
再生医療に関する記録は、下記の事項に則り、医療を受けた患者ごとに記録し、保存する。 【個人情報事項】 1)再生医療等を受けた者の住所、氏名、性別及び生年月日 2) 病名及び主要症状 3) 使用した特定細胞加工物又は再生医療等製品の種類、投与方法その他の再生医療等の内容及び評価 4) 再生医療等に用いる細胞に関する情報 5) 特定細胞加工物の製造を委託した場合は委託先及び委託業務の内容 6) 再生医療等を行った年月日 7) 再生医療等を行った医師又は歯科医師の氏名 【匿名化の方針】 患者試料は施設内では匿名化されないが、外部への検査委託、検体の保管時、本試験の結果解析時には連結可能匿名化を行う。匿名化及び対照表の管理は個人情報保護管理者が行う。 【匿名化の方法】 試料を採取した段階でそれぞれ番号付けされる。匿名化および番号は紙台帳にて管理される。検査等を外部へ発注する場合には番号のみでやり取りされるため、検査等によって得られた結果と特定の個人とが第三者により結び付けられることはない。 【情報管理体制】 責任歯科医師が保管する同意書のコピーなど個人情報は施錠可能な研究室内の鍵のかかる保管庫にて管理される。対照表は個人情報保護管理者により管理される。資料は匿名化されているが、研究データについても施錠による管理を行う。症例報告書の作成・取り扱い、医学雑誌等への発表においては被験者の秘密は保全する。被験者の秘密保持の立場から、診療録、検査データ、被験者の同意に関する記録は当院において、また、症例報告書及びそれに準ずる書類は責任歯科医師の所属する研究室において、それぞれ保存する。これらの記録等は監督官庁の監査あるいは他機関からの相互監査の請求があれば開示されるが、その秘密は保持される。研究責任者は、これらの記録等を総括報告書提出日より10年間保存し、必要に応じて検索できるように保存する。 |
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本研究の実施責任者・分担医師・歯科医師、研究協力者は、研究の実施・参加に際し、全員CIT I JAPANプロジェクトによるe-ランニングプログラムの受講は必須である。また、継続研修として、長崎大学病院臨床研究センター主催の「臨床研究に関する研修会」および「臨床研究・治験推進セミナー」を対象に年に一度以上の受講が義務付けられる。さらに、厚生局や日本再生医療学会など外部機関が実施する教育・研修または学術集会に参加し、再生医療等の提供に係る倫理や具体的な実施方法などについて常に情報収集に努める。 | ||
本臨床試験に関する相談、苦情、あるいは個人情報に関する相談、苦情については以下を窓口とする。 長崎大学病院 安全・広報課 T EL: 095 – 819 – 7616(代表) 安全・広報課にて受けた苦情や問い合わせについては、速やかに内容を実施責任者に報告される。実施責任者は、内容を検討し、必要な場合に担当医師・歯科医師に詳細な情報の提供を要請する。その上で、分担医師・歯科医師および研究協力者と協議のもと、対策の必要性とその内容について決定を行う。実施責任者は、苦情や相談の内容と対策の内容について長崎大学病院長に報告を行う。 |
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非該当 | ||
なし | none | |
無 | ||
非該当 | ||
非該当 | ||
非該当 | ||
4 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式 | 2020年10月30日 継続審査後 説明同意文書改訂版MSr1.pdf |
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