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再生医療等提供計画情報の詳細情報です。

第二種
令和元年12月23日
令和6年3月27日
自己細胞シートによる軟骨再生治療
自己軟骨細胞シート軟骨再生臨床研究
東海大学医学部付属病院
渡辺 雅彦
変形性膝関節症(膝OA)の軟骨欠損に対して、高位脛骨骨切り術(HTO)が適応となる変形性膝関節症患者を対象に、膝関節機能の改善及び膝OAの軟骨欠損を本来の関節軟骨を構成する硝子軟骨での修復再生を目的として、HTOに併用して軟骨細胞シート移植法により軟骨欠損部を治療し、その有効性と安全性を確認するものである。
2-3
変形性膝関節症の軟骨欠損
募集中
東海大学特定認定再生医療等委員会
NA8150022

1 提供しようとする再生医療等及びその内容

申請者情報

令和6年3月27日
jRCTb030190166
東海大学医学部付属病院
神奈川県神奈川県伊勢原市下糟屋143
渡辺 雅彦 Watanabe Masahiko

(1)再生医療等の名称及び分類

自己細胞シートによる軟骨再生治療 Regenerative therapy for articular cartilage using autologous cell sheets
自己軟骨細胞シート軟骨再生臨床研究 Clinical study on the regenerative therapy for articular cartilage using autologous cell sheets
第二種
本再生医療は、膝関節軟骨の修復・再生を目的とし、被験者自身の膝関節組織由来の軟骨細胞を培養・加工したものを使用するため。

(2)再生医療等の内容

変形性膝関節症(膝OA)の軟骨欠損に対して、高位脛骨骨切り術(HTO)が適応となる変形性膝関節症患者を対象に、膝関節機能の改善及び膝OAの軟骨欠損を本来の関節軟骨を構成する硝子軟骨での修復再生を目的として、HTOに併用して軟骨細胞シート移植法により軟骨欠損部を治療し、その有効性と安全性を確認するものである。
2-3
実施計画の公表日
2029年12月31日
20
介入研究 Interventional
単一群 single arm study
非盲検 open(masking not used)
ヒストリカルコントロール historical control
並行群間比較 parallel assignment
治療 treatment purpose
下記の選択基準を全て満たし、かつ同意能力を有する患者を対象とする。
①同意取得時の年齢が20歳以上80歳未満(性別を問わない)の患者。
②変形性膝関節症(高位脛骨骨切り術適応)の患者。
③臨床研究参加について、患者本人から文書で同意が得られていること。
④関節鏡所見でOuterbridge分類評価がGrade III以上のもの。
⑤大腿骨顆部または大腿膝蓋関節部に1.0 cm^2以上8.4cm^2未満の軟骨欠損を有すもの。
*HTO適応基準
1.内側型のOA。
2.外側の半月板・軟骨が保たれている。
3.膝蓋大腿関節のOAがないか、あっても軽度のもの。
4.術前大腿脛骨角(FTA)が185度以下のもの。
5.膝の拘縮がない。
6.膝の靭帯損傷がない。
Patients must meet all of the following criteria and have the ability to give informed consent:
1. 20 to 79 years of age at the time of giving consent (no restrictions on sex)
2. Patient with osteoarthritis of the knee (with indication for high tibial osteotomy)
3. Written consent from the patient for the participation in the clinical study
4. Cartilage defect under arthroscopy of greater than or equal to Outerbridge classification Grade III
5. Cartilage defect of 1.0 cm^2 or above to less than 8.4 cm^2 located at the condyle of the femur and/or the patellofemoral joint.

* Indication criteria for high tibial osteotomy (HTO)
1. Osteoarthritis of the knee on the medial side
2. Intact meniscus and cartilage on the lateral side
3. No or slight osteoarthritis of the patellofemoral joint
4. Femorotibial Angle (FTA) of equal or less than 185 degrees
5. No knee flexion contracture
6. No damage to knee ligaments
下記の除外基準に1つでも当てはまる患者は対象としない。
①患者の特別な配慮が必要となり倫理的に困難な場合。
②重篤な心疾患、呼吸器疾患を有している場合。
③術前検査で、問題となるような感染症(HBV, HCV, HIV, HTLV-1,梅毒)検査で陽性と判定された場合。
④軟骨病変への外科的治療歴がある場合。
⑤妊娠中又は妊娠している可能性がある女性。授乳中である女性。
⑥その他、臨床研究責任者又は研究分担者が本臨床研究への施術に伴い重大な支障を生じると判断したもの。
Patients who meet any one of the following criteria will be excluded
1. Requires special ethical considerations
2. Has serious heart or respiratory disease
3. Tests positive in preoperative tests for problematic infectious disease such as HBV, HCV, HIV, HTLV-1, syphilis
4. Has had surgical procedures to treat cartilage legions in the past
5. Women who are pregnant or lactating or are possibly pregnant
6. Any other condition deemed seriously problematic to the operation by the principal investigator or co-investigators of this clinical study
20歳 以上 20age old over
80歳 未満 80age old not
男性・女性 Both
下記に該当する場合、同意が得られていても直ちにプロトコール治療を中止する。ただしフォローアップ及び有効性・安全性データの収集は可能な限り継続する。
【臨床研究対象者毎の中止基準】
①本人が臨床研究参加の中止を求めた場合。
②手術中に全身状態の悪化があり手術を中止しなければならない状態になった場合。
③術中所見により予定された術式が変更になった場合。
④術中所見により本診断が不適当と認められた場合。
⑤術中、何らかのトラブルにより重大な合併症が引き起こされた場合。
⑥重篤な有害事象が生じた場合。
【臨床研究全体の中断・中止基準】
下記に該当する場合、臨床研究全体を中止又は中断する。
①特定認定再生医療等委員会または先進医療技術審査部会等により臨床研究を継続すべきでない旨の意見を受けた場合。
②重篤な有害事象等の重大事態が発生した場合。
③研究計画書の重大な違反/不遵守が判明した場合。
④その他、臨床研究責任者又は研究分担者が本臨床研究を中止すべきである、又は継続が不可能と判断した場合。
変形性膝関節症の軟骨欠損 Cartilage defects associated with osteoarthritis of the knee
高位脛骨骨切り術
軟骨欠損部に自己細胞シートの移植
High tibial osteotomy
Autologous cell sheet implantation on cartilage defects
【有効性に関する主要評価項目】
J-KOOS( Japanese Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score)による術前術後1年の臨床評価。
Primary Outcome Measure of efficacy:
Evaluation of the patient self-assessed outcome scores at one-year postoperative by J-KOOS (Japanese Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score)
【有効性に関する副次評価項目】
1)病理検査(再生組織部位のバイオプシー)
2)関節鏡検査
3)MRI画像評価
4)Lysholm Knee Scoreによる臨床評価

【安全性に関する副次評価項目】
重篤な有害事象発生割合
Secondary Outcome Measures of efficacy:
1) Histological evaluation of the repair site by biopsy
2) Arthroscopic evaluation
3) Morphological evaluation of the repair site by MRI
4) Clinical evaluation by Lysholm Knee Score

Secondary Outcome Measures of safety:
Incidence rate of serious adverse events
1.目的
膝OAの軟骨欠損に対して、膝関節機能の改善並びに軟骨欠損を本来の関節軟骨を構成する硝子軟骨による修復再生を目的として、HTOに併用して軟骨細胞シート移植法(RMSC法)により軟骨欠損部を治療し、その有効性及び安全性を確認する。
RMSC法
・不良組織の切除 (Resection of unhealthy tissue)
・骨髄刺激法でMSCsを誘導(Marrow Stimulating = MSCs Recruitment)
・軟骨細胞シートで被覆 (covered by Chondrocyte sheets)
2.適応症
 変形性膝関節症の軟骨欠損
3.研究デザイン
膝OAの軟骨欠損に対する治療として、軟骨細胞シート移植法による軟骨修復再生効果の有効性および安全性を確認するため、単一群、非盲検、本研究と別枠の前向き臨床研究であるHTOの治療効果を外部対照とし並行群間比較試験を実施する。J-KOOS変化量(術後1年時値-術前値)を比較し有効性を確認する。また、重篤な有害事象発生割合より安全性を確認する。
4.評価項目
主要評価項目:有効性 J-KOOSによる臨床評価
副次評価項目:有効性 病理検査、関節鏡所見、MRI画像評価、Lysholm Knee Scoreによる臨床評価
       安全性 重篤な有害事象発生割合
5.治療計画
①組織採取:関節鏡視下に、膝関節大腿側の非荷重部より被験者自身の軟骨組織、滑膜組織を採取する。
②軟骨細胞シートの作製:東海大学医学部付属病から株式会社セルシード細胞培養センター(CPC)へ採取した組織を運搬する。細胞を単離後、3-4週間の培養期間を経て、軟骨細胞シートが作製される。軟骨細胞シートは、手術日までにCPCより東海大学医学部付属病へ運搬される。
③RMSC法による軟骨細胞シートの移植:HTOに併用して、RMSC法により軟骨欠損部を治療する。
④術後経過観察:入院期間は約1ヶ月である(リハビリや安静度は、HTOのみを受ける場合と同程度)。術後1、3、6、12ヶ月および12ヶ月後は半年~1年おきに5年間経過観察を実施する。
6.臨床研究実施期間および目標症例数
予定試験期間:9年間(症例登録期間4年、総観察期間5年(主たる解析の観察期間1年))
<研究観察期間>臨床研究観察期間:手術日から1年。探索的観察期間: 手術日から5年。
研究対象者数:20例
7.研究組織
東海大学医学部外科学系整形外科学
東海大学医学部付属病院整形外科
株式会社セルシード 細胞培養センター(CPC)

再生医療等の内容(再生医療等の内容をできる限り平易な表現を用いて記載したものを含む):別紙の通り

2 人員及び構造設備その他の施設等

(1)人員及び構造設備その他の施設に関する事項

医師
佐藤 正人 Sato Masato
東海大学 Tokai Univercity
医学部医学科外科学系整形外科学
259-1193
神奈川県伊勢原市下糟屋143 143 Shimokasuya, Isehara, Kanagawa, 259-1193 Japan
0463-93-1121
sato-m@tokai.ac.jp
自施設
当該研究を実施する東海大学医学部付属病院は、特定機能病院の指定を受けており、高度救命救急センターを有し、必要な救急医療(X線装置、心電図、輸血および輸血装置、病床)が設備されている。

(2)その他研究の実施体制に関する事項

土屋 いずみ Tsuchiya Izumi
東海大学 Tokai Univercity
医学部医学科外科学系整形外科学
259-1193
神奈川県伊勢原市下糟屋 143 Shimokasuya, Isehara, Kanagawa, 259-1193 Japan
0463-93-1121
0463-96-4404
spring@tokai.ac.jp
医師
佐藤 正人
東海大学
医学部医学科外科学系整形外科学
医師
三谷 玄弥
東海大学
医学部医学科外科学系整形外科学
医師
高垣 智紀
東海大学
医学部医学科外科学系整形外科学
医師
浜橋 恒介
東海大学
医学部医学科外科学系整形外科学
東海大学
山下 哲平
東海大学
医学部医学科基盤診療学系臨床薬理学
東海大学
嶋澤 るみ子
東海大学
医学部医学科基盤診療学系臨床薬理学
東海大学
山下 哲平
東海大学
医学部医学科基盤診療学系臨床薬理学

(3)多施設共同研究に関する事項

3 再生医療等に用いる細胞の入手の方法並びに特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法等

(1)再生医療等に用いる細胞の入手の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

軟骨細胞
再生医療等提供機関と同じ
①細胞提供者の健康状態
細胞提供者は本臨床研究について十分な理解が得られている者とし、自己移植であることから再生医療等を受ける者の選択基準及び除外基準を満たす手術適応可能な健康状態の者とする。
②細胞提供者の年齢
自己移植であることから再生医療等を受ける者の選択基準を満たす年齢とする。
下記の既往歴を確認するとともに、輸血又は移植を受けた経験の有無等から、適格性の判断を行う。
①梅毒トレポネーマ、淋病、結核菌等の細菌による感染症
②敗血病及びその疑い
③悪性腫瘍
④重篤な代謝内分泌疾患
⑤膠原病及び血液疾患
⑥肝疾患
⑦伝達性海綿状脳症及びその疑い並びに認知症
⑧特定の遺伝性疾患及び当該疾患に係る家族歴

下記の感染症について、問診及び検査により感染していないことを確認し適格性を判断する。
①B型肝炎ウイルス(HBV)
②C型肝炎ウイルス(HCV)
③ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
④ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)
⑤パルボウイルスB19(必要な場合に限る)
関節鏡視下に膝関節大腿側の非荷重部より患者自身の軟骨組織及び滑膜組織を採取する。

(2)特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

自己積層化軟骨細胞シート
①採取した組織(細胞)の加工の方法(自己積層化軟骨細胞シートの作製)
被験者由来の軟骨組織、滑膜組織は、手術室から株式会社セルシード細胞培養センターへ運搬し、同施設内で細胞を単離し、共培養後、軟骨細胞シートを3層に積層化させ、初代細胞の播種から3-4週の培養により、自己積層化軟骨細胞シートを作製する。

②特定細胞加工物等の保管方法
37℃帯にて特定細胞加工物製造所または再生医療等を提供する機関で静置して保管する。投与可能期間は梱包後3日以内とする。

③試験検査の方法(品質管理)
安全性評価項目
受入検査として、被験者末梢血のウイルス否定試験並びに、軟骨細胞及び滑膜細胞について、微生物限度試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験を実施する。工程管理(軟骨細胞)として、単層細胞シートの積層化時から出荷前日工程までの期間に、微生物迅速試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験を実施する。出荷当日工程では、無菌試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験を実施し移植に用いる細胞シートの安全性を確認する。
品質評価項目
細胞数測定試験(細胞数、細胞生存率)、細胞純度試験(フローサイトメトリー)を実施して評価する。
手術室にて、高位脛骨骨切り術に併用して軟骨細胞シートを移植する。
株式会社セルシード
FA3160008
株式会社セルシード 細胞培養センター
①採取した組織(細胞)の運搬
東海大学医学部付属病院で採取された組織を株式会社セルシード細胞培養センターへ輸送する。

②採取した組織(細胞)の加工(自己積層化軟骨細胞シートの作製)
軟骨組織、滑膜組織片を細切し、酵素処理を行う。酵素処理で単離した軟骨細胞を、滑膜細胞と共培養する。細胞数がコンフルエントに達した後に、単層の細胞シートを3層に積層化し培養する。

③試験検査(品質管理)
・初代細胞播種(原料受入検査)
安全性検査のために組織輸送液を回収し、受入検査(微生物限度試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験)を実施する。
・培養工程
安全性検査のために培養上清を回収し、微生物迅速試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験を実施する。
・出荷前日工程(最終特定細胞加工物試験)
細胞数、細胞生存率、細胞純度の試験を実施する。
・出荷当日工程(最終特定細胞加工物試験)
安全性検査のために細胞シート輸送液の一部を回収し、無菌試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験を実施する。

④特定細胞加工物等の運搬
株式会社セルシード細胞培養センターより、東海大学医学部付属病院へ自己積層化軟骨細胞シートを輸送する。

(3)再生医療等製品に関する事項(再生医療等製品を用いる場合のみ記載)

(4)再生医療等に用いる未承認又は適応外の医薬品又は医療機器に関する事項(未承認又は適応外の医薬品又は医療機器を用いる場合のみ記載)

未承認

4 再生医療等技術の安全性の確保等に関す措置

(1)利益相反管理に関する事項

① 再生医療等に対する特定細胞加工物製造事業者からの研究資金等の提供その他の関与

株式会社セルシード

② 再生医療等に対する医療薬品等製造販売業者等からの研究資金等の提供その他の関与

③ 再生医療等に対する特定細胞加工物製造事業者又は医療品等製造販売業者等以外からの研究資金

(2)その他再生医療等技術の安全性の確保等に関する措置

特定細胞加工物に関する安全性についての検討
①非臨床安全性試験
・アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(Array Comparative Genomic Hybridization=アレイCGH)解析
継代培養による遺伝子レベルでの変化を確認するため、アレイCGHを用いて第4、6、12継代まで長期培養した細胞で評価した。第2継代を基準とし比較たところ、継代培養による明らかなコピー数異常が生じないことを確認した。
・造腫腫瘍性試験
生体内で腫瘍化しないことを確認するため、スキッドマウスを用いて第2継代の軟骨細胞を移植し、3週、12週および経過観察として24週で評価したところ、3週および12週では移植部へ軟骨細胞の残存が確認され、病理学的にも腫瘍化しないことを確認した。また24週では移植細胞の残存を認めなかった。
・体内動態
Bioluminescence imaging (BLI)を用いて体内動態について確認した。ラットに移植した軟骨細胞シートが長期間関節内に留まり、他の臓器等へ転移しないことをルシフェラーゼを発現するトランスジェニックラットから細胞シートを作製し、移植後IVISによりセルトレーシングを移植後21ヶ月以上実施し、移植グラフトは他へ転移せず膝関節内に限局していることが確認された。
(Yokoyama M et. al, Tissue Eng part C Methods, 2016)
(Takaku Y et. al, Biomaterials, 2014)
②臨床研究
変形性膝関節症を対象とした先行研究であるヒト幹細胞臨床研究において軟骨細胞シートの自己移植を8例に実施し、臨床研究中に、大きな不具合や副作用等の重篤な有害事象は認められなかった。
(Sato et al. NPJ Regen Med. 2019)
これまで、関節軟骨の修復・再生に関して基礎的研究を主に日本白色家兎並びにミニブタを用いて行ない、変形性膝関節症において常に混在している関節軟骨部分欠損(軟骨下骨に達しない軟骨内欠損)と全層欠損(軟骨下骨まで達する欠損で従来の治療法がターゲットとしているタイプ)の両タイプの軟骨欠損に対して、軟骨細胞シートによる関節軟骨修復再生効果を世界で初めて報告した。軟骨細胞シートは、欠損した軟骨からのプロテオグリカン流出の阻止や、関節液中の軟骨異化因子からの軟骨の保護、軟骨同化因子の持続的な供給、軟骨下骨から誘導される骨髄由来幹細胞の軟骨分化促進イニシエーターとしての機能等を介して、修復効果を発揮していると考えられる。
(Kaneshiro et al. Biochem Biophys Res Commun. 2006、Ito et al. Biomaterials. 2012、Ebihara et al. Biomaterials. 2012、Hamahashi et al. J Tissue Eng Regen Med)
先行の臨床研究では、治療1年後には膝関節機能の改善が得られ、また軟骨欠損部の修復再生を確認している。3年以上術後の経過観察しているが、経過は良好である。
(Sato et al. NPJ Regen Med. 2019)

<予想される利益について>
変形性膝関節症の軟骨欠損を生体本来の硝子軟骨で修復再生させることは、硝子軟骨の特性である優れた粘弾性や耐摩耗性などのような本来の関節機能が果たす機能面からも重要であり、長期的に良好な膝関節機能が維持されることで、生涯に渡り自分の関節を温存できることが期待される。

<予想される不利益について>
高位脛骨骨切り術でも予想される感染や血栓症などの発生の可能性が考えられる。また、軟骨細胞シートを構成するものは、自己の細胞のため、移植による拒絶反応はないと考えられるが、特定細胞加工物の製造上、ウシ胎児血清(FBS)使用のリスク、抗生剤使用のリスク、感染のリスクが考えられる。

変形性膝関節症において細胞シートの治療効果による安全で有効な治療効果が得られており、当該再生医療の提供には妥当性があると判断した。
特定細胞加工物の移植を行う際に、当該特定細胞加工物が特定細胞加工物概要書に従って製造されたものか確認のうえ、当該再生医療等を行う医師が移植の可否を判断する。
細胞の安全性に関する疑義が生じた場合には、再生医療等を行う医師は速やかに臨床研究責任者に報告し、臨床研究責任者は病院長(管理者)に報告すると共に、細胞の加工工程について特定細胞加工物製造事業者に対し、製造記録並びに試験記録等について確認、情報を収集して安全性に関して検証する。また、患者の健康状態を確認し、経過観察または治療が必要な場合には速やかに対応する。
自己移植であること、採取する軟骨細胞は少量であることから可能な限り軟骨細胞シート作製に使用するため基本的には細胞の一部等の試料は保管しない。ただし、細胞の収量によっては、余剰が出た場合には他の研究に用いる可能性を考慮して保管することとする。特定細胞加工物の一部等は、特定細胞加工物製造事業者または細胞治療アーカイブ等の事業への委託等により5年間保管する。
再生医療等に関する情報は、症例毎に同意取得の時点から起算し10年間とするが、可能な限り長期保管するように努める。
特定細胞加工物の一部等の保管期間終了後は、個人が識別できないように加工した上で、廃棄物管理に関する規定に従って医療廃棄物として破棄する。
再生医療等に関する情報は、保管期間終了後に破棄する際には、紙媒体及び電子媒体の情報は個人が識別できないように加工した上で、個人情報が外部に漏れないよう十分に配慮し破棄する。ただし、電子カルテに保管された情報については、破棄されない。
治療期間中に、本臨床研究との因果関係の有無にかかわらず重篤な有害事象が発現した場合、再生医療等を行う医師は速やかに臨床研究責任者に報告し、臨床研究責任者の指示の下、被験者に対して直ちに適切な処置を行うと共に、臨床研究責任者は、速やかに病院長(再生医療等提供機関管理者)に報告する。病院長は、再生医療等提供計画に記載された再生医療等の提供に起因するものと疑われる疾病等の発生を知ったときは、再生医療等安全性確保法に従い地方厚生局長または特定認定再生医療等委員会に報告する。
また、特定細胞加工物製造事業者又は再生医療等製品を用いた場合においては当該再生医療等製品の製造販売業者に対し、発生した事態及び講じた措置について速やかに通知する。
通常の手術療法の術後経過観察と同様に、外来診療にて原則として5年以上の定期的な外来受診及び検査(臨床評価、レントゲン、MRI検査、関節鏡検査等)を実施し、本再生医療等の効果について検証すると共に、本再生医療提供に起因する疾病等の有無を確認し、疾病等の発生について把握・追跡調査を行う。
外来診療にて疾病等の有無を確認し、健康状態等の情報を把握する。本再生医療等の提供に起因するものと疑われる疾病等が発生した場合に、当該疾病等の情報把握のため、一定の経過観察期間を設ける。
本再生医療等を受けた者の連絡先等を把握し、疾病等の発生について把握できる体制とし、付属病院の電子カルテシステム等への記録により把握する。
記録は、同意取得の時点から起算し10年間保管する。
実施計画の公表日
2020年04月07日
募集中 Recruiting

5 細胞提供者及び再生医療等を受ける者に対する健康被害の補償の方法

細胞提供者について

再生医療等を受ける者について

6 審査等業務を行う認定再生医療等委員会に関する事項

東海大学特定認定再生医療等委員会 Tokai university certified committee for regenerative medicine
NA8150022
神奈川県伊勢原市下糟屋143 143 Shimokasuya, Isehara, Kanagawa
0463-93-1121
saisei-tokutei@tokai.ac.jp
第一種再生医療等又は第二種再生医療等を審査することができる構成
2019年08月26日

7 その他

添付する個人情報取扱い規程に従う。
個人情報取扱い規程は、個人情報の取得、利用、第三者への提供、管理、開示・訂正等及び、当院情報システムの人的安全管理措置、物理的安全管理措置、技術的安全管理措置、システム監査についての事項を定めている。
本臨床研究においては、個人情報の匿名化は行わないものとする(患者IDにより管理し、一般の患者と同様の匿名性は維持される)。
研究に関わる関係者は下記の参加又は講習等を受け、常に最新情報の収集に努める。また、院内においても、定期的に院内スタッフ向けに研修を行い、実施した教育研修の記録は、外部団体実施の研修に合わせて記録を保管する。
・東海大学医学部付属病院 医療安全管理委員会主催の医師安全セミナー、院内感染防止セミナー、リスク管理セミナー等参加(数回/年)
・東海大学主催の研究倫理教育に関する講習会参加と「科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得-」通読
・日本再生医療学会総会参加、日本再生医療学会認定資格(臨床培養士)取得
苦情及び問い合せは、再生医療等を提供する意思および東海大学医学部付属病院の患者センター、総合相談室で対応する。連絡先は同意書に記載の他、病院ホームページでも患者支援センターについて確認することができる。
患者支援センターは、病院の組織として確立されたものであり、専門の相談員である医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が、患者やご家族の相談に応じることができる。
非該当
なし none
非該当
非該当
非該当

添付資料

4 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式 同意説明文書_Ver10.pdf

変更履歴

種別 公表日
届出外変更 令和6年3月27日 (当画面) 変更内容
軽微変更 令和6年3月27日 詳細 変更内容
変更 令和5年10月26日 詳細 変更内容
軽微変更 令和4年6月2日 詳細 変更内容
軽微変更 令和3年3月29日 詳細 変更内容
変更 令和2年11月27日 詳細 変更内容
新規登録 令和元年12月23日 詳細