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再生医療等提供計画情報の詳細情報です。

第一種
令和3年1月28日
令和5年7月21日
令和4年3月15日
網膜色素上皮(RPE)不全症に対する同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植
RPE不全症に対する同種iPSC-RPE細胞懸濁液移植の臨床研究
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
栗本 康夫
RPE変性または機能異常を来した様々な網膜変性疾患を疾患群としたRPE不全症を対象に、健常ドナー由来の人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell; iPS細胞)から分化誘導したRPE細胞を用いた同種iPS細胞由来RPE細胞移植を行い、有効性および安全性を検討する。具体的には、有効性評価として、対象となる網膜疾患に対する共通の主要評価項目として画像診断による移植RPE細胞の生着を置き、視機能維持または改善に対する有効性評価プロトコルの検証を行う。本研究で得られる結果を鑑みながら多施設臨床試験の実施へ移行し、本治療の有効性がより高い適応疾患の同定を目指す。
1-2
RPE不全症
募集終了
大阪大学第一特定認定再生医療等委員会
NA8140001

変更内容

研究の進捗状況
主たる評価項目に係る研究結果:
主たる評価項目に係る研究結果:移植を実施した1 例において、移植後のWindow defect面積は登録前と比較して24週では18%、52 週では20%の減少を認めた。
研究の進捗状況
Summary Results (Primary Outcome Results):
Summary Results (Primary Outcome Results):In one patient who underwent transplantation, the window defect area after transplantation decreased by 18% at 24 weeks and by 20% at 52 weeks compared to before enrollment.
1 認定再生医療等委員会意見書
1_認定再生医療等委員会意見書(変更申請)20210408.pdf
1_20230707_意見書(変更)_神戸アイセンター懸濁液移植.pdf
24 その他(本文中に掲載しきれない説明書類等)
主要評価項目報告書_20230425 (v1.0)_修正.pdf

1 提供しようとする再生医療等及びその内容

申請者情報

令和5年7月12日
jRCTa050200122
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
兵庫県神戸市中央区港島南町2-1-8
栗本 康夫 Kurimoto Yasuo

(1)再生医療等の名称及び分類

網膜色素上皮(RPE)不全症に対する同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植
allogeneic iPS cell-derived retinal pigmented epithelium (RPE) cell suspension for RPE impaired disease( aiPSC-RPE CS transplantation forRID )
RPE不全症に対する同種iPSC-RPE細胞懸濁液移植の臨床研究 Clinical Research of allogeneic iPSC-RPE cell suspension transplantation for RPE impaired disease( CR of aiPSC-RPE CS transplantation forRID )
第一種
同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液は、医政研発1031第1号(平成26年10月31日)の図2の再生医療のリスク分類チャートに照らし合わせた場合、以下のように、第一種再生医療等技術に該当すると判断される。政令の除外技術に該当しない→人の胚性幹細胞/人工多能性幹細胞/人工多能性幹細胞様細胞に該当する→第一種再生医療等技術に該当する。

(2)再生医療等の内容

RPE変性または機能異常を来した様々な網膜変性疾患を疾患群としたRPE不全症を対象に、健常ドナー由来の人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell; iPS細胞)から分化誘導したRPE細胞を用いた同種iPS細胞由来RPE細胞移植を行い、有効性および安全性を検討する。具体的には、有効性評価として、対象となる網膜疾患に対する共通の主要評価項目として画像診断による移植RPE細胞の生着を置き、視機能維持または改善に対する有効性評価プロトコルの検証を行う。本研究で得られる結果を鑑みながら多施設臨床試験の実施へ移行し、本治療の有効性がより高い適応疾患の同定を目指す。
1-2
実施計画の公表日
2031年02月28日
50
介入研究 Interventional
単一群 single arm study
非盲検 open(masking not used)
非対照 uncontrolled control
単群比較 single assignment
治療 treatment purpose
1) 臨床的にRPE不全症に該当する網膜変性疾患と診断されている。
2) 年齢20歳以上の男女である。
3) 蛍光眼底造影においてwindow defectを認める。
4) 矯正視力0.3以下、あるいは視野はゴールドマン動的量的視野(視標:V−4)で測定し視野20度以内、あるいはエスターマン静的量的視野で70点以下。
5) 説明文書・同意文書を理解する能力を有し、文書により同意が得られる。
1) clinically diagnosed as RPE impaired disease on the diagnostic criteria
2) male or female at 20 years of age or older
3) Window defect is observed by FAG.
4) collected visual acuity is less than 0.3 or less, or visual field measured with Goldman dynamic quantitative visual field (target: V-4) is within 20 degrees, or Estherman static quantitative visual field is 70 points or less.
5) Capable of understanding the documents of the research context and of informed consent and is able to provide a written informed consent
1) 眼感染症を合併している。
2) 眼圧コントロールのできない緑内障を有する。
3) 移植予定日より3か月前以内に被験眼において内眼手術を受けた(白内障手術を除く)。
4) 肝予備能の基準として、ビリルビン値、アルブミン値、プロトロンビン時間のいずれかが正常範囲外である。
5) 腎機能の基準として、クレアチニン値、eGFR(推算糸球体濾過値;estimated glemerular filtration rate)のいずれかが正常範囲外である。
6) B型肝炎ウイルス抗原及び抗体、C型肝炎ウイルス抗体、ヒト免疫不全ウイルス抗体、成人T細胞白血病ウイルス抗体、梅毒血清反応のいずれかが陽性である。
7) 抗凝固薬または抗血小板薬を、移植前に中止できないと当該診療科の主治医に判断されている。
8) 悪性腫瘍の合併または、同意取得前3年以内の既往を有する(ただし、上皮内癌の既往を有する患者については除外しない)。
9) 家族歴から家族性腫瘍の可能性が濃厚に疑われる。
10) 本臨床研究で使用する造影剤、抗菌剤、ステロイド剤、免疫抑制剤または麻酔薬の禁忌に該当する患者。
11) 妊娠中もしくは授乳中、妊娠している可能性がある。患者本人もしくはパートナーが妊娠を計画している。
12) 同意取得前1か月以内又は現時点で他の治験または介入を伴う臨床研究に参加している。
13) その他研究責任医師または研究分担医師が不適当と判断した場合。
14) 症例検討会にて、「不適当」と判断された場合。
1) Ocular infection
2) Glaucoma with poorly controlled intraocular pressure
3) The affected eye was received intraocular surgeries other than cataract surgery within 3 months
4) Any of bilirubin level, albumin level, and prothrombin time is outside the normal range as a criterion for liver function.
5) Either creatinine level or eGFR (estimated glomerular filtration rate) is outside the normal range as a standard for renal function.
6) B hepatitis virus, C hepatitis virus, human immunodeficiency virus, adult T-cell leukemia virus, cases of syphilis-positive
7) Unable to quit anti-coagulants or antiplatelet medication
8) Malignant carcinoma or its history in the past 3 years, however, this does not exclude patients with a history of carcinoma in situ.
9) Family history of hereditary tumors
10) Patients with contraindications for contrast agents, such as fluorescein or indocyanine green, antibacterial agents, steroids, immunosuppressants or anesthetics used in this clinical study
11) May be pregnant during lactation or lactation. The patient or partner is planning a pregnancy.
12) Participating in clinical studies involving other clinical trials or interventions within 1 month before obtaining consent or at the present time.
13) Judged inadequate by the principal investigator and coresearchers
14) When the case review meeting determines that it is "unsuitable".
20歳 以上 20age old over
上限なし No limit
男性・女性 Both
<被験者毎の中止基準>  
1)被験者が同意を撤回した場合
2)被験者が適格基準を満たさないことが判明した場合
3)臨床研究の継続が困難な有害事象が発生した場合
4)その他、研究責任医師が中止を判断した場合
<研究参加の中止基準>
1) 同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植が完遂できなかった場合
2) 有害事象
3) 追跡不能
4) 被験者からの参加取りやめの申し出
5) 実施計画書違反
6) 死亡
7) その他
<臨床研究の中止基準>
1)研究責任医師が同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植術に安全性上の問題があると判断した場合
2)研究責任医師が論文や学会発表などの関連情報を評価した結果、臨床研究継続の意義が無くなったと判断した場合
3)規制当局からの指導・命令、特定認定再生医療等委員会の意見、医療機関の管理者の判断等に基づき研究が中止される場合
RPE不全症 RPE impaired disease
ヒト(同種)iPS細胞由来RPE細胞懸濁液の網膜下移植(最大50µL:内移植細胞数2.5x10^5個を含む) subretinal transplantation of human allogenic iPSC-RPE cell suspension (up to 50 micro L involving 250 thousand cells
移植された同種iPS細胞由来RPE細胞の生着によるwindow defect(RPE異常領域)面積の減少 Reduction of window defect area (RPE abnormal lesion) by engraftment of transplanted allogeneic iPS cell-derived RPE cells
1) 同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植の有効性(視機能・QOL)
2) 同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植に対する視機能評価の指標の探索
3) 同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植の安全性
1) Effectiveness of allogeneic iPS cell-derived RPE cell transplantation (visual function/QOL)
2) Search for indicators of visual function evaluation for allogeneic iPS cell-derived RPE cell transplantation
3) Safety of transplantation of allogeneic iPS cell-derived RPE cells
別添の通り

2 人員及び構造設備その他の施設等

(1)人員及び構造設備その他の施設に関する事項

医師
栗本 康夫 Kurimoto Yasuo
地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立神戸アイセンター病院 Kobe City Eye Hospital
診療部
650-0047
兵庫県神戸市中央区港島南町2-1-8 2-1-8 Minatojima-minamimachi, Chuo-ku, Kobe Hyogo
078-381-9876
e_jrct@kcho.jp
他の医療機関
施設名:地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター 設備内容:救命救急センターは、全62床(E-ICU(救急専用集中治療室)8床、CCU(心臓疾患集中治療室)6床、救急病棟32床、第2救急病棟8床、MPU(精神科身体合併症病棟)8床)を持ち、通年終日体制(24時間365日)よる救急患者の受け入れを行っている。救命救急センター内には、救急専用に64列CTを設置しており、救急患者の迅速な画像診断が可能である。また、MRIなどの映像医学部門や内視鏡センター、血管造影部門も同一フロアに近接・集約しており、迅速かつ安全な緊急検査や処置が可能である。さらに、血液・化学・薬物毒薬分析体制も常時可能である。

(2)その他研究の実施体制に関する事項

山崎 茂樹 Yamazaki Shigeki
地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立神戸アイセンター病院 Kobe City Eye Hospital
事務局 経営管理課
650-0047
兵庫県神戸市中央区港島南町2-1-8 2-1-8 Minatojima-minamimachi, Chuo-ku, Kobe Hyogo
078-381-9876
078-381-9910
e_jrct@kcho.jp
医師
栗本 康夫
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
平見 恭彦
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
万代 道子
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
杉田 直
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
藤原 雅史
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
前田 亜希子
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
宇山 紘史
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
許沢 尚弘
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
仲泊 聡
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
横田 聡
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
医師
前田 忠郎
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院
診療部
株式会社インテリム
青野 正之
株式会社インテリム
臨床開発本部 データサイエンス部 データマネジメントグループ
株式会社インテリム
保科 明俊
株式会社インテリム
再生医療開発部
未定
横浜市立大学
山中  竹春
横浜市立大学 
医学部 臨床統計学
髙橋 政代 Takahashi Masayo
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院 Kobe City Eye Hospital
研究センター
非該当

(3)多施設共同研究に関する事項

3 再生医療等に用いる細胞の入手の方法並びに特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法等

(1)再生医療等に用いる細胞の入手の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

HLAホモ接合体ドナーのヒト末梢血由来単核球
京都大学医学部附属病院
日本赤十字社において、HLA 検査を行った成分献血者のうち、HLA ホモ接合体であることが確認された対象者に対して研究参加を依頼する手紙を送付。参加を応諾された対象者にリサーチコーディネーターが説明文書に沿って説明を行う。
『ヒト(同種)iPS(様)細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針』『生物由来原料基準』等に基づき適格性を確認。
iPS 細胞樹立のための採血は、カワスミミニバッグを用いて行う。対象者の要望で貼付用局所麻酔剤を使用することも可能。採血量は最大で100mLとする。

(2)特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

ヒト(同種)iPS細胞由来RPE細胞懸濁液
京都大学 iPS細胞研究所が作製した日本人最頻度のHLA型をホモ接合体で持つiPS細胞を出発原料として、国立研究開発法人理化学研究所 網膜細胞専用細胞調製施設(fRect)にて製造された他家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞ストックを用いて、移植予定日の2〜3週間前に細胞ストックを解凍し、回復培養したRPE細胞を、トリプシン-EDTAを用いて回収・遠心後、分注する。チューブを滅菌バックに封入して輸送容器に梱包し、手術室に搬送する。搬送後、手術室にて移植用デバイスで細胞懸濁液を吸引して網膜下へ移植する。
 製造工程における検査として、RPE細胞の形態観察、RPE細胞の増殖能を実施し、出荷判定試験として1) 生細胞率、生細胞密度、2)無菌試験、3)マイコプラズマ否定試験、4) エンドトキシン測定を実施する。
 なお、本臨床研究においては、特定細胞加工施設から製造終了後、速やかに輸送容器に梱包し手術室まで搬送されるため、投与までの保管は予定されていない。
手術室にて硝子体手術による網膜下挿入術により移植
独立行政法人神戸市民病院機構
FC5200016
神戸市立神戸アイセンター病院 網膜再生細胞手動調製室 (略称 EC-fRRM)
該当事項なし
HLAホモドナーPBMC由来Ff-iPS細胞(QHJI01s04株)
<概略>
「ヒト(同種)iPS(様)細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」などに沿って、iPS 細胞の調製を行う。細胞調製施設及び外部検査機関などで確立した品質管理システムを用いて、これらの細胞の安全性・品質・性状などの評価を行い、GMP省令が定める基準に適合したiPS 細胞ストックを作製する。

< iPS 細胞の樹立と保管>
末梢血単核球に対してエピソーマルベクターを用いて既知の遺伝子を導入する。遺伝子導入した細胞を基材をコーティングした培養皿上に播種しiPS 細胞の誘導を行う。出現してきたiPS 細胞のコロニーをピックアップし拡大培養を行いiPS 細胞のストックの作製を行う。適宜、無菌検査など必要な検査を行い細胞の品質の確保に努める。形態により選別したiPS 細胞クローンについて、ゲノム解析、核型解析、プラスミド残存試験、未分化マーカーの発現確認試験等を実施し、安全性が高いと考えられるクローンを絞り込む。作製したiPS細胞ストックは凍結保存する。
(なお、iPS細胞は財団(CiRA_F)設立前にCiRAから提供を受けた)
該当事項なし
公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団
FA5200001
公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団細胞調製施設(FiT)
該当事項なし

(3)再生医療等製品に関する事項(再生医療等製品を用いる場合のみ記載)

(4)再生医療等に用いる未承認又は適応外の医薬品又は医療機器に関する事項(未承認又は適応外の医薬品又は医療機器を用いる場合のみ記載)

4 再生医療等技術の安全性の確保等に関す措置

(1)利益相反管理に関する事項

① 再生医療等に対する特定細胞加工物製造事業者からの研究資金等の提供その他の関与

② 再生医療等に対する医療薬品等製造販売業者等からの研究資金等の提供その他の関与

③ 再生医療等に対する特定細胞加工物製造事業者又は医療品等製造販売業者等以外からの研究資金

(2)その他再生医療等技術の安全性の確保等に関する措置

これまでに、様々な方法で作製したiPS細胞由来RPE細胞の造腫瘍試験を多数おこなってきているが、腫瘍が形成された事例は1例も存在しない。前回のRPE細胞の他家移植に先立ち、CiRAで樹立された臨床株(QHJI01-s04)から分化誘導したRPE細胞の安全性について、NOGマウスを用いた造腫瘍試験により確認した。他家移植用として製造したRPE細胞について、一部の細胞を実際の患者移植用とは別に取り分け継代したRPE細胞を、NOGマウス皮下およびヌードラット網膜下に移植し造腫瘍性について確認した。投与後最長71週後のRPE移植群のNOGマウス(1ロット目:3匹、2ロット目:1匹)合計4匹及び、投与後最長79週後のRPE移植群のヌードラット(1ロット目:78週後3匹、2ロット目:78週後1匹、79週後2匹)合計6匹について剖検をおこなった。その結果、QHJI01-s04細胞由来RPE細胞移植群では移植組織片に腫瘍形成の兆候は認められず、その他各臓器においても異常は確認されなかった(特定細胞加工物概要書、安全性及び妥当性についての検討内容、第2項の図1と図2を参照)。従い、実施された安全性試験の結果を踏まえ、本特定細胞加工物の造腫瘍性リスクは極めて低いと考えられた。また、移植手技の硝子体手術、網膜下手術についても特別新しい眼科手術手技ではなく、安全に実施可能と考えられる。
RPEは網膜外層に存在し色素を持する一層の色素上皮細胞であり、網膜視細胞の光応答におけるストレス緩和及び視細胞機能維持等、網膜の恒常性維持における重要な役割を担っている。その重要性から、RPEに発現する遺伝子異常や加齢に伴う酸化ストレス及び老廃物の異常蓄積等加齢に伴う病的変化が原因となり、RPE不全を来すことで遺伝性疾患群である網膜色素変性症や、これまでのRPE細胞移植臨床研究の対象疾患であったAMDの主要病因となり得ることが示唆されてきた。
RPE不全に含まれる網膜変性症に対しては、極一部の疾患に見られるRPE機能不全に対する限定的な遺伝子治療が行われているのみで、不全症に広く見られるRPEの変性や脱落に対しては現在も治療方法がなく、我々をはじめとする幾つかのグループによる細胞移植による再生医療が新しい治療方法として試みられている。
本研究においてRPE不全に該当する各疾患に対しRPEの再建及び機能回復を目指した同種iPS細胞由来RPE移植を実施し、移植したRPE細胞の生着を客観的に評価可能な眼科画像診断を評価方法を採用し有効性評価項目とすることで、同種iPS細胞由来RPE移植の安全性と有効性が客観的に検証され、RPE移植の実用化を目指した適応ガイドライン作成のための知見の蓄積が期待される。

参考文献
1. 髙橋政代ら, iPS細胞による網膜細胞治療(解説) 日眼会誌 120:210-224, 2016
2. Kiser PD et al, Retinoids and Retinal Diseases. Annu Rev Vis Sci 2:197-234, 2016
3. Lakkaraju A et al, The cell biology of the retinal pigment epithelium. Prog Retin Eye Res [Epub ahead of print, 2020]
4. Maguire AM et al, Efficacy, Safety, and Durability of Voretigene Neparvovec-rzyl in RPE65 Mutation-Associated Inherited Retinal Dystrophy: Results of Phase 1 and 3 Trials. Ophthalmology 126: 1273-1285, 2019
5. Kuroda Y et al, Macular atrophy and macular morphology in Afribercept-treated neovascular age-related macular degeneration Retina 38: 1743-1750, 2018
6. Kuroda Y et al, Retinal pigment epithelial atrophy in neovascular age-related macular degeneration after Ranibizumab treatment Am J Ophthalmol 161:94-103, 2016
7. Kuroda Y et al, Factors associated with recurrence of age-related macular degeneration after anti-vascular endothelial growth factor treatment: a retrospective cohort study Ophthalmology 122: 2303-2310, 2015
研究責任者または研究分担医師は、納入された RPE細胞懸濁液を移植手術前に確認し、投与の可否を決定する。
研究責任者は、当該細胞の安全性に疑義が生じたことを知った際には、当該再生医療等の提供の継続の可否を決定し、既に当該再生医療等が提供された患者の状態を速やかに把握し、必要な経過観察等を行うなど、研究分担医師等に対し、必要な措置を講ずるよう指示する。
特定細胞加工物の保管期間:10年間
保管期間満了後は適切に廃棄する。
重篤な有害事象の報告手順
1)研究分担医師から研究責任医師への報告
 重篤な有害事象が発現した場合、研究分担医師はRPE細胞懸濁液移植との因果関係 の有無に関わらず、発現を知った時点で研究責任医師に報告する。
2)研究責任医師から医療機関の管理者等への報告
 研究責任医師は、知り得てから原則として48時間以内に、医療機関の管理者に報告する。また、「疾病等」に該当する場合は、速やかに、特定細胞加工物製造事業者へ通知する。
3) 再生医療等を行う医療機関の管理者から厚生労働大臣及び特定認定再生医療等委員会への報告
 再生医療等を行う医療機関の管理者は、上記2)により「疾病等」の発生を知ったときは、次の各区分に定める期間内に厚生労働大臣及び特定認定再生医療等委員会に報告する。
 ① 以下ア・イに該当するもの 7 日
ア. 死亡
イ. 死亡につながるおそれのある症例
② 以下ア~オに該当するもの 15 日
ア. 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例
イ. 障害
ウ. 障害につながるおそれのある症例
エ. 後世代における先天性の疾病又は異常
オ. その他重篤な症例
4) 再生医療等を行う医療機関の管理者から特定認定再生医療等委員会への措置報告
 再生医療等を行う医療機関の管理者は、上記3)の報告に対して特定認定再生医療等委員会から意見が述べられた場合には、当該意見を受けて講じた措置等について、特定認定再生医療等委員会に対して速やかに報告する。
5) 追加報告
医療機関の管理者又は研究責任医師は、研究責任者又は研究分担医師から重篤な有害事象についての追加報告が行われた場合には、上記2)~4)に準じて報告を行う。

非重篤な有害事象の報告と対応
1) 研究分担医師から研究責任医師への報告
研究分担医師はRPE細胞懸濁液移植との因果関係の有無に関わらず、全ての非重篤な有害事象を研究責任医師に報告する。
2) 研究責任医師から医療機関の管理者等への報告
研究責任医師は、上記1)の非重篤な有害事象のうち「疾病等」について、再生医療等提供計画提出日から起算して60日ごとに当該期間満了後直ちに、医療機関の管理者に対して報告するとともに、特定細胞加工物製造事業者へ通知する。
3) 再生医療等を行う医療機関の管理者から特定認定再生医療等委員会への報告
再生医療等を行う医療機関の管理者は、上記2)の規定により報告を受けた「疾病等」を、再生医療等提供計画提出日から起算して60日ごとに当該期間満了後10日以内に、特定認定再生医療等委員会に報告する。
4) 再生医療等を行う医療機関の管理者から特定認定再生医療等委員会への措置報告
再生医療等を行う医療機関の管理者は、上記3)の報告に対して特定認定再生医療等委員会から意見が述べられた場合には、当該意見を受けて講じた措置等について、特定認定再生医療等委員会に対して速やかに報告する。
観察期間:移植後1年(52週)
追跡調査期間:観察期間終了後3年
       年1回程度の定期的な外来診察を行い長期間データを収集する。
観察期間:移植後1年(52週)
追跡調査期間:観察期間終了後3年
       年1回程度の定期的な外来診察を行い長期間データを収集する。
実施計画の公表日
2021年03月01日
募集終了 Not Recruiting
移植を実施した1 例において、移植後のWindow defect面積は登録前と比較して24週では18%、52 週では20%の減少を認めた。 In one patient who underwent transplantation, the window defect area after transplantation decreased by 18% at 24 weeks and by 20% at 52 weeks compared to before enrollment.

5 細胞提供者及び再生医療等を受ける者に対する健康被害の補償の方法

細胞提供者について

再生医療等を受ける者について

6 審査等業務を行う認定再生医療等委員会に関する事項

大阪大学第一特定認定再生医療等委員会 The First Certified Special Committee for Regenerative Medicine, Osaka
NA8140001
大阪府吹田市山田丘2-2 2-2 Yamadaoka, Suita, Osaka, Osaka
06-6210-8293
nintei@dmi.med.osaka-u.ac.jp
第一種再生医療等又は第二種再生医療等を審査することができる構成
2020年11月12日

7 その他

被験者の登録及び症例報告書における被験者の特定は、被験者識別コードで行うとともに、研究責任医師は匿名化番号対応表等を作成し、その保管・管理を適切に行う。症例報告書の作成・取り扱い、医学雑誌への発表等においては、被験者の秘密を保全する。被験者の秘密保持の立場から診療録、検査データ、被験者の同意に関する記録等は医療機関において保存する。これらの記録等は監査および当局による請求があれば開示されるが、その秘密は保持される。
Yes
臨床研究計画終了後NRMDに、研究に参加した症例に関する匿名化された臨床データを共有する。 To share clinical data obtained from cases attended to the clinical research with NRMD that has been anonymized clinical research plan after the end of the clinical research.
本研究に携わる研究者は、施設内開催又は外部開催の臨床研究に関する研究者向けの講習会、e-learning(eAPRIN等)を施設規程に従って受講するものとする。また、本研究に携わる研究者及び協力者等は、通常の院内研修に加えて再生医療に関連する講習会又はこれと同等の勉強会や研修会を受講するものとする。再生医療に関連する講習会については年に数回開催する予定であり、講師は本研究の研究責任者その他本領域に造詣の深い専門家等を予定している。スケジュール等詳細は決定次第、受講対象者・関係者へ案内することとする。施設の管理者は、本研究に携わる研究者等がこれら講習会等を受講できる機会を確保するものとする。
研究に参加している患者からの問合わせについては説明文書又は研究参加カードに記載した研究担当医師(診療科)あるいは研究コーディネータ(事務局)の連絡先へ連絡いただく。なお、時間外については診療科(当直医等)が対応する。研究参加希望者あるいは研究内容に関する問合せ、ならびに診療全般に関する問合せや苦情等については病院の代表番号又は総合受付から診療科、ならびに病院事務部門へそれぞれ対応を依頼する予定である
非該当
なし none
非該当
非該当
非該当

添付資料

4 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式 4_RPE移植_同意説明文書_1.6版_20210420(マスキング).pdf

変更履歴

種別 公表日
変更 令和5年7月21日 (当画面) 変更内容
中止 令和4年3月29日 詳細 変更内容
軽微変更 令和4年3月28日 詳細 変更内容
軽微変更 令和3年7月2日 詳細 変更内容
変更 令和3年4月27日 詳細 変更内容
軽微変更 令和3年3月18日 詳細 変更内容
新規登録 令和3年1月28日 詳細