第一種 | ||
令和2年2月27日 | ||
令和6年12月18日 | ||
亜急性期脊髄損傷に対する iPS 細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療 | ||
亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞移植 | ||
慶應義塾大学病院 | ||
松本 守雄 | ||
脊髄損傷とは、外傷などによる脊髄実質の損傷を契機に、損傷部以下の知覚・運動・自律神経系の麻痺を呈する病態である。本邦の患者数は10万人以上おり、加えて毎年約5000人の患者が発生している。脊髄損傷後の残存する機能を最大限に高めるためのリハビリテーション治療は積極的に行われているが、損傷した脊髄そのものを治す有効な治療法はいまだ存在しないのが実状である。そのため、幹細胞を用いた脊髄再生医療の実現が切望されてきた。本研究においては、亜急性期脊髄損傷患者を対象として、再生医療用iPS細胞由来神経前駆細胞を脊髄損傷部へ移植し、安全性を検討する。副次的に運動・知覚機能の改善を指標とした有効性についても評価する。 | ||
1-2 | ||
亜急性期脊髄損傷 | ||
募集終了 | ||
未公開、未公開、未公開、未公開 | ||
未公開、未公開、未公開、未公開 | ||
慶應義塾特定認定再生医療等委員会 | ||
NA8150014 |
1 認定再生医療等委員会意見書 | ||
R2016001_意見書(変更届)等_20240418.pdf | ||
R2016001_意見書(変更届)等_20241017.pdf | ||
2 提供する再生医療等の詳細を記した書類(研究として再生医療等を行う場合は、研究計画書) | ||
2:実施計画書_3.74版.pdf | ||
2:実施計画書_3.74版(添付資料15の変更).pdf | ||
14 個人情報取扱実施規程 | ||
14:慶應義塾医療個人情報保護規程20220628.pdf | ||
14:慶應義塾医療個人情報保護規程20240709.pdf | ||
32 その他(本文中に掲載しきれない説明書類等) | ||
変更サマリ_20240515.pdf | ||
変更サマリ_20241023.pdf | ||
令和6年10月23日 | |||
jRCTa031190228 | |||
慶應義塾大学病院 | |||
東京都新宿区信濃町35番地 | |||
松本 守雄 | Matsumoto Morio |
亜急性期脊髄損傷に対する iPS 細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療 | Regenerative medicine for spinal cord injury at subacute stage using human induced pluripotent stem cell-derived neural stem/progenitor cells | ||
亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞由来神経前駆細胞移植 | Regenerative medicine for spinal cord injury at subacute stage using human induced pluripotent stem cell-derived neural stem/progenitor cells | ||
第一種 | |||
公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団(CiRA)細胞調製施設にてヒト白血球抗原(HLA)ホモドナーより樹立した人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS細胞)ストックの提供を受け、iPS細胞から神経前駆細胞を分化誘導し、ドナー以外のヒトに移植するため第一種と判断した。 |
脊髄損傷とは、外傷などによる脊髄実質の損傷を契機に、損傷部以下の知覚・運動・自律神経系の麻痺を呈する病態である。本邦の患者数は10万人以上おり、加えて毎年約5000人の患者が発生している。脊髄損傷後の残存する機能を最大限に高めるためのリハビリテーション治療は積極的に行われているが、損傷した脊髄そのものを治す有効な治療法はいまだ存在しないのが実状である。そのため、幹細胞を用いた脊髄再生医療の実現が切望されてきた。本研究においては、亜急性期脊髄損傷患者を対象として、再生医療用iPS細胞由来神経前駆細胞を脊髄損傷部へ移植し、安全性を検討する。副次的に運動・知覚機能の改善を指標とした有効性についても評価する。 | |||
1-2 | |||
2020年12月01日 | |||
2025年02月28日 | |||
4 | |||
介入研究 | Interventional | ||
単一群 | single arm study | ||
非盲検 | open(masking not used) | ||
非対照 | uncontrolled control | ||
単群比較 | single assignment | ||
治療 | treatment purpose | ||
① 同意取得時に脊髄損傷(C3/4〜Th10)(受傷後期間を規定)で麻痺がASIA impairment scale (AIS) Aに該当 ② 脊髄損傷受傷後に細胞移植が可能(期間を規定) ③ 細胞移植手術後急性期の慶應義塾大学病院への入院、その後は細胞移植後の村山医療センターへの入院(期間を規定)、及び細胞移植手術後の慶應義塾大学病院への通院(期間を規定)が可能 ④ 同意取得時の年齢が18歳以上 ⑤ 本臨床研究の目的、内容、予測される移植の効果及び危険性などについて十分説明を受け、理解が得られ、本人から自由意思による同意を文書で得られている。 本人による署名同意が困難な場合は適切な条件を満たした立会人により説明同意がなされたことが文書により確認できる。 対象者の年齢が20歳未満の場合は、本人の同意に加え代諾者から文書による同意を得られていることを確認できる。 | 1) Complete spinal cord injury (ASIA impairment scale A) at C3/4-Th10 level, within predetermined days after spinal cord injury at acquiring consent. 2) Possible to transplant cells between predetermined days after the injury. 3) Possible to be hospitalized first to Keio University Hospital after the transplantation, then to the Murayama Medical Center up to predetermined months after cell transplantation.Also able to visit Keio University Hospital up to predetermined weeks after cell transplant surgery. 4) 18 years old, or older. 5) Sufficient informed consent. | ||
①脊髄損傷の状態 術前MRIで脊髄が複数箇所で損傷している、又は完全に切断され連続性が無い、又は硬膜損傷を伴う ②既往歴・併存疾患 脊髄損傷の既往、あるいは脊髄及びくも膜下腔内の異常(脊髄腫瘍、髄膜炎、脊髄出血など)の既往または併存 MRIの撮像が困難、もしくは不可能(ペースメーカーの体内留置など) アルコールまたは他の薬物中毒の既往または併存 ③併存疾患 気管挿管、気管切開、人工呼吸器の装着が必要な呼吸不全 安全性・有効性の評価に支障をきたす外傷、または臓器損傷 コントロール不良または重度の心不全・糖尿病・高血圧・間質性肺炎・腎不全・自己免疫疾患・腫瘍性疾患・ 精神疾患 手術の適応外となるような、活動性でコントロールされていない感染症の存在 認知症もしくは認知症のリスクが高いと判断される ④臨床検査値の重大な異常⑤アレルギー歴 使用する免疫抑制剤あるいは細胞移植時の溶液成分に対するアレルギーの既往 ⑥併用薬、併用療法 同意取得時に特定の薬剤投与中 同意取得前1ヵ月(30日)以内に、治験薬の投与 脊髄損傷受傷後に、ステロイド製剤の投与 ⑦妊娠に関する事項 妊婦、授乳婦、妊娠している可能性のある、又は臨床研究参加期間内に妊娠を計画している女性、あるいはパートナーの妊娠を希望する男性 ⑧その他、研究責任医師又は研究分担医師が不適当と判断した患者 | 1)Multiple or transection injury of spinal cord, or combined damage of dural membrane by preoperative MRI imaging 2)Past diseases Primary neurodegenerative diseases Unable to take MRI Intoxication Other diseases which make it difficult to comply with protocol treatment 3)Comorbidity Major respiratory complications. Trauma, or organ injuries to make the assessments difficult Other severe medical complications including heart failure, diabetes mellitus, hypertension, interstitial pneumonia, renal failure, autoimmune disease, and cancer. Active infectious diseases that contraindicate surgery. 4)Significant abnormality in clinical laboratory values 5)Allergy to immunosuppressant 6)Combination therapy Participation in another clinical trial Medication with predetermined drugs 7)Pregnancy | ||
18歳 以上 | 18age old over | ||
上限なし | No limit | ||
男性・女性 | Both | ||
個々の患者さんの中止基準 1) 患者登録後、細胞移植前に被験者の麻痺が自然回復し、Asia Impairment Scale (AIS) Aを満たさなくなった場合(本基準の適用は細胞移植前に限る) 2) 被験者が死亡した場合 3) 有害事象の発生により、臨床研究の継続が困難と判断された場合 4) 脊髄損傷(付随する症状を含む)の悪化により、臨床研究の継続が困難と判断された場合 5) 患者登録後に、選択基準逸脱や除外基準抵触など臨床研究の対象から除外すべきことが判明した場合 6) 重大な実施計画書違反が認められた場合 7) 実施計画書の遵守が困難になることが判明した場合 8) 被験者又は代諾者から臨床研究参加取りやめの申し出があった場合 9) その他、研究責任医師又は研究分担医師が臨床研究の継続を困難と判断した場合 臨床研究全体の中止 1) 病院長が特定認定再生医療等委員会から再生医療等の提供を中止すべき旨の意見を受け、研究を継続すべきでないと決定し、実施責任者に通知した場合、本臨床研究を中止する。 2) 独立データモニタリング委員会による判断等、その他の理由により実施責任者が本臨床研究を中止すべきである、又は継続が不可能であると判断した場合、本臨床研究を中止する。 |
|||
亜急性期脊髄損傷 | spinal cord injury at subacute stage | ||
有 | |||
脊髄損傷受傷後の規定した期間にiPS細胞由来神経前駆細胞を移植する | Transplantation of iPSC derived neural stem/progenitor cells between predetermined day after spinal cord injury | ||
安全性 細胞の移植から観察期間終了までに新たに発生した疾病、障害、若しくは死亡又は感染症の発生(以下、「有害事象」とする)及び副作用 |
Safety | ||
運動・知覚機能の改善を指標とした有効性 | Effectiveness | ||
別添の通り |
医師 | |||||
中村 雅也 | Nakamura Masaya | ||||
慶應義塾大学医学部 | Keio University School of Medicine | ||||
整形外科 | |||||
160-8582 | |||||
東京都新宿区信濃町35 | 35 Shinanomachi, Shinjuku-ku Tokyo | ||||
03-5363-3747 | |||||
okanolab2020sci@gmail.com | |||||
自施設 | |||||
救急医療を優先している病室数8室、病床数32床、救急時使用可能設置設備(エックス線装置2台、CT装置2台、MRI装置3台、心電計2台、輸血及び輸液のための装置6台、除細動装置3台、人工呼吸器1台、超音波装置1台、透析装置7台、血液検査装置15台) |
上月 庸生 | Kozuki Tsuneo | ||||
慶應義塾大学医学部 | Keio University School of Medicine | ||||
整形外科 | |||||
160-8582 | |||||
東京都新宿区信濃町35 | 35 Shinanomachi, Shinjuku-ku Tokyo | ||||
03-5363-3747 | |||||
okanolab2020sci@gmail.com |
医師 | ||
中村 雅也 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
整形外科 |
医師 | ||
名越 慈人 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
整形外科 |
医師 | ||
辻 収彦 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
整形外科 |
医師 | ||
菅井 桂子 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
整形外科 |
医師 | ||
篠田 昌宏 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
外科 |
医師 | ||
尾崎 正大 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
整形外科 |
医師 | ||
末松 悠 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
整形外科 |
医師 | ||
西條 裕介 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
整形外科 |
医師 | ||
大久保 寿樹 | ||
慶應義塾大学医学部 | ||
整形外科 |
慶應義塾大学病院臨床研究推進センター臨床研究支援部門 データ管理ユニット | ||
浅見 千佳 | ||
慶應義塾大学病院 | ||
臨床研究推進センター臨床研究支援部門データ管理ユニット |
慶應義塾大学病院臨床研究推進センター臨床研究支援部門 モニタリングユニット | ||
萩村 一人 | ||
慶應義塾大学病院 | ||
臨床研究推進センター臨床研究支援部門モニタリングユニット |
慶應義塾大学病院臨床研究監理センター研究基盤部門 信頼性保証ユニット | ||
工藤 由夏 | ||
慶應義塾大学病院 | ||
臨床研究監理センター研究基盤部門 信頼性保証ユニット |
慶應義塾大学病院臨床研究推進センター/京都女子大学データサイエンス学部 | ||
阿部 貴行 | ||
慶應義塾大学病院/京都女子大学 | ||
臨床研究推進センター/データサイエンス学部 |
無 |
HLA-A,HLA-B, HLA-DRB1がホモ接合体でCiRAの基準をすべて満たすHLAホモドナーの血液またはさい帯血 | |
公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団(CiRA) | |
CiRAで選定したHLAホモドナー(HLA-A,HLA-B,HLA-C,HLA-DRB1,HLA-DQB1,HLA-DPB1の6座を検査して、HLA-A,HLA-B, HLA-DRB1がホモ接合体であること)で以下の基準をすべて満たす。 【血液の場合】 以下の基準をすべて満たす方を対象とし、血液を提供いただく。性別、人種は限定しない。 1)同意取得時の年齢が20歳以上の方 2)本研究の参加にあたり十分な説明を受けた後、十分な理解の上、対象者本人の自由意思による文書同意が得られる方(代諾者を必要とするような方は対象としない) 3)HLA遺伝子型-A/-B/-DRの3座においてそれぞれホモ接合体で、かつ日本国内において高頻度に認められるハプロタイプを持つ方 【さい帯血の場合】 以下の基準をすべて満たすさい帯血を対象とし、さい帯血バンクよりさい帯血を提供いただく。性別、人種は限定しない。 1)公的さい帯血バンクから『研究機関(京大CiRA)に個人情報(氏名・連絡先等)を提供すること』について連絡を受け、同意が得られた提供者のさい帯血 2)本研究への参加にあたり十分な説明を受けた後、十分な理解の上、「さい帯血の提供者(母)」と「さい帯血のHLA情報の保有者である子」の両者より、本人の自由意思による文書同意が得られるさい帯血 (子が16歳未満の場合、子の同意に際しては、親権者等の代諾者による同意も可能とする。その場合でも、子供用に作成した説明文書を用いてインフォームドアセントを可能な限り取得する) 3)HLA遺伝子型-A/-B/-DRの3座においてそれぞれホモ接合体で、かつ日本国内において高頻度に認められるハプロタイプを持つさい帯血 |
|
【血液の場合】 以下のいずれかに該当する方は除外する。なお、下記の感染症検査以外にも、必要に応じて検査項目を追加する場合がある。また、下記の疾患以外にも、同意取得後の問診の内容により、重篤な疾患の既往歴・現病歴が確認された場合は参加をご遠慮いただくことがある。 1)下記の感染症については、問診及び血液検査を行い、陽性例については、除外する。 B型肝炎(HBs抗原陽性例、HBV-DNA PCR陽性例)、C型肝炎(HCV抗体陽性例、HCV-RNA PCR陽性例)、ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV-1抗体及びHIV-2抗体陽性例、HIV-1-RNA PCR陽性例)、成人T細胞白血病ウイルス感染症(HTLV-1抗体陽性例、HTLV-1 プロウイルスDNA PCR陽性例)、パルボウイルスB19感染症(パルボウイルスB19-IgM陽性例、パルボウイルスB19DNA PCR陽性例)、梅毒(STS陽性例、TPHA陽性例)、サイトメガロウイルス感染症(CMV-IgM陽性例) 2)下記については、問診により、既往歴・現病歴がある場合は除外する。 梅毒、ウエストナイル熱、クラミジア感染症、淋病、結核、マラリア、パペシア病、シャーガス病、リーシュマニア症、アフリカトリパノソーマ症等の細菌による感染症、悪性腫瘍、伝達性海綿状脳症及びその疑い並びにその他の認知症、脳卒中、てんかん、その他iPS細胞ストックの作製・使用に支障をきたしうる重篤な疾患(重篤な遺伝性疾患、重篤な代謝及び内分泌疾患、膠原病、重篤な血液疾患、重篤な肝疾患など)を有すると判断される場合 3)その他 妊娠中、授乳中あるいは妊娠の可能性がある女性、その他iPS細胞ストック構築に関する研究の責任医師がドナーとして不適当と判断した者 ウインドウピリオドを勘案し、梅毒、HBV、HCV、HIV1、HTLV1、パルボウイルスB19、サイトメガロウイルスについては、初回の感染症検査より90~150日までの期間に再度感染症検査(血清学的検査)を実施する。 【さい帯血の場合】 以下のいずれかに該当する方は対象から除外する。さい帯血の場合は、提供者(母)及びその子からの採血は行わないため、両者からの問診及びさい帯血に付随するさい帯血提供当時の母体血による感染症検査結果にて感染症の有無の確認を行う。なお、下記感染症以外にも、必要に応じて問診・検査項目を追加する場合がある。さい帯血採取当時に実施された感染症検査及び本研究の同意取得後に実施する問診で確認できない項目に関しては、入手したさい帯血などで検査を行う。 1)下記の感染症については、さい帯血採取当時に実施された感染症検査結果、問診及び入手したさい帯血などで検査を行い、陽性例については除外する。 B型肝炎(HBs抗原陽性例、HBV-DNA PCR陽性例)、C型肝炎(HCV抗体陽性例、HCV-RNA PCR陽性例)、 ヒト免疫不全ウイルス感染症 (HIV-1抗体及びHIV-2抗体陽性例、HIV-1-RNA PCR陽性例)、成人T細胞白血病ウイルス感染症(HTLV1抗体陽性例、HTLV-1プロウィルスDNA PCR 陽性例)、パルボウイルスB19感染症 (パルボウイルスB19-IgM陽性例、パルボウイルス B19DNA PCR陽性例)、梅毒(STS陽性例、TPHA陽性例)、サイトメガロウイルス感染症(CMV)(CMV-IgM)陽性例) 2)下記については、さい帯血採取当時に実施された感染症検査及び問診により、既往歴・現病歴がある場合は除外する。 梅毒、ウエストナイル熱、クラミジア感染症、淋病、結核、マラリア、バベシア症、シャーガス病、リーシュマニア症、アフリカトリパノソーマ症等の細菌による感染症、悪性腫瘍、伝達性海綿状脳症及びその疑い並びにその他の認知症 、脳卒中、てんかん、その他、iPS細胞ストックの作製・使用に支障をきたしうる遺伝性の重篤な疾患を有すると判断される場合 3)その他 研究責任医師、または研究分担医師がドナーとして不適当と判断した者 |
|
【血液の場合】 同意いただいた対象者よりHLA 検査(6 座)、感染症検査(血清学的検査及び核酸増幅検査)、血液型検査、iPS 細胞樹立のための血球採取、保存血液及び核型解析のために約100mL の採血を行う。 当該採血は京都大学医学部附属病院にて実施する。 なお、採血にあたり、対象者の体調を考慮して、採血後にジュースやお茶などの飲料水を提供し、加えて、必要であれば、休憩した後にご帰宅頂くようにする。 iPS 細胞樹立のための採血には、カワスミミニバッグを用いて行う。(カワスミミニバッグを用いて採血する場合、対象者の要望でペンレステープ®(貼付用局所麻酔剤)を使用することも可能。その場合は、ペンレステープを少なくとも採血する30 分前から対象者の腕に貼付する。)保存血液用、核型解析、血液型検査、感染症検査用及びHLA 解析用の採血については、採血ホルダー(例:ルアーアダプター付きセーフタッチPSVセット)を用いて採血管ごとに分注を行う。これらの血液を用いて、精度の高い方法によるHLA 検査、血液型検査、感染症検査、核型解析を行うとともに、一部をCiRA の細胞調製施設に搬送し、単核球分離後保存する。 【さい帯血の場合】 臍帯血供給事 業者より、該当ドナーのさい帯血等の提供を受ける。入手したさい帯血の一部を用いてHLA型や感染症検査などを検査し、適格性を確認する。適格性確認で適格と判断された場合、そのさい帯血を用いてiPS 細胞ストックを作製する。 |
ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞 | ||
【iPS 細胞の樹立】 末梢血またはさい帯血の初代培養細胞に対してエピソーマル・ベクターなどを用いて既知の遺伝子を導入する。遺伝子導入した細胞をフィーダー細胞上または基材をコーティングした培養皿上などに播種しiPS 細胞の誘導を行う。出現してきたiPS 細胞のコロニーをピックアップし拡大培養を行いiPS 細胞のストックの作製を行う。適宜、無菌検査など必要な検査を行い細胞の品質の確保に努める。 【細胞の評価】 出荷試験として、無菌試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験、ウイルス試験(NAT試験;HBV、HCV、HIV、HTLV、ParboB29)、HLA解析、STR解析、形態学的特徴の観察を実施し、適合を確認する。また、参考試験である核型解析、プラスミドの残存、CNV解析、SNV/Indel、クローン構造解析、未分化マーカーの発現(フローサイトメトリーでSSEA-4、TRA-1-60、TRA-2-49のタンパクの発現を、マイクロアレイでPOU5F1およびNANOG遺伝子の発現を調べる)、解凍後生細胞数、解凍後の増殖細胞数、増殖速度の結果を踏まえ、総合的に評価する。 |
||
通常の脊髄手術と同様に、全身麻酔下に損傷脊髄を露出する。滅菌済みピペットマンを用いて、容器から細胞をハミルトンシリンジに移し、損傷中心部に注射針を用手的に進め、移植細胞をゆっくりと注入する。 | ||
有 | ||
公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団細胞調製施設 | ||
FA5200001 | ||
公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団細胞調製施設 | ||
iPS細胞の樹立、大阪医療センターおよび慶應義塾大学への提供 |
ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞 | ||
CiRAで樹立されたiPS細胞より神経前駆細胞を分化誘導し、特定細胞加工物とする。 【分化誘導方法】 iPS細胞ストックより、分化誘導化合物を用いて胚様体形成後、浮遊培養法を用いて神経前駆細胞を拡大培養した(凍結前製品)。 細胞を分取・遠心して4×10^6細胞/mLになるよう凍結保存液(STEM-CELLBANKER)に懸濁し、600μLずつクライオチューブに分注し、プログラムフリーザーを使用して緩慢凍結し、液体窒素で保存する(凍結製品)。 【品質管理方法】 細胞数ならびに生存率、neurosphere(球状の細胞塊)形態評価試験、遺伝子発現解析、細胞表面マーカー発現解析、細胞内マーカー分子発現解析、戻し培養解析、染色体核型解析、体細胞コピー数(Copy Number Variation:CNV)解析、無菌試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン測定試験、ウイルス試験、神経分化能解析を実施し適合したものを凍結前製品・凍結製品とする。 【凍結製品の輸送】 凍結温度を管理された容器を用いて保管場所へ輸送する。 保管場所:慶應義塾大学医学部 慶應iPS細胞・神経再生医療センターまたは慶應義塾大学病院 細胞培養加工施設 【遡及調査用細胞の保管】 凍結製品の一部は遡及調査用に細胞培養加工施設、大阪大学医学部附属病院及び/叉は株式会社NXワンビシアーカイブスにおいて液体窒素で保管する。 「慶應義塾大学医学部 慶應iPS細胞・神経再生医療センター」は2021年3月31日まで使用した。 |
||
通常の脊髄手術と同様に、全身麻酔下に損傷脊髄を露出する。滅菌済みピペットマンを用いて、容器から細胞をハミルトンシリンジに移し、損傷中心部に注射針を用手的に進め、移植細胞をゆっくりと注入する。 | ||
有 | ||
大阪医療センター臨床研究センターセルプロセッシングセンター | ||
FC5150168 | ||
国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター セルプロセッシングセンター | ||
特定細胞加工物の製造 |
ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞 | ||
CiRAで樹立されたiPS細胞より神経前駆細胞を分化誘導し、特定細胞加工物とする。 【分化誘導方法】 iPS細胞ストックより、分化誘導化合物を用いて胚様体形成後、浮遊培養法を用いて神経前駆細胞を拡大培養した(凍結前製品)。 細胞を分取・遠心して4×10^6細胞/mLになるよう凍結保存液(STEM-CELLBANKER)に懸濁し、600μLずつクライオチューブに分注し、プログラムフリーザーを使用して緩慢凍結し、液体窒素で保存する(凍結製品)。 凍結製品の入ったクライオチューブを解凍し、特定細胞加工物を神経前駆細胞用培地に懸濁し、フラスコに播種する。マルチガスインキュベーターで3~5日間培養する。手術前日にマルチガスインキュベーターより細胞培養フラスコを取り出し、N-[N-(3,5-difluorophenacetyl)-l-alanyl]-S-phenylglycine t-butyl ester(Sigma-Aldrich) (以下、「DAPT」とする)を培地中の最終濃度が10μMとなるように添加する。手術日当日、移植用フラスコを取り出し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、細胞移植時の溶液に懸濁し、20uLあたり2×10^6個となるように調製する(最終懸濁品)。 【品質管理方法】 細胞数ならびに生存率、neurosphere形態評価試験、遺伝子発現解析、細胞表面マーカー発現解析、細胞内マーカー分子発現解析、戻し培養解析、染色体核型解析、体細胞コピー数(CNV)解析、無菌試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン測定試験、ウイルス試験、神経分化能解析を実施し適合したものを凍結前製品・凍結製品とする。 【細胞の保管】 保管場所:凍結製品は慶應義塾大学医学部慶應iPS細胞・神経再生医療センターまたは慶應義塾大学病院 細胞培養加工施設の保管場所で保管する。 保管条件:液体窒素凍結保存容器で凍結保存 保存期間:(60ヶ月間*)使用期限は最終懸濁品(移植細胞)に添付の試験成績書に記載する。 *:融解後に品質管理方法のうち「細胞数ならびに生存率」、「細胞表面マーカー発現解析」及び「神経分化能解析」を実施し、細胞増殖率(倍加時間)を算出した。「細胞表面マーカー発現解析」、「神経分化能解析」において判定基準を満たすことを確認した。 【移植細胞(最終懸濁品)の調製】 慶應義塾大学医学部 慶應iPS細胞・神経再生医療センターまたは慶應義塾大学病院 細胞培養加工施設で凍結製品から調製するが最終懸濁品の、細胞の生存率、無菌試験、エンドトキシン測定試験を実施する(但し、結果判明は移植後となる)。 【遡及調査用細胞の保管】 凍結製品の一部は遡及調査用に細胞培養加工施設、大阪大学医学部附属病院及び/叉は株式会社NXワンビシアーカイブスにおいて液体窒素で保管する。 「慶應義塾大学医学部 慶應iPS細胞・神経再生医療センター」は2021年3月31日まで使用した。 |
||
通常の脊髄手術と同様に、全身麻酔下に損傷脊髄を露出する。滅菌済みピペットマンを用いて、容器から細胞をハミルトンシリンジに移し、損傷中心部に注射針を用手的に進め、移植細胞をゆっくりと注入する。 | ||
無 | ||
慶應義塾大学医学部 慶應iPS細胞・神経再生医療センター | ||
FA3160001 | ||
慶應義塾大学医学部 慶應iPS細胞・神経再生医療センター | ||
無 |
ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞 | ||
CiRAで樹立されたiPS細胞より大阪医療センター臨床研究センターセルプロセッシングセンターまたは慶應義塾大学医学部慶應iPS細胞・神経再生医療センターで神経前駆細胞を分化誘導し、特定細胞加工物とする。 【細胞の保管】 保管場所:凍結製品は慶應義塾大学医学部慶應iPS細胞・神経再生医療センターまたは慶應義塾大学病院 細胞培養加工施設の保管場所で保管する。 保管条件:液体窒素凍結保存容器で凍結保存 保存期間:(60ヶ月間*)使用期限は最終懸濁品(移植細胞)に添付の試験成績書に記載する。 *:融解後に品質管理方法のうち「細胞数ならびに生存率」、「細胞表面マーカー発現解析」及び「神経分化能解析」を実施し、細胞増殖率(倍加時間)を算出した。「細胞表面マーカー発現解析」、「神経分化能解析」において判定基準を満たすことを確認した。【移植細胞(最終懸濁品)の調製】凍結製品の入ったクライオチューブを解凍し、特定細胞加工物を神経前駆細胞用培地に懸濁し、フラスコに播種する。マルチガスインキュベーターで3~5日間培養する。手術前日にマルチガスインキュベーターより細胞培養フラスコを取り出し、DAPTを培地中の最終濃度が10μMとなるように添加する。手術日当日、移植用フラスコを取り出し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、細胞移植時の溶液に懸濁し、20uLあたり2×10^6個となるように調製する(最終懸濁品)。移植細胞(最終懸濁品)の調製は 慶應義塾大学医学部 慶應iPS細胞・神経再生医療センターまたは慶應義塾大学病院 細胞培養加工施設で凍結製品から調製するが最終懸濁品の、細胞の生存率、無菌試験、エンドトキシン測定試験を実施する(但し、結果判明は移植後となる)。 【遡及調査用細胞の保管】 凍結製品の一部は遡及調査用に細胞培養加工施設、大阪大学医学部附属病院及び/叉は株式会社NXワンビシアーカイブスにおいて液体窒素で保管する。 「慶應義塾大学医学部 慶應iPS細胞・神経再生医療センター」は2021年3月31日まで使用した。 |
||
通常の脊髄手術と同様に、全身麻酔下に損傷脊髄を露出する。滅菌済みピペットマンを用いて、容器から細胞をハミルトンシリンジに移し、損傷中心部に注射針を用手的に進め、移植細胞をゆっくりと注入する。 | ||
無 | ||
慶應義塾大学病院 細胞培養加工施設 | ||
FC3190042 | ||
慶應義塾大学病院 細胞培養加工施設 | ||
無 |
医薬品 | |||
適応外 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
徳島県未公開 |
医薬品 | |||
適応外 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
東京都未公開 |
医薬品 | |||
適応外 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
未公開 | |||
東京都未公開 |
医薬品 | |||
適応外 | |||
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東京都未公開 |
公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団(CiRA) | ||
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2019年02月14日 | ||
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大阪医療センター臨床研究センターセルプロセッシングセンター | ||
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2019年02月14日 | ||
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国立研究開発法人日本医療研究開発機構 | The Japan Agency for Medical Research and Development | |
非該当 |
1) 免疫拒絶反応について 本臨床研究では損傷脊髄へ他人の細胞を移植するため、免疫拒絶反応が起こる可能性がある。中枢神経系への細胞移植においても他の臓器と同様に、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の違い等による免疫拒絶により移植細胞の生着が妨げられる可能性がある。一方、脊髄への神経前駆細胞移植の場合、「他種移植」の場合には免疫抑制剤を使用しないと生着が得られないが、「同種他家移植」では免疫抑制剤を全く使用しない場合でもある程度の細胞の生着は得られ、免疫抑制剤を使用する場合は一時的に使用するだけで長期間の免疫寛容状態が得られ拒絶反応は認めない、との先行研究結果があり、ミニブタ脊髄に同種他家iPS細胞由来神経前駆細胞移植を行った場合には手術後4週間のみ免疫抑制剤を使用した場合にも、移植後3.5ヶ月の組織所見で移植細胞由来の再髄鞘化が確認されたと報告されている。他の細胞を用いたヒトでの先行臨床研究でも、免疫抑制剤は一時的な使用のみ(Asterias社60日タクロリムス のみ、Neuralstem社12週間、多剤併用)としており、中止後のフォローで、拒絶反応や抗ドナーHLAの出現は認めていないと報告されている。 加えて、タクロリムス の脳血液関門通過性に関しては、通常状態では通過しにくいとされているが、脊髄損傷後については報告がない。そこで本研究では、海外の類似の脊髄損傷患者への細胞移植治療の臨床研究と同様の投与にて拒絶反応を抑制することとした。 本臨床研究において至適な免疫抑制剤の中止時期は、移植後の神経前駆細胞がホストの脊髄中で再髄鞘化を完了した後が望ましいと考えた。一般に成人脊髄組織が再髄鞘化に要する期間は不明であるが、前臨床研究においてコモンマーモセットでは細胞移植後約3ヶ月目で移植細胞による再髄鞘化が確認された。ヒトとコモンマーモセットの胎性期間の差が約2倍であること、また本臨床研究で使用する神経前駆細胞は神経細胞優位の分化傾向を示す(Asterias社Star StudyよりもOligodendrocyte Progenitor Cellの割合が少ないため再髄鞘化に時間を要する可能性が高い)ことを鑑みると、本臨床研究で使用する神経前駆細胞をヒトに用いた場合は細胞移植後約6ヶ月で再髄鞘化が得られていると想定される。そこで、本臨床研究においては移植後6ヶ月目から免疫抑制剤を漸減し、約9ヶ月目を目安に終了する方針とした。 なお、本臨床研究に同意が得られた患者からはHLA型やMLRなどの免疫情報を収集する。これを、もととなるiPS細胞のHLA型の情報や、移植後の臨床経過/細胞の生着状況とあわせて解析し、今後の免疫抑制剤の使用法のさらなる適正化につなげていく方針である。 2) 造腫瘍性について ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞の臨床応用に向けては、拒絶反応の問題に加え、移植細胞の造腫瘍性のリスクが問題とされてきた。再生医療の実現化プロジェクトにおいて、我々は造腫瘍性に関する網羅的解析を進め、iPS細胞の樹立の際の不完全なリプログラミングに起因するゲノムの不安定性が造腫瘍性に大きく関与すること、またiPS細胞から神経前駆細胞へ分化誘導過程で生じる一部の細胞分画が造腫瘍性をきたすことを明らかにし、それらを除去する工程の導入に成功した。 なお、本臨床研究で用いるヒトiPS細胞由来神経前駆細胞については、臨床研究までに同じiPS細胞ストック(臨床研究用株を非臨床試験用として使用)から誘導した神経前駆細胞(同じ誘導法で誘導し、同じ品質規格試験に合格)を免疫不全マウスの損傷脊髄内 (約5x10^5細胞/匹、約15匹、3ヶ月以上)又は脳内(約2x10^6細胞/匹、36匹、3ヶ月〜生涯)に移植し、造腫瘍性が無いことを確認する計画である。結果を臨床用ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞に外挿し、本臨床研究で用いる細胞による動物移植試験は省略する方針とする。ただし、本臨床研究はfirst in humanであることも鑑み、本臨床研究で用いる細胞を用いた短期(脊髄損傷動物の場合約3ヶ月)の動物移植試験を行い、その安全性が確認されたのちにヒトへの移植を行う計画である。 H29年12月現在、CiRAでHLAホモドナーから樹立した他家HLAホモ非臨床試験用iPS 細胞Ff-WJ14または同サブクローンFf-WJ14s01から誘導した神経前駆細胞を用いて安全性試験を実施し、造腫瘍性は認めていない(一部実施中)。またマウスの早期死亡や体重減少、異常行動等いずれも認められなかった。加えて、同様にCiRAでHLAホモドナーから樹立した他家HLAホモ非臨床試験用iPS 細胞Ff-RWMH09s01から誘導した神経前駆細胞についても同様に安全性試験を開始している。 本臨床研究ではfirst in humanであるため安全性を最優先すべきことを鑑み、移植細胞数を2x10^6個/人とした。これは、非臨床試験でマウス脊髄に移植した細胞数の4倍(5x10^5個/匹:マウス体重17-20g)、マーモセット脊髄に移植した細胞数の2倍(1x10^6個/匹:マーモセット体重250-500g)、Asterias社のStar Study Phase1で移植した細胞数(2x10^6個/人)と同数である。移植後に細胞の生着の有無について厳密に評価することは困難ではあるが、細胞が悪性転化した際にはMRI検査やFDG-PET検査にて検出可能と考えている(マウスへの移植実験より推測、未発表データ)。そのため、臨床研究においてはMRI検査、およびFDG-PET検査を定期的におこなうことで移植細胞由来腫瘍の有無を評価する方針である。 3)国内外における臨床研究の調査 終了または中止を含めて国内外64件(国内8件)の「脊髄損傷に対する幹細胞を用いた臨床試験」に関する臨床試験がClinicalTraials.Gov.などに登録されている。そのうち、胎児由来神経幹細胞の臨床試験は、Stem Cells,Inc.社により3試験(ClinicalTraials.Gov登録NCT01321333、同NCT01725880、同NCT02163876)が行われていたが、2016年5月に経営的意思決定により中止された。なお、StemCells, Inc.が中止した試験NCT01725880(試験NCT01321333の長期フォローアップ試験)はチューリヒ大学が継承し実施している(試験NCT03069404)。また、Neuralstem Inc. により胎児由来神経幹細胞の臨床試験が米国で行われている(NCT01772810)。細胞はNeuralstem Inc.が樹立した胎児脊髄由来の中枢神経系幹細胞(NSI-566)である。目標症例数8例のところ4例が登録されている。 ES由来神経幹細胞の臨床試験は、Asterias Biotherapeutics,Inc社により2試験(ClinicalTraials.Gov登録NCT01217008、同NCT02302157)が行われている。試験NCT01217008では投与関連のグレード1~2の9件の有害事象(術後疼痛、一時的な発熱、尿路感染など)が発現したが、移植細胞が原因の重篤な有害事象は発現していない。 国内では、大阪大学医学部脳神経外科学における自家嗅粘膜移植による臨床試験が3件(大学病院医療情報ネットワーク登録-試験UMIN000000825、同-試験UMIN000011637、同-試験UMIN000019694)、公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院形成外科における骨髄由来単核球細胞を用いた臨床試験が2件(同-試験UMIN000007599、同-試験UMIN000015741、札幌医科大学附属病院整形外科における自家培養骨髄幹細胞を用いた臨床試験2件(同-試験STR01-03、同-試験STR01-04)、関西医科大学救急医学科における培養自家骨髄間質細胞を用いた臨床試験1件(ClinicalTraials.Gov登録-試験NCT00695149)であった。 | ||||||
脊髄損傷とは、外傷などによる脊髄実質の損傷を契機に、損傷部以下の知覚・運動・自律神経系の麻痺を呈する病態である。本邦の患者数は10万人以上おり、加えて毎年約5000人の患者が発生しているにも関わらず、未だ有効な治療法は確立されていない。受傷原因は、従来は交通事故(43.7%)と高所転落(28.9%)が多いとされたが、近年では転倒などの軽微な外傷を契機とする高齢患者の不全麻痺症例が増加している。 脊髄損傷に対する治療法として、以前は脊髄損傷後早期ステロイド大量療法が推奨されたが、その後の検証によりステロイドの有効性は極めて限定的であることや、むしろ肺炎・尿路感染などの副作用を高頻度に惹起することが明らかとなり、現在もステロイドの使用は意見の一致をみない。残存する機能を最大限に高めるためのリハビリテーション治療は積極的に行われているが、損傷した脊髄そのものを治す有効な治療法はいまだ存在しないのが実状である。この状況を打開するために、世界中で脊髄再生の研究がすすめられてきた。1970年代後半に中枢神経損傷に対する胎性神経組織の移植の有効性が示され、中枢神経系でも適切な環境が整えば再生することが示唆された。 以降、脊髄損傷に対する再生医療の研究は著しく進んだ。 現在研究レベルで検討されている脊髄再生療法は、大きく、薬剤療法と細胞移植療法に分けられる。薬剤療法ではG-CSF製剤やRho阻害剤、Riluzole、HGFなどがすでに治験へ進んでいるが、まだ画期的な効果が得られたという報告はない。細胞移植療法は、失われた細胞の補填、軸索伸長の促進を介する神経回路の再生や、脱髄した軸索の再髄鞘化、移植細胞由来液性因子による組織の保護など様々な要素を目的とする治療であり、使用する細胞種や移植方法により得られる作用が異なる。移植する細胞の候補としては、神経前駆細胞や、嗅神経鞘細胞、骨髄間質細胞など様々な細胞で有効性が報告されているが(一部はすでに治験に進んでいる)、まだ確実に有効という細胞移植療法は明らかとはなっていない。 本臨床研究で使用するのは、神経前駆細胞である。これは、多分化能と自己複製能力を有する中枢神経系の組織幹細胞である。ヒトを含む哺乳類の中枢神経系は、発生過程において神経幹細胞を中心とする巧妙な細胞間相互作用の結果、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトといった多様な細胞集団が複雑にからみあったかたちで構成される。神経前駆細胞を損傷脊髄内に移植すると、脊髄内で多様な細胞に分化可能であることから、前述した様々なメカニズムをすべて網羅する形で損傷脊髄の機能回復に寄与すると考えている。 一般に移植治療における神経前駆細胞の供給元としては、胎児脳組織、胚性幹細胞(embryonic stem cells, 以下ES細胞)、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells, 以下iPS細胞)が挙げられる。胎児脳組織は本邦では倫理的懸念から臨床での使用が認められていないが、ES細胞は使用が認められている。また、京都大学の山中教授らのグループにより、皮膚などの体細胞をリプログラミングさせて確立されたiPS細胞技術も倫理的な障壁がないため、本臨床研究における神経前駆細胞の供給源としては本技術を採用した。iPS細胞を樹立する手法として、患者自身の体細胞からiPS細胞を樹立する自家移植では時間的・経済的な損失が大きいこと、また神経前駆細胞は免疫原性が弱く他家移植でもある程度生着するとの報告もあることから、脊髄損傷治療の手段としてはドナー由来のiPS細胞を用いる神経前駆細胞移植療法について検討を行ってきた。その結果、脊髄損傷動物モデルにおいて有効性と安全性が確認でき、さらに細胞の品質管理基準も整ったため、ヒトにて安全性と有効性を検討する段階にきたと判断し本臨床研究を計画した。 |
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脊髄損傷を受傷後一定期間以内に被験者候補をスクリーニングし、「再生医療等を受ける者の選定基準」の条件すべてを満たした場合に試験責任医師または試験分担医師が投与の可否を決定する。 1例目への移植後12週間経過したところで独立データモニタリング委員会において治療開始後の安全性を評価する。1例目において未知かつ直接因果関係のある重篤有害事象が発生していた場合には、試験継続不可とする。独立データモニタリング委員会における判定にて、試験の継続が可とされた場合、2、3、4例目への移植を実施する。2、3、4例目のリクルートにあたってはその都度、独立データモニタリング委員会の承認を得て実施する。 | ||||||
研究責任医師は以下の場合に、臨床研究全体を中止又は中断する。 1) 病院長が特定認定再生医療等委員会から再生医療等の提供を中止すべき旨の意見を受け、研究を継続すべきでないと決定し、実施責任者に通知した場合、本臨床研究を中止する。 2) 重篤な有害事象等が発生した場合、必要に応じて本臨床研究を中断し、「臨床研究全体の中止・中断の手順」に従う。 3) 新たな被験者の安全又は本臨床研究の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な情報を入手した場合、必要に応じて本臨床研究を中断し、「臨床研究全体の中止・中断の手順」に従う。 4) 独立データモニタリング委員会による判断等、その他の理由により実施責任者が本臨床研究を中止すべきである、又は継続が不可能であると判断した場合、本臨床研究を中止する。 |
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【慶應義塾大学および大阪医療センターの場合】 再生医療等に用いた細胞加工物の一部は遡及調査用に、細胞培養加工施設、大阪大学医学部附属病院及び/叉は株式会社NXワンビシアーカイブスにて保存する。保存期間は、臨床研究の中止又は終了後10年が経過した日とする。 【CiRAの場合】 採取した細胞の一部(ドナー検体(末梢血、血清、単核球細胞)) ・保存期間:10年(期限前に延長の有無を検討) ・保存場所: 細胞調製施設(FiT:Facility for iPS Cell Therapy)又はタカラバイオ株式会社 再生医療等に用いた細胞加工物の一部 ○ iPS細胞ストック(FiT) ・保存期間:製造後6年間(今後、安定性試験の結果を踏まえて延長を検討する) ・保存場所:FiT |
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【慶應義塾大学および大阪医療センターの場合】 保存期間終了後も可能な限り保存する。 【CiRAの場合】 採取した細胞の一部(ドナー検体(末梢血、血清、単核球細胞)):期限前に延長の有無を検討する 再生医療等に用いた細胞加工物の一部 ○ iPS細胞ストック(FiT):安定性試験の結果を踏まえて保存期間の延長を検討する |
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重篤な有害事象が発生した場合、研究責任医師又は研究分担医師は、以下の期日内に医療機関の管理者より報告が実施されるように、可及的速やかに実施責任者及び所属する医療機関の管理者に文書にてその内容を報告する。実施責任者は、可及的速やかに独立データモニタリング委員長にその内容を報告し、独立データモニタリング委員長又は実施責任者が必要と判断した場合は、症例の登録を中断し、独立データモニタリング委員会を開催し、臨床研究継続の可否について意見を求める。その結果を受け、実施責任者は臨床研究の再開、中断の継続、中止を判断する。 ・「再生医療等の提供」と因果関係を否定できない重篤な有害事象については、有害事象が死に至る又は生命を脅かす症例については発生を知った日より7日以内に、それ以外は発生を知った日より15日以内に、特定認定再生医療等委員会および厚生労働大臣へ、再生医療等の安全性の確保法等に基づく法律に定められた書式に沿って報告する。 「再生医療等の提供」と因果関係を否定できない非重篤な有害事象が発生した場合は、研究責任医師又は研究分担医師は以下の通りに医療機関の管理者より特定認定再生医療等委員会および厚生労働大臣へ「再生医療等提供計画」を厚生労働大臣に提出した日から起算して60日ごとに報告ができるように、実施責任者及び所属する医療機関の管理者に文書にてその内容を報告する。 |
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検査の結果、新たに有害事象が発生した場合、又は事後観察を含む臨床研究中の有害事象が回復していない場合、少なくとも有害事象発生後1ヵ月(30日)間は追跡検査・調査を実施する。 また、臨床研究終了後も年1回以上を目安とし、定期的に、可能な限り長期間、外来診療により有効性および安全性について確認を行い、診療録に記載する。被験者に疾病等の発生が確認された場合は、適切な医療措置を行うと共に原因究明に努める。その結果は実施責任者及び所属する医療機関の管理者に文書にて報告する。 |
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臨床研究終了後も年1回以上を目安とし、定期的に、可能な限り長期間、外来診療により有効性および安全性について確認を行い、診療録に記載する。被験者に疾病等の発生が確認された場合は、適切な医療措置を行うと共に原因究明に努める。その結果は実施責任者及び所属する医療機関の管理者に文書にて報告する。 | ||||||
有 | ||||||
2020年12月01日 | ||||||
2021年12月07日 | ||||||
募集終了 | Not Recruiting | |||||
無 |
有 |
慶應義塾特定認定再生医療等委員会 | Keio University Certified Committee for Regenerative Medicine | |
NA8150014 | ||
東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学信濃町キャンパス | 35 Shinanomachi, Shinjuku-ku, Tokyo | |
03-5363-3503 | ||
med-saisei-jimu@adst.keio.ac.jp | ||
第一種再生医療等又は第二種再生医療等を審査することができる構成 | ||
適 | ||
2018年11月27日 |
被験者は症例番号で特定する。 特定認定再生医療等委員会並びに規制当局(厚生労働省等)の求めに応じて、原資料等のすべての臨床研究関連記録を開示しなければならないが、原資料等の開示並びに臨床研究成績の公表に関しては、被験者の機密保護について十分配慮する。また診療録については独立データモニタリング委員会の要請に応じて被験者氏名及び診療録番号をマスキングした写しを開示することがある。 総括報告書における被験者の特定は、症例番号で行うとともに、研究責任医師は匿名化番号対応表等を作成し、その保管・管理を適切に行う。総括報告書の作成、医学雑誌への発表等においては、被験者の秘密を保全する。 |
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有 | Yes | |
本臨床研究の安全性、有効性などに関するデータを実施責任者の責任のもと日本再生医療学会のデータベース(National RegenerativeMedicine Database:NRMD)などに公表する予定である。 | Data on the safety and efficacy of this clinical study will be published in the database of the Japanese Society for Regenerative Medicine (National RegenerativeMedicine Database:NRMD) under the responsibility of the study manager. | |
臨床研究に係わる者全てが「臨床研究に関する教育」及び「臨床研究倫理に関する教育」を定期的に受講している。 研修では再生医療ハイウェイ課題Dが定期的に主催する「再生医療に関する倫理研修」に代表者が参加し全員に報告を行っている。 また、臨床研究計画及び説明文の作成について同じく再生医療ハイウェイ課題Dグループに患者の人権を中心にご意見を伺った。 研究に関する教育としては、拠点内及び拠点とCiRA共同で研究進捗を定期的に報告し、研鑽に努めている。また、参加者全員が積極的に各種学会に参加し、多数の報告も行っている。 |
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被験者からの臨床研究に係わる問い合わせについては、研究責任医師または研究分担医師が担当する。 連絡先:慶應義塾大学医学部 整形外科教室 中村雅也(研究責任医師) 名越慈人(研究分担医師) 辻 収彦(研究分担医師) 尾崎 正大(研究分担医師) 大久保 寿樹(研究分担医師)(受付時間 月~金9:30~16:30 *休診日を除く) 時間外・夜間等で緊急の場合(病院代表) 臨床研究 事務局 菅井桂子(慶應義塾大学医学部整形外科学教室研究分担医師) (受付時間 月~金9:30~16:30 *休診日を除く) 慶應義塾大学病院 患者総合相談部 総合相談窓口を利用することもできる。(受付時間 月~土(休診日を除く)8:40~16:30) | ||
非該当 | ||
なし | none | |
無 | ||
非該当 | ||
非該当 | ||
非該当 | ||
R000039960 | ||
UMIN臨床試験登録システム | UMIN-CTR |
4 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式 | 4:説明同意文書_3.66版_マスキング.pdf |
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