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臨床研究・治験計画情報の詳細情報です。

特定臨床研究
平成31年4月2日
令和3年11月19日
令和3年4月11日
埋め込み型骨導補聴システムの有効性に関する探索的臨床試験
埋め込み型骨導補聴器の研究
鈴木 宏明
信州大学医学部附属病院
難聴はコミュニケーションの大きな障害となるばかりではなく、 日常生活や社会生活の質(QOL)の著しい低下を引き起こす。難聴患者さんの多くは補聴器により聴力を補うが、なかには、補聴器が使いにくいあるいは使用しても効果の乏しい症例もある。慢性中耳炎などに対して鼓室形成術を行っても聴力改善が不十分な症例や先天性外耳道閉鎖症、狭窄症の症例では、従来の補聴器を使用しても補聴器の効果が不十分な場合も多い。本研究では埋め込み型骨導補聴システム(BONEBRIDGE)を用いる事で、上述の症例の聴取能を改善するとともに、その有効性について検討することを目的とする。
1-2
一側性または両側性伝音・混合性難聴
研究終了
国立大学法人信州大学臨床研究審査委員会
CRB3200010

総括報告書の概要

管理的事項

2021年11月12日

2 臨床研究結果の要約

2021年04月11日
2
/ 2016年8月7日から2020年7月7日までの期間に2名が登録された。年齢の平均値は30歳(2症例とも、登録時年齢30歳)、男性2名であった。
症例1は先天性両側小耳症・外耳道閉鎖症であり、両側耳介形成術を受けていた。症例2は先天性右外耳道閉鎖症であり右耳の聴取不良の症例であった。術前気導聴力閾値は右72.5dBであった
From 7th August 2016 to 7th July 2020 period, 2 participants were enrolled into this study. Both patients were 30 years old male at enrollment. Case 1 suffered bilateral microtia and atresia. Case 2 suffered had unilateral atresia.
/ 当初計画では5名の症例での研究実施を計画したが、適応症例の多くは補聴器、骨導補聴器が有効であったことに加え、同時期に類似の適応患者を対象とするVSBを用いた臨床研究も実施されており、VSBの臨床研究に参加希望するものが多かった等の理由により、最終的に2名しか登録がなかった。
症例1は、エンドポイントである装用開始後6、12ヶ月時の受診予約が患者都合でキャンセルとなり、許容期間である前後2週間以内に受診できなかったためプロトコル逸脱症例となった。症例2はプロトコル通りに術前および装用開始後12ヶ月時に検査を実施することができた。
We planned to enroll 5 participants into this study, but only 2 participants were enrolled into this study. Among these two cases, one canceled to visit at 6, 12 months after BONEBRIDGE fitting by patient own convenience. So, we treated this case as protocol deviation case.
/ 2例中1例に創部感染が認められた(有害事象の重篤度:非重篤、有害事象の程度:中等度、有害事象の因果関係:明らかに関連あり)。退院時12月30日の時点では創部の腫張等は認められなかったものの、1月9日に創部(切開部)感染が認められ、入院にて抗生剤投与および創部洗浄により軽快した。 Among two cases, 1 case suffered surgical wound infection 15 days after operation. We treated this case by using antibiotics in hospitalization and the wound healed up.
/ primary endpoint
術前の罹患側の標準純音聴力閾値検査及び埋め込み型骨導補聴システム装用開始後6ヶ月時の自由音場閾値検査による評価を実施し、4周波数平均(500、1000、2000、4000Hzの平均)による平均聴力が術前と比較して20dB以上改善もしくは骨導聴力と同等まで改善した例を有効例と判断することに設定し試験を実施した。
・症例1に関しては、エンドポイントである6ヶ月時の受診予約が患者都合でキャンセルとなり、許容期間である前後2週間以内に受診できなかったためプロトコル逸脱症例となった。しかしながら、許容期間の2月後(装用開始後8ヶ月時)に受診した際に評価を実施したところ、術前気導聴閾値70dB HLであったものが、術後のBONEBRIDGE装用下閾値は28.75dB HLと大幅に改善(41.25dB)を認め有効例と判断した。
・症例2に関しては術前気道聴閾値72.5dBであったものが、術後のBONEBRIDGE装用下閾値は40dBと大幅に改善(32.5dB)を認め有効例と判断した。

secondary endpoints
語音弁別能検査を通して、術前及び術後の装用成績を評価する。聴覚学的検査は、埋め込み型骨導補聴システム装用後12ヶ月の時点で、手術前より正答率(語音弁別能)が改善した場合を有効例と判断することに設定し試験を実施した。
・症例1に関しては、エンドポイントである12ヶ月時の受診予約が患者都合でキャンセルとなり、許容期間である前後2週間以内に受診できなかったためプロトコル逸脱症例となった。しかしながら、許容期間3ヶ月後(装用開始後15ヶ月時)に受診した際に評価を実施したところ、術前90%(S0Nnh、SN±0dB)、術後も90%(S0Nnh、SN±0dB)であり不変であった。
・症例2に関しては術前語音弁別能75%(S0Nnh、SN±0dB)であったものが、術後のBONEBRIDGE装用下では90%(S0Nnh、SN±0dB)と大幅に改善(15%)を認め有効例と判断した。
primary endpoints
The therapeutic effects are evaluated at 6months after the BONEBRIDGE operation, using free field audiometry. In this test, marked recovery is defined as over 20 dB improvement at the mean hearing level at the 500, 1000, 2000 and 4000Hz. Case 1 canceled to visit at 6 months after BONEBRIDGE fitting by patient own convenience. So, we treated this case as protocol deviation case. However, 9 months after BONEBRIDGE fitting he visit and received all auditory testing. His hearing level was improved from 70dB HL to 28.75dB HL 15 months after fitting. In case 2, his hearing level was improved from 72.5dB HL to 40dB 12 months after fitting. So, BONEBRIDGE was effective treatment for both cases.

secondary endpoints
The therapeutic effects are also evaluated at 12 months after the BONEBRIDGE operation, using Japanese speech discrimination test. In this test, marked recovery is defined as any increase than pre-ope discrimination score. Case 1 canceled to visit at 12 months and we treated this case deviation case. However, 15 months after BONEBRIDGE fitting he received all auditory testing. His speech perception score was not change from 90% to 90% 15 months after fitting. In case 2, his speech perception score was improved from 75% to 90% in12 months after fitting.
/ 2症例に対し、一側性または両側性伝音・混合性難聴に対し、BONEBRIDGE埋め込み術を行うと共に、手術後1ヶ月時より体外装置を装用開始し機器の調整を行い、その後は3ヶ月、6ヶ月12ヶ月時に評価を行なった。その結果、primary endpointsである聴取閾値に関しては、2例とも聴取閾値の大幅な改善を認めており有効であった。一方、secondary endpointsである語音弁別検査に関しては、1例は不変、1例は大幅な改善を認める結果であった。また、有害事象としては1例に創部感染がみられたが抗生剤により加療で軽快した。以上の結果より、一側性または両側性伝音・混合性難聴に対するBONEBRIDGEは有効かつ安全な治療法であると考えられる。特に、海外ではすでに承認が得られている医療機器であることを考え合わせると、本邦においても早期に導入することが望ましいと考えられる。なお、1例は患者都合で装用開始後6, 12ヶ月時の評価の際の受診をキャンセルしたため、プロトコル逸脱症例となったが、9, 15ヶ月時に評価を実施したため本報告に加えた。 In this study, we treated one patient with congenital bilateral microtia and atresia, and one patient with congenital unilateral atresia by using BONEBRIDGE. As a result, the hearing thresholds for both patients improved dramatically after BONEBRIDGE fitting. Monosyllable perception score in noise condition was improved in one patient.
2021年10月08日

3 IPDシェアリング

/ No
/ 現時点では計画はありません No plan to share IPD.

管理的事項

研究の種別 特定臨床研究
届出日 令和3年11月12日
臨床研究実施計画番号 jRCTs032190003

1 特定臨床研究の実施体制に関する事項及び特定臨床研究を行う施設の構造設備に関する事項

(1)研究の名称

埋め込み型骨導補聴システムの有効性に関する探索的臨床試験 Clinical research of the bone conductive hearing system.
埋め込み型骨導補聴器の研究 Bone conductive hearing aid implantation.

(2)研究責任医師(多施設共同研究の場合は、研究代表医師)に関する事項等

鈴木 宏明 Suzuki Hiroaki
00419368
/ 信州大学医学部附属病院 Shinshu University Hospital
耳鼻いんこう科
390-8621
/ 長野県松本市旭3-1-1 3-1-1 Asahi, Matsumoto Nagano
0263-37-2666
youu@shinshu-u.ac.jp
鈴木 宏明 Suzuki Hiroaki
信州大学医学部附属病院 Shinshu University Hospital
耳鼻いんこう科
390-8621
長野県松本市旭3-1-1 3-1-1 Asahi, Matsumoto Nagano
0263-37-2666
0263-36-9164
youu@shinshu-u.ac.jp
本田 孝行
あり
平成31年3月27日
信州大学医学部附属病院高度救命救急センター

(3)研究責任医師以外の臨床研究に従事する者に関する事項

信州大学医学部附属病院
北野 友裕
10838882
耳鼻いんこう科
信州大学医学部附属病院
小澤 優香
臨床研究支援センター モニタリンググループ
信州大学医学部附属病院
鬼頭 良輔
80419358
耳鼻いんこう科
信州大学医学部
塚田 景大
90419375
耳鼻咽喉科学
該当なし
信州大学医学部
西尾 信哉
70467166
人工聴覚器学講座
該当なし

(4)多施設共同研究における研究責任医師に関する事項等

多施設共同研究の該当の有無 なし

2 特定臨床研究の目的及び内容並びにこれに用いる医薬品等の概要

(1)特定臨床研究の目的及び内容

難聴はコミュニケーションの大きな障害となるばかりではなく、 日常生活や社会生活の質(QOL)の著しい低下を引き起こす。難聴患者さんの多くは補聴器により聴力を補うが、なかには、補聴器が使いにくいあるいは使用しても効果の乏しい症例もある。慢性中耳炎などに対して鼓室形成術を行っても聴力改善が不十分な症例や先天性外耳道閉鎖症、狭窄症の症例では、従来の補聴器を使用しても補聴器の効果が不十分な場合も多い。本研究では埋め込み型骨導補聴システム(BONEBRIDGE)を用いる事で、上述の症例の聴取能を改善するとともに、その有効性について検討することを目的とする。
1-2
2016年08月07日
2021年08月07日
5
介入研究 Interventional
単一群 single arm study
非盲検 open(masking not used)
無治療対照/標準治療対照 no treatment control/standard of care control
単群比較 single assignment
治療 treatment purpose
なし
なし
なし
一般的適格基準
(1)インフォームドコンセントが得られ、同意書に日付と署名が記入されていること。
(未成年の場合は代諾者による署名を得るものとする)
(2)同意取得時の年齢が5歳以上であること。

聴覚的適格基準
(1)一側性または両側性伝音・混合性難聴。
(2)罹患側の骨導聴力閾値が下記を満たす。
500Hz~4000Hz:45dB以内
General inclusion criteria
1) Written informed consent was obtained from patient (or their guardians if they are minor).
2) The age of informed consent was 5 years old or above.

Audiometric inclusion criteria
1)Unilateral or bilateral conductive hearing loss or mixed hearing loss.
2)Patient affected ear fulfill the below bone conduction hearing thresholds.
The patients with bone conducting hearing thresholds in 500Hz to 4000Hz is under 45dBHL.
(1)インプラントの設置が困難である高度な奇形や神経走行異常がある場合
(2)体質等により全身麻酔が困難な症例
(3)難聴の原因が聴神経または中枢聴覚伝導路にある場合。
(4)埋め込み側耳付近の皮膚あるいは頭皮状態がオーディオプロセッサの装用を防げる可能性がある場合。
(5)その他担当医師が不適当と判断した症例
(1)The patients with severe bone malformation and did not have enough setting space for bone conductive implantation.
(2)The patients with un-compatible to general anesthesia.
(3)The Patients with post cochlear hearing loss.
(4)The patients with skin problem and did not ware audio processor.
(5)The patients who assessed unsuitable for this clinical research from medical doctor.
5歳 以上 5age old over
上限なし No limit
男性・女性 Both
以下の事項に該当する場合、当該研究対象者についての研究の継続を中止する。その際、必要に応じて中止の理由を研究対象者に説明する。
1)同意撤回があった場合、同意撤回書の提出とともに、参加を中止とする。ただし、埋め込み型骨導補聴システムインプラントは手術により埋め込むため、同意を撤回した場合にも除去は困難であり、どうしても除去を希望する場合には再手術が必要となる。
2)その他、担当医師が本研究の継続が困難と判断した場合。
一側性または両側性伝音・混合性難聴 Conductive hearing loss or Mixed hearing loss (bilateral or unilateral).
あり
全身麻酔下で耳後部を切開し、側頭骨を切削し骨導振動子を固定する。手術後1ヶ月より体外装置を装着し機器の調整を行う。 The bone conductive hearing implantation is performed under general anesthesia. For the bone conductive implantation, a bed for FMT (Floating Mass Transducer) is drilled in the sinodural angle and fixed with two cortical screws. The receiver coil of the BCI is placed on the bone under the periosteum. The implant system can be activated, after the
swelling of the skin flap above the implant has reduced.
自由音場閾値検査
手術前の裸耳および補聴器装用下および埋め込み型骨導補聴システム装用後6ヶ月時の自由音場閾値検査を行い聴力閾値を測定する。自由音場閾値検査は通常の検査と同様に、被験者から1m離した正面位置に設置したスピーカーから震音を用いて測定する。4分法聴力が術前と比較して改善が認められた場合には改善と判断する。
The therapeutic effects are evaluated at 6 month after the BONEBRIDGE operation, using free field audiometry. In this test, marked recovery is defined as any recovery in the mean hearing level at the 500, 1000, 2000 and 4000Hz .
語音弁別検査
語音弁別能検査を通して、術前及び術後の装用成績を評価する。聴覚学的検査は、埋め込み型骨導補聴システム装用後12ヶ月の時点で、手術前より正答率(語音弁別能)が改善した場合を有効例と判断する
The therapeutic effects are also evaluated at 12 month after the BONEBRIDGE operation, using Japanese speech discrimination test. In this test, marked recovery is defined as any increase than pre-ope discrimination score.

(2)特定臨床研究に用いる医薬品等の概要

医療機器
未承認
(医療用品(04)整形用品)
埋め込み型骨導補聴システム
なし
メドエルジャパン株式会社
東京都 千代田区神田駿河台2-1-20 お茶の水ユニオンビル5階

3 特定臨床研究の実施状況の確認に関する事項

(1)監査の実施予定

あり

(2)特定臨床研究の進捗状況

2016年08月07日

2018年07月11日

/

研究終了

Complete

/

4 特定臨床研究の対象者に健康被害が生じた場合の補償及び医療の提供に関する事項

あり
あり
賠償責任・保障責任 300,000千円(期間中) 賠償責任 100,000千円(1人あたり)      300,000千円(1事故・保険期間中)
なし

5 特定臨床研究に用いる医薬品等の製造販売をし、又はしようとする医薬品等製造販売業者及びその特殊関係者の当該特定臨床研究に対する関与に関する事項等

(1)特定臨床研究に用いる医薬品等の医薬品等製造販売業者等からの研究資金等の提供等

メドエルジャパン株式会
なし
あり
臨床研究用機器の提供
あり
臨床研究用医療機器の管理補助

(2)特定臨床研究に用いる医薬品等の医薬品等製造販売業者等以外からの研究資金等の提供

なし

6 審査意見業務を行う認定臨床研究審査委員会の名称等

国立大学法人信州大学臨床研究審査委員会 Shinshu University Certified Review Board of Clinical Research
CRB3200010
長野県 松本市旭3-1-1 3-1-1 Asahi, Matsumoto Nagano, Nagano
0263-37-2572
md_rinri@shinshu-u.ac.jp
承認

7 その他の事項

(1)特定臨床研究の対象者等への説明及び同意に関する事項

(2)他の臨床研究登録機関への登録

UMIN000033360
大学病院医療情報ネットワーク研究センター
University hospital Medical Information Network (UMIN) Center

(3)特定臨床研究を実施するに当たって留意すべき事項

該当しない
なし none
あり
該当しない
該当しない
該当しない

(4)全体を通しての補足事項等

添付書類(実施計画届出時の添付書類)

設定されていません

設定されていません

添付書類(終了時(総括報告書の概要提出時)の添付書類)

研究計画書_BB_v20190325.pdf
説明文書_BB_v20190325.pdf

設定されていません

変更履歴

種別 公表日
終了 令和3年11月19日 (当画面) 変更内容
変更 令和3年6月21日 詳細 変更内容
新規登録 平成31年4月2日 詳細