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再生医療等提供計画情報の詳細情報です。

第二種
令和4年11月21日
腰部脊柱管狭窄症に起因する疼痛緩和を目的とした皮下脂肪組織由来幹細胞(ADSCs)移植の安全性に関する非盲検試験
腰部脊柱管狭窄症に対する脂肪組織由来幹細胞(ADSCs)移植試験
医療法人再生会 そばじまクリニック
傍島 聰
腰部脊柱管狭窄症患者の原因病巣近傍の硬膜外腔にADSCsを移植する細胞治療について、その安全性を検証することを目的とした。
1
腰部脊柱管狭窄症
募集中
特定非営利活動法人先端医療推進機構特定認定再生医療等委員会名古屋
NA8150002

1 提供しようとする再生医療等及びその内容

申請者情報

令和4年11月16日
jRCTb050220120
医療法人再生会 そばじまクリニック
大阪府東大阪市荒本北 2-2-6 クリニックコート東野1F,2F,3F
傍島 聰 Satoshi Sobajima

(1)再生医療等の名称及び分類

腰部脊柱管狭窄症に起因する疼痛緩和を目的とした皮下脂肪組織由来幹細胞(ADSCs)移植の安全性に関する非盲検試験 An open-label study on the safety of adipose tissue-derived stem cell (ADSCs) transplantation for pain relief from lumbar spinal stenosis( OL-ADSC-TP-LSS )
腰部脊柱管狭窄症に対する脂肪組織由来幹細胞(ADSCs)移植試験 Adipose tissue-derived stem cell (ADSCs) transplantation study for lumbar spinal stenosis( ADSC-TP-LSS )
第二種
「腰部脊柱管狭窄症に起因する疼痛緩和を目的とした皮下脂肪組織由来幹細胞(Adipose-derived stemcells : ADSCs)移植の安全性に関する非盲検試験」は患者自身から採取した皮下脂肪組織を酵素処理して得られるSVFに含まれるADSCsを必要な数まで拡大培養し、患者自身の患部に投与する医療技術である。 本研究で用いるADSCsは、人の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成を目的としており、組織の分離、組織の細断、細胞の分離、培養・加工を実施するため、細胞加工物に該当する。また、相同利用でない医療技術であることから、施行規則第三条三号の規定に基づき第二種再生医療等技術と判断した。

(2)再生医療等の内容

腰部脊柱管狭窄症患者の原因病巣近傍の硬膜外腔にADSCsを移植する細胞治療について、その安全性を検証することを目的とした。
1
実施計画の公表日
2024年03月31日
5
介入研究 Interventional
単一群 single arm study
非盲検 open(masking not used)
非対照 uncontrolled control
単群比較 single assignment
治療 treatment purpose
・腰部脊柱管狭窄症と診断され、諸検査にてその罹患部位が特定できる患者であること
・同意取得時に20歳以上であること
・保険適応の標準的保存療法において改善が見られないこと
・同意取得時点で手術的加療を希望しないこと
・この研究について十分な説明を受けた後、本人より文書にて同意を得られること
・決められたスケジュールを遵守可能であること
- Patients who have been diagnosed with lumbar spinal stenosis and whose affected area can be identified by clinical examinations.
- Being 20 years old or older at the time of obtaining consent
- No improvement in standard conservative therapy covered by insurance
- Do not request surgical treatment at the time of obtaining consent
- After receiving sufficient explanation about this research, consent should be obtained in writing from the person himself.
- Being able to comply with the set schedule
以下の基準のいずれかに該当する患者は、本治験の対象から除外する。
・皮下脂肪吸引が困難である患者
・術前検査にて原因病巣の特定が困難である患者
・担がん状態にある患者
・抗がん剤、生物学的製剤または免疫抑制剤を使用している患者
・活動性の感染を有する患者
・1ヵ月以内に本治療を受けたことのある患者
・重篤な合併症(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病および高血圧症など)を有し、主治医または再生医療提供医が不適と判断した患者
・麻酔薬等に対して薬剤過敏症の既往歴を有する患者
・その他、担当医が不適当と判断した患者
Patients who meet any of the following criteria will be excluded from this trial.
- Patients who have difficulty in subcutaneous liposuction
- Patients whose causative lesion is difficult to identify by preoperative examination
- Patients with cancer
- Patients using anticancer drugs, biopharmacy or immunosuppressants
- Patients with active infection
- Patients who have received this treatment within 1 month
- Patients with serious complications (heart disease, lung disease, liver disease, kidney disease, bleeding tendency, uncontrolled diabetes and hypertension, etc.) that the attending physician or regenerative medicine provider deems inappropriate
- Patients with a history of drug hypersensitivity to anesthetics, etc.
- Other patients who the doctor in charge deems inappropriate
20歳 0ヶ月 0週 以上 20age 0month 0week old over
上限なし No limit
男性・女性 Both
1) 臨床研究開始後、研究対象者より中止の申し入れ(同意撤回等)があった場合
2) 有害事象のため、臨床研究の継続が困難であると判断された場合
3) 症状増悪のため、臨床研究の継続が妥当でないと判断された場合
4) 移植細胞の品質不良の問題等により、移植が完遂できない場合
5) 研究対象者が死亡した場合
6) その他、研究担当医師が臨床研究の中止を判断した場合

また、以下の場合に研究自体を中止する。
(1)研究責任医師が、細胞治療の安全性・有効性に問題があると判断した場合
(2)研究責任医師が、論文や学会発表など本臨床研究以外から得られた関連情報を評価した結果、細胞治療
の安全性・有効性に問題があると判断した場合、又は研究継続の意義がなくなったと判断した場合
(3)実施医療機関の管理者、厚生労働大臣から中止の指示を受けた場合
腰部脊柱管狭窄症 lumbar spinal stenosis
注射針を用いてADSCsを原因病巣近傍の硬膜外腔(1か所)に局所投与する。その際、必用に応じてエコーガイド、X線透視装置などを併用する。1回あたりの注入は最低2.0×10⁷cellsとする。 A needle is used to transplant ADSCs near the degenerated or neuropathy site (intravertebral disc or epidural space). At that time, an echo guide, an X-ray fluoroscope, etc. are used together as necessary. Administer intra-articularly. Dosing at least 20 million cells in one ingection.
有害事象の発現有無 Adverse events
Visual analogue scale (VAS)、チューリッヒ跛行質問票、Central sensitization inventory(CSI)、Numeric Rating Scale (NRS)、Roland-Morris Disability Questionnaire (RDQ)、日本整形外科学会腰痛治療成績判定基準(JOAスコア)、神経学的所見、MRI及びX-ray画像検査(術後1か月、3か月、6か月) Visual analogue scale (VAS), Zurich Claudication Questionnaire (ZCQ), Numeric Rating Scale (NRS), and Roland-Morris Disability Questionnaire (RDQ), JOA score, Neurological examination, MRI and X-ray imaging (1 month, 3months, and 6 months after treatment)
別添の通り

2 人員及び構造設備その他の施設等

(1)人員及び構造設備その他の施設に関する事項

医師
傍島 聰 Sobajima Satoshi
医療法人再生会 そばじまクリニック Sobajima Clinic
細胞治療ユニット
5770011
大阪府東大阪市荒本北 2-2-10 クリニックコート 東野1F,2F,3F 1F,2F,3F, Clinic Court Higashino, 2-2-6 Ara motokita, Higashiosaka City, Osaka
06-4309-1225
orthohealing@soba-cli.com
他の医療機関
地方独立行政法人 市立東大阪医療センターの登録医届出を2016年10月に申請。 病床数:520床、うちNICU6床、ICU10床、HCU8床、無菌病室1床 診療科目:内科、腎臓内科、内分泌代謝内科、免疫内科、血液内科、総合診療科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、神経内科、皮膚科、小児科、精神科、 外科、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、小児外科、臨床腫瘍科、泌尿器科、脳神経外科、整形外科、形成外科、眼科、耳鼻咽喉科、 産婦人科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、病理診断科、臨床検査科、緩和ケア内科、救急科、歯科、歯科口腔、外科(全36科) 当該施設は救急病院の指定を受け、二次救急患者の 受入体制を整えており、当院と協力関係にある。

(2)その他研究の実施体制に関する事項

原田 雄輔 Harada Yusuke
医療法人再生会 そばじまクリニック Sobajima Clinic
細胞治療ユニット
577-0011
大阪府東大阪市荒本北 2-2-10 クリニックコート東野1F,2F,3F 1F,2F,3F, Clinic Court Higashino, 2-2-6 Ara motokita, Higashiosaka City, Osaka
06-4309-1225
06-4309-1224
harada@soba-cli.com
医師
傍島 聰
医療法人再生会 そばじまクリニック
細胞治療ユニット
医師
岩畔 英樹
医療法人再生会 そばじまクリニック
細胞バンク室
医師
戸川 大輔
医療法人再生会そばじ
医療法人再生会 そばじまクリニック
細胞治療ユニット
医療法人再生会 そばじまクリニック
傍島 聰
医療法人再生会そばじ
医療法人再生会 そばじまクリニック
細胞治療ユニット
医療法人再生会 そばじまクリニック
原田 雄輔
医療法人再生会 そばじまクリニック
細胞治療ユニット
医療法人再生会 そばじまクリニック
金 泰善
医療法人再生会 そばじまクリニック
細胞治療ユニット

(3)多施設共同研究に関する事項

3 再生医療等に用いる細胞の入手の方法並びに特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法等

(1)再生医療等に用いる細胞の入手の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

脂肪組織由来幹細胞(Adipose-derived stem cell s : ADSCs)
医療法人再生会 そばじまクリニック
自家移植のため、再生医療等を受ける者が細胞提供者となる
研究参加の選択除外基準に準拠する
原料となる皮下脂肪の採取は下記の手順で実施する。
・用いる器具:脂肪吸引用カニューレ(3mm×32cm、26cm、15cm)、トゥーミーシリンジ、麻酔溶液注入用カニューレ(14G×30cm、23cm、15cm)
・採取する量:脂肪組織量約10〜30g
・麻酔方法:基本的には局所麻酔(チューメッセント液
:生理食塩水500ml + 1%リドカイン(1%キシロカイン)20ml +1gエピネフリン)、必要に応じて静脈麻酔を併用する。
・採取方法(チューメッセント法):麻酔下に、脂肪採取予定部位の皮下に採取予定脂肪総量とほぼ同量のチューメッセント液(麻酔液)を注入する。シリンジを接続したカニューラを皮下に挿入する。シリンジの内筒を引き、陰圧状態を保持したまま用手法にて脂肪組織を吸引する。
この操作はすべてそばじまクリニック 手術室内にて実施する。

 得られた脂肪組織からのADSCs分離は下記の手順で実施する。
・使用する酵素:Collagenase “Amano” GMP 1vial、Thermolysin “Amano” GMP 1 vial
・分離方法:吸引脂肪組織を生理食塩水で洗浄した後、CollagenaseとThermolysinをそれぞれ0.2㏄ずつ添加し、37℃で30分の酵素処理を行う。その後、細胞懸濁液を回収し遠心分離によってADSCsを得る。
 この操作はすべてそばじまクリニック細胞治療ユニット内のCPCにて実施する。

(2)特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

脂肪組織由来幹細胞(Adipose-derived stem cells : ADSCs)
ADSCsの拡大培養
・実施場所:そばじまクリニック 細胞治療ユニット内 CPC 
・所要時間:2〜4週間
脂肪組織より得られたADSCs溶液を無血清培地を用いて懸濁し、細胞培養フラスコ(175㎠)に播種する。この時、細胞増殖促進を期待して患者自己血清を2.5%添加する。その後、5% CO₂、37℃でインキュベートする。培養期間中は72時間ごとに培地交換を行い、必要に応じて継代する。約1.0×10⁸個まで増殖した段階でトリプシン処理を行い細胞を回収し、洗浄と遠心分離を規定回数行って培養液を除去する。その後、凍結保護液にADSCsを懸濁し必要時まで液体窒素(-160℃以下)にて保存する。

品質管理の方法は下記の通りである。
ADSCsの規格
凍結保存を実施する段階で、下記の条件をすべて満たすもの
(1)生細胞数: 2×10⁷個以上
(2)細胞生存率:70%以上
(3)品質試験 (すべての項目で基準を満たすこと)
1.無菌検査:陰性であること
2.マイコプラズマ否定試験:0 cfu/ml
3.エンドトキシン検査:0.015 EU/ml未満
4.目視検査:異物等の混入がないこと

細胞の保管は下記の通り実施する。
(1)ADSCs 凍結後は必要に応じて医療法人再生会そばじまクリニック細胞治療ユニット内に設置された液体窒素(-196℃)にて使用時まで凍結保存する。
(2)細胞数計測に使用したごく少量の細胞の残りを、細胞の品質に疑義が生じたときの検証などを目的として医療法人再生会そばじまクリニック細胞治療ユニット内に設置された液体窒素タンク(-196℃)にて凍結保存する。この細胞は臨床に使用しない。試料の保管については研究の同意書により、本研究終了後、もしくは最終観察日より10年間の保管期間経過後においては、当該保管物を医療廃棄物として適切に処理する。なお、医療用廃棄物として処理を行う際は、その旨を記した書類を実施医師が作成し記録を残す。
ADSCs 混入シリンジに注射針を装着し、原因病巣近傍の硬膜外腔(1か所)に局所投与する。
医療法人再生会そばじまクリニック 理事長 傍島聰
FC5150083
再生医療センター そばじまクリニック 手術室及びバンク室、細胞治療ユニット
委託なし

(3)再生医療等製品に関する事項(再生医療等製品を用いる場合のみ記載)

(4)再生医療等に用いる未承認又は適応外の医薬品又は医療機器に関する事項(未承認又は適応外の医薬品又は医療機器を用いる場合のみ記載)

4 再生医療等技術の安全性の確保等に関す措置

(1)利益相反管理に関する事項

① 再生医療等に対する特定細胞加工物製造事業者からの研究資金等の提供その他の関与

② 再生医療等に対する医療薬品等製造販売業者等からの研究資金等の提供その他の関与

③ 再生医療等に対する特定細胞加工物製造事業者又は医療品等製造販売業者等以外からの研究資金

(2)その他再生医療等技術の安全性の確保等に関する措置

1. Noriega DC et al. Intervertebral Disc Repair by Allogeneic Mesenchymal Bone Marrow Cells: A Randomized Controlled Trial. Transplantation. 2017 Aug;101(8):1945-1951.
概要
腰椎椎間板変性に伴う慢性腰背部痛と診断された患者24名を対象に、他家骨髄由来間葉系幹細胞移植によるランダム化比較試験を実施した。
方法
腰椎椎間板変性に伴う慢性腰背部をきたし、保存療法で改善の見られなかった患者(男性17名、女性7名)をランダムに細胞移植群及びコントロール群の2群に振り分けた。細胞移植群では他家骨髄由来幹細胞2.5×10⁷個を椎間板内に局所投与した。またコントロール群では傍脊柱筋群に麻酔薬を投与した。その後、1年間のフォローアップを実施し、安全性及び有効性について評価を実施した。
結果
安全性について、1年間のフォローアップ期間中重篤な有害事象は確認されなかった。その他の有害事象として短期間の疼痛の発現が確認されており、11名(コントロール群8名、細胞移植群3名)で軽度の疼痛が報告され、NSAIDsの処方により寛解した。また、2名(コントロール群1名、細胞移植群1名)で疼痛に対しオピオイドが処方された。いずれも細胞移植群のみに見られる症状ではないことから、細胞移植との関連はないと考えられる。
考察
当該研究は椎間板変性に伴う疼痛患者を対象に、他家骨髄由来間葉系幹細胞を投与して安全性と疼痛緩和効果を検証したものである。安全性について、重篤な有害事象は発現しておらず、その他の有害事象についても細胞移植との因果関係は否定されている。これらのことから、間葉系幹細胞の椎間板内投与は安全な治療となることが示唆された。
本提供計画では脂肪組織由来間葉系幹細胞を神経損傷部に局所投与するものであり、骨髄由来間葉系幹細胞を使用している点が異なるが、同じ間葉系幹細胞を使用することから本計画で実施する治療も同等の安全性を有していると考えられる。

2. Kumar H et al. Safety and tolerability of intradiscal implantation of combined autologous adipose-derived mesenchymal stem cells and hyaluronic acid in patients with chronic discogenic low back pain: 1-year follow-up of a phase I study. Stem Cell Res Ther. 2017 Nov 15;8(1):262. Stem Cell Res Ther. 2017 Nov15;8(1):262.
概要
椎間板由来の慢性腰背部痛患者10名を対象に、自家皮下脂肪組織由来間葉系幹細胞(Adipose-derived stem cells : ADSCs)移植を行う第Ⅰ相臨床試験を実施した。
方法
疼痛強度がVASで4/10以上、かつODIの評価で30%以上の機能障害が見られる患者10名を対象とした。10名の患者は、細胞低用量投与群(2.0×10⁷個/disc)と高用量投与群(4.0×10⁷個/disc)の2群に分けられ、それぞれ椎間板に規定量の細胞を投与した。またこの時、細胞貯留性の向上を期待してヒアルロン酸を混合した。その後、1年間のフォローアップを実施し、安全性及び有効性について評価を実施した。
結果
安全性について、1年間のフォローアップ期間内に脱落した患者はおらず、重篤な有害事象並びに移植細胞との因果関係が否定できない有害事象の発現は認められなかった。
考察
本研究は椎間板変性に起因する慢性腰背部痛に対し、自家ADSCsを局所投与して安全性と有効性について検証したものである。安全性について、重篤な有害事象並びに移植細胞との因果関係が否定できない有害事象の発現は認められなかった。このことから、本治療は安全な治療となることが示唆された。
当該研究は適応疾患、移植細胞が提供する再生医療と同等であり、投与経路も類似することから、本計画で実施する治療は安全性を有していると考えられる。

3.Hur JW et al. Intrathecal transplantationof autologous adipose-derived mesenchymal stem cells for treating spinal cord injury: A human trial. J Spinal Cord Med. 2016 Nov; 39(6): 655–664.
概要
脊髄損傷患者14名を対象に、自家ADSCsを移植する臨床研究を実施した。
方法
脊髄損傷患者14名(American Spinal Injury Association (ASIA)による分類でA=12名、B=1名、C=1名)を対象に、自家ADSCs 9.0×10⁷個を髄腔内投与し、その後8か月間のフォローアップを行い安全性について検証した。
結果
8か月のフォローアップ期間中、細胞移植との因果関係が否定できない重篤な有害事象の発現は確認されなかった。神経障害性疼痛をきたした脊髄損傷患者10名に対し、自家骨髄由来間葉系幹細胞移植による第Ⅰ相臨床研究を実施した。その他非重篤なものとして、3名の患者で4つの有害事象が確認された。その内訳は尿路感染症、頭痛、悪心及び嘔吐であった。いずれも時間経過もしくは対処療法により回復した。移植細胞との因果関係について、尿路感染症を発症した被験者は過去に尿路感染の既往があり、因果関係はないと判断された。
考察
本研究は脊髄損傷患者に対し、自家ADSCsを髄腔内投与した際の安全性について報告している。移植細胞との因果関係が否定できない重篤な有害事象の発現は認められず、その他の有害事象についても時間経過もしくは対処療法によって回復した。このことから、自家ADSCsの髄腔内投与は一定の安全性を有していることが示唆された。
提供しようとする再生医療では直接髄腔内に細胞を投与することはないが、椎間板内や硬膜外などへの投与時、投与した細胞の一部が髄腔内に漏出することが懸念される。髄腔内にADSCsが漏出した際の安全性に関する根拠として、本研究を参考とした。

安全性に関する総括
上記報告1、2はいずれも間葉系幹細胞の局所投与における安全性を確認している。いずれの試験でも細胞投与による重篤な有害事象の発現は認められておらず、本研究で提供する治療は安全であることが示唆されている。また、椎間板内や硬膜外への細胞投与では移植細胞が髄腔内へ漏出することが懸念されるが、3の報告より髄腔内へADSCsを投与した時の安全性についても確認されている。以上のことから、当該治療は十分な安全性を有していると判断した。
腰部脊柱管狭窄症を対象としたヒトでのADSCs移植に関する報告はないが、類似した病態である脊椎の変性疾患について、下記の通り報告がなされている。
(1) Noriega DC et al. Intervertebral Disc Repair by Allogeneic Mesenchymal Bone Marrow Cells: A Randomized Controlled Trial. Transplantation. 2017 Aug;101(8):1945-1951
.概要
腰椎椎間板変性に伴う慢性腰背部痛と診断された患者24名を対象に、他家骨髄由来間葉系幹細胞移植に
よるランダム化比較試験を実施した。
方法
腰椎椎間板変性に伴う慢性腰背部をきたし、保存療法で改善の見られなかった患者(男性17名、女性7名)をランダムに細胞移植群及びコントロール群の2群に振り分けた。細胞移植群では他家骨髄由来幹細胞2.5×10⁷個を椎間板内に局所投与した。またコントロール群では傍脊柱筋群に麻酔薬を投与した。その後、1年間のフォローアップを実施し、安全性及び有効性について評価を実施した。
結果
安全性について、1年間のフォローアップ期間中重篤な有害事象は確認されなかった。その他の有害事象として短期間の疼痛の発現が確認されており、11名(コントロール群8名、細胞移植群3名)で軽度の疼痛が報告され、NSAIDsの処方により寛解した。また、2名(コントロール群1名、細胞移植群1名)で疼痛に対しオピオイドが処方された。いずれも細胞移植群のみに見られる症状ではないことから、細胞移植との関連はないと考えられる。
有効性について、疼痛評価にVisual analogue scale(VAS)、および患者立脚型評価としてOswestry Disa
bility Index (ODI)を評価した。結果、細胞移植群では移植早期より有意な疼痛及び機能の改善を認め、そ
の効果はフォローアップ期間中維持されていた。他方、コントロール群ではベースラインからの有意な変化を認めなかった。また、MRI画像評価によるPfirrmann分類を評価したところ、細胞移植群で経時的に改善を認め、反対にコントロール群では経時的な増悪を認めた。
考察
当該研究は椎間板変性に伴う疼痛患者を対象に、他家骨髄由来間葉系幹細胞を投与して安全性と疼痛緩和効果を検証したものである。安全性について、重篤な有害事象は発現しておらず、その他の有害事象についても細胞移植との因果関係は否定されている。これらのことから、間葉系幹細胞の椎間板内投与は安全な治療となることが示唆された。
有効性について、間葉系幹細胞移植により有意な改善を認めている。また、椎間板変性の指標であるPfirrmann分類が経時的に改善していることも確認されている。このことから、当該治療は椎間板変性に伴う疼痛改善に有効な治療となることが示唆された。
本提供計画では脂肪組織由来間葉系幹細胞を神経損傷部に局所投与するものであり、骨髄由来間葉系幹細
胞を使用している点が異なるが、同じ間葉系幹細胞を使用することから本研究でも同等の効果を得られると考えられる。

(2) Kumar H et al. Safety and tolerability of intradiscal implantation of combined autologous adipose-derived mesenchymal stem cells and hyaluronic acid in patients with chronic discogenic low back pain: 1-year follow-up ofa phase I study. Stem Cell Res Ther. 2017 Nov 15;8(1):262. Stem Cell Res Ther. 2017 Nov 15;8(1):262.
概要
椎間板由来の慢性腰背部痛患者10名を対象に、自家皮下脂肪組織由来間葉系幹細胞(Adipose-derived
stem cells : ADSCs)移植を行う第Ⅰ相臨床試験を実施した。
方法
疼痛強度がVASで4/10以上、かつODIの評価で30%以上の機能障害が見られる患者10名を対象とした。10
名の患者は、細胞低用量投与群(2.0×10⁷個/disc)と高用量投与群(4.0×10⁷個/disc)の2群に分けられ、
それぞれ椎間板に規定量の細胞を投与した。またこの時、細胞貯留性の向上を期待してヒアルロン酸を混合した。その後、1年間のフォローアップを実施し、安全性及び有効性について評価を実施した。
結果
安全性について、1年間のフォローアップ期間内に脱落した患者はおらず、重篤な有害事象並びに移植細胞との因果関係が否定できない有害事象の発現は認められなかった。
有効性について、VAS、ODI、及びShort form-36 (SF-36)による評価を実施したところ、低用量・高用量投与群共に有意な症状の改善を認め、かつ用量による差は見られなかった。
考察
本研究は椎間板変性に起因する慢性腰背部痛に対し、自家ADSCsを局所投与して安全性と有効性について
検証したものである。安全性について、重篤な有害事象並びに移植細胞との因果関係が否定できない有害事象の発現は認められなかった。このことから、本治療は安全な治療となることが示唆された。
有効性について、移植された細胞数によらず椎間板内への細胞投与により疼痛緩和及び機能性の改善が認められた。このことから、本治療は有効な安全性となることが示唆された。
当該研究は適応疾患、移植細胞、及び投与経路が提供する再生医療と同等であることから、本研究でも一定の安全性及び有効性が期待される。
投与可否の判定は特定細胞加工物投与の当日に研究責任医師が行う。問診やバイタル測定(体温、呼吸、自覚症状)で患者の健康状態に異常が認められないこと、特定細胞加工物の製造に逸脱がなかったことなどを確認できた時点で投与可とする。特定細胞加工物製造過程において定められた手順により逸脱が発生した場合には、その都度、実地医師又は特定細胞加工物製造担当者がその内容を研究責任医師に報告し、それぞれの状況において研究責任医師が継続判定を行う。
投与前の段階で細胞の安全性に関する疑義が発生した場合は速やかに実施責任者に報告を行い、研究責任医師が投与の可否を含め対応を決定する。
細胞投与後に安全性に関する疑義が発生した場合は速やかに研究責任医師並びに再生医療等の提供を受け
た者に報告し、研究責任医師が対応を決定する。また、すぐに状況を把握できるよう、再生医療等の提供を受ける者には事前に当院の窓口、連絡先等を伝えておく。
本研究終了後、もしくは最終観察日より5年間
本研究で製造したADSCsそのごく一部を-196℃にて保存する。これらの細胞は臨床用のものと異なる保管場所に収納し、臨床には用いない。
資料の保管については、研究の同意書により、本研究終了後、もしくは最終観察日より10年間の保管期間経過後においては、当該保管物を医療用廃棄物として適切に処理する。なお、医療用廃棄物として処理を行う際は、その旨を記した書類を作成し記録を残す。
再生医療等を行う医師は、再生医療等の提供によるものと疑われる疾病等を知った時、第一報を提供医療機関管理者に速やかに報告数する。医療機関管理者は本臨床研究におけるADSCs 移植によるものと疑われる重篤な有害事象及び疾病の発生が報告された場合には、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に従って、各期日内に特定認定再生医療等委員会及び近畿厚生局長に報告する。
術後は外来での定期的な診察を実施し安全性について確認するとともに、疼痛や機能評価として術後1か月、3か月、6か月目に、Visual analogue scale (VAS)、チューリッヒ跛行質問票、Numeric Rating Scale(NRS)、Roland-Morris Disability Questionnaire (RDQ)、JOAスコアの聴取を行う。また、医師が必要と判断した場合にはCentral sensitization inventory(CSI)を併せて聴取する。同時に神経学的所見(知覚神経及び運動神経評価)、さらにMRIとX-rayによる画像評価も行う。
再生医療等の提供を受けた後、1か月、3か月、6か月目に医師の診察を実施し、有害事象の発現や全身・投与部位局所の状態や治療効果を確認する。また、再生医療等の提供を受けた者の連絡先、受診の状況などを常に把握し、必要があれば電話等で受診を促す。受診が困難な場合は電話等による聴取を行い、有害事象の発現の有無や、全身・局所の状態、治療効果等について状況の把握に努める。
実施計画の公表日
募集中 Recruiting

5 細胞提供者及び再生医療等を受ける者に対する健康被害の補償の方法

細胞提供者について

再生医療等を受ける者について

6 審査等業務を行う認定再生医療等委員会に関する事項

特定非営利活動法人先端医療推進機構特定認定再生医療等委員会名古屋 Specified Nonprofit Organization Advanced Medical Promotion Organization Specified Certified Regenerative Medicine Committee Nagoya
NA8150002
愛知県名古屋市千種区千種2‐24-2 千種タワーヒルズ1205 Chikusa Tower Hills 1205, 2-24-2 Chikusa, Chikusa-ku, Nagoya City, Aichi , Aichi, Aichi
052-745-6881
nintei@japsam.or.jp
第一種再生医療等又は第二種再生医療等を審査することができる構成
2022年07月26日

7 その他

患者の同意取得後はデータ管理、製造管理など、症例の取り扱いにおいてはすべて連結可能匿名化された被
験者識別コードまたは登録番号により管理され、匿名化コードと氏名の対照表および氏名記載同意書は施錠可能な書類保管庫に厳重に保管する。また公表に際しては被験者の氏名が直接に公表されることがない等、被験者の個人情報の保護については十分に配慮する。
No
特定細胞加工物の原料となる脂肪吸引手術や細胞移植、術前・術後の患者管理など臨床に関連する部分の
教育・研修については、研究責任医師が十分な教育を行った上で各担当者が実施する。
特定細胞加工物の加工、記録の保管などの教育・研修については、研究責任医師もしくは研究責任医師が任命する特定細胞加工物の取り扱いについて十分な経験を有した者が担当する。
その他、定期的な勉強会や情報交換会を開催し、また経過報告および安全性ならびに有効性(効果)に関しては、関連学会等で発表とする。また積極的に関連学会等に出席し最新情報の収集に努める。
基本的に、特定認定再生医療等委員会および研究責任医師に報告する。第一窓口はクリニック内 再生医
療センター事務局とし、その後、研究責任医師へ内容を報告し、十分な対応策を講じることとする。
非該当
なし none
非該当
非該当
非該当

添付資料

4 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式 LCS04.05_同意説明文書.pdf